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編集部が気になる人に会いに行く連載「WEEKEND INTERVIEWS」。今週は、アニメーション映画『我々は宇宙人』(門脇康平監督/2026年9月25日〈金〉全国劇場公開)で声のW主演を務める坂東龍汰さんと岡山天音さんが登場!本作は第79回カンヌ国際映画祭 監督週間でワールドプレミア上映され、アヌシー国際アニメーション映画祭2026の長編コンペティション部門にも選出された話題作だ。
舞台は平成のある田舎町。“普通”であることに悩む少年・翼と、クラスの人気者で“特別”な存在の暁太郎が出会い、親友になる。二人だけの遊び、意味のない会話、夕暮れの帰り道。けれどある日を境に暁太郎はクラスで浮いた存在となり、やがて取り返しのつかない事件が起こる——。
その時間を経た人にしか見えない景色が
ちゃんと用意されている(岡山)

──本作は「これは二人の青春物語なのか、それとも消したい記憶なのか」という問いを投げかけています。声を演じられたお二人はどのように受け止めましたか。
岡山 物語の中では「消したい」と感じるような苦しい時間が流れているかもしれません。ただ、そういう時間を経た人にしか見えない景色みたいなものが、この作品にはちゃんと用意されていると思っています。翼にとっても暁太郎にとっても、必要で大事な時間が描かれている。そしてそれが救いにもなる。門脇監督自身の優しさも反映されていると僕自身は感じました。
坂東 この作品を観ている時、自分の過去——小学生、中学生、高校生時代のあれこれが浮かんできて。その瞬間は「今すぐ消したい」と思った出来事も、振り返ると現在の自分にすごく繋がっているというか。時間を経てその経験を俯瞰して考えたときに、得たものが確かにあったな、と感じているんです。間違ったことも全部、いつか優しく包み込めるようになる。そんなことを伝えてくれる物語なんじゃないかなと思います。
暁太郎は、知らないことが
たくさんある人間(岡山)

──小学生から大人になるまでの主人公二人が、地続きで描かれていますが、岡山さんは青年期以降の暁太郎を演じるにあたって、意識されたことはありますか。
岡山 もともと自分の中で暁太郎像は作ってはいませんでした。というのも、この作品はまず絵を拝見して声の出演をお引き受けしていたことや、自分が収録に入る前に小学生時代を演じる子役のみなさんの収録現場も見学させていただいたこともあって。自分が声を吹き込むまでに暁太郎という像は出来上がっていたので、それに合わせて声を乗せていくというイメージでした。
──岡山さんが抱いていた暁太郎像を教えてください。
岡山 知らないことがたくさんある人間なのかな、と思いました。作中では、大人になってから暁太郎はある意味、試練的な期間を過ごすんです。でもその経験の中で、彼だけの“何か”も獲得していく。誰かに優しくなれたりとか、誰かの傷に触れることができたりとか。言ってしまえば、素敵な人に近づいていったと感じていました。過去をなかったことにするのではなく、もう一度そこに向き合って進める人間なのではないでしょうか。
絵を見た瞬間に、
翼の感情を受け取っていました(坂東)

──翼と暁太郎は成長過程が対照的な二人で、そのコントラストも印象的でした。坂東さんは、大人になった翼の声を演じるにあたり、彼をどう捉えていましたか。
坂東 翼は普通に社会人になって、交友関係も沢山あって、暁太郎から見たらきっと幸せそうに見えますよね。でも、やっぱりどこかで諦めているというか。“普通”であることに対してのコンプレックスみたいなものを抱えたまま成長していると思っていました。僕の中では、中学生の翼、社会人になってからの翼、そして最後さらに大人になった時の翼、それぞれ違うものがあると感じています。
──それぞれ、声のトーンも変わっているように感じました。あれは、あらかじめ段階を設計されていたのでしょうか。
坂東 これは変えようと思っていたわけではないんです。ただ、マイクの前に立って絵を見た時に、すごく暗い顔もあれば、すごくキラキラしている顔もあったりして。目の前で起きている事柄や表情から“翼”を感じながら、ちょっとずつ変えられたらいいなと思いました。最初から全部に段階をつけようとしていたのではなく、収録でそのシーンが来た時、感覚的に、思ったことをやってみる、という感じでしたね。
──絵が生み出す表情や姿に、自分の声をなじませていく、というイメージですか。
坂東 そうですね。シーンを見たら、それが出てきたというか。やっぱり絵から得られる情報はすごく大きかったです。アフレコ中も、目の前に暁太郎がいたり、子どもとの車内の空間だったり、お母さんとのシーンだったり、景色がちゃんと見えていて。事前に用意していったという感じではなく、その瞬間ごとに感じ取ったものを、声にしていった感じでした。
暁太郎や翼のような部分は
誰しも何パーセントか持っている(岡山)

──俳優としてだけではなく、ありのままのご自身に、翼や暁太郎が重なる部分はありましたか。
岡山 正直、暁太郎とリンクするところはあまり無かったです。どちらかというと、「ああいう奴がいたな」という感覚が近かったかも。確かに心の中のどこかにはいるのかもしれないけど、それをアウトプットはして、人に見せてこなかったタイプなのかなとは思います。だから、しっかり彼とリンクしたというよりは、自分の引き出しの中にレイヤーとしてちょっとだけあるものを声に引き出した、という感じです。暁太郎や翼のような部分は、誰しも何パーセントか持っていると思うんですよね。「あいつがいたな」と思うか、「俺だ」と思うか。鑑賞後、そんな2パターンに分かれそうな気がします。
坂東 暁太郎みたいな奴、今いるよ隣に(笑)
岡山 坂東くんは幼少期の暁太郎そのままだよね(笑)
坂東 自分でもそう思います!
──劇中には平成の記憶を呼び起こすアイテムや固有名詞がたくさん登場しますよね。(門脇監督、坂東さん、岡山さん共に平成一桁生まれ)。
坂東 初めて試写で観た時に、改めて細部の作り込みに気づいて。冒頭に出てくるコラショの目覚まし時計とか、絵でかなりリアルに再現されているので、監督に「これ、すごいですね」と伝えました。
岡山 あれはもう新品では手に入らないから、監督が現物を探して取り寄せて、音声も実際のものを使っていると聞きました。
坂東 平成を感じる描写は作中に沢山あるのですが、どれも本当にすごいんです。あの頃は当たり前にあったのに大人になって忘れていた記憶が、一気に蘇ると思います。それも劇場で楽しんでいただきたいですね。
観る前と観た後では、
その人の人生が違う(坂東)

──最後に、この映画をどんな人に届けたいですか。
岡山 過去への思い残しみたいなものが自分の背後にある人や、今まさにつらい時間を過ごしている人には特に観てほしいです。「明けない夜はない」という言葉があるように、どんなに辛くても時間は進んでいて、良くも悪くも人は同じ場所にはいられない。その瞬間で感じている苦しさや痛さは、ずっと続くわけではないんですよね。その先にはその先の、そこでしか見られない光みたいなものがある。このことを、今僕が喋っているみたいに言葉で説かれるのではなく、この映画を心で浴びることで感じてほしい。そんな風に思っています。
坂東 僕たちが目指しているのは、観客のみなさんの人生を180度変えてしまうような衝撃を与えることだと思っていて。この作品は、監督をはじめとする制作チームが費やしてきた時間と労力とエネルギーが、とてつもないんです。だから間違いなく、観たらひっくり返ると思う。観る前と観た後では、その人の人生が違うんじゃないかな。“人生の一本”のような映画になると思うので、すべての世代の方に観ていただきたいですね。
坂東龍汰|RYOTA BANDO
1997年5月24日、ニューヨーク生まれ、北海道出身。2017年、俳優デビュー。2022年、映画『フタリノセカイ』で、第32回日本映画批評家大賞新人男優賞(南俊子賞)を受賞。2025年には『爆弾』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。近年の出演作は、映画『君の忘れ方』『未来』『黒牢城』、ドラマ『RoOT/ルート』『366日』『ライオンの隠れ家』『シナントロープ』など。待機作に、映画『わたしの知らない子どもたち』(10月16日公開)『かすかな彼を抱きしめて』(1月15日公開)がある。
岡山天音|AMANE OKAYAMA
1994年6月17日生まれ。東京都出身。2009年俳優デビュー。主な出演作品として、主演映画『笑いのカイブツ』(’24)、映画『キングダム』シリーズ(’22〜’24、’26)、『Cloud クラウド』(’24)、ドラマ『アンメット ある脳外科医の日記』(’24、関テレ・フジテレビ系)など。
2025年度は夜ドラ『ひらやすみ』(NHK)にて主演を務めたほか、大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』(NHK)、『冬のなんかさ、春のなんかね』(日本テレビ)、『片想い』(NHK)などに出演し、第50回エランドール賞、第63回ギャラクシー賞テレビ部門個人賞、第52回放送文化基金賞を受賞。待機作としてNHK連続テレビ小説『巡るスワン』(’27年春放送開始)などがある。

映画『我々は宇宙人』
平成のある田舎町。内気で“普通”であることに悩む少年・翼は、小学三年生の春、クラスの人気者で“特別”な存在の暁太郎と出会い、親友になる。しかしある日を境に、暁太郎はクラスの中で浮いた存在となり、噂や視線が彼を囲んでいく。やがて起こる、取り返しのつかない事件——。30年にわたる友情を描く、かぎりなく青い旅立ちの物語。
第79回カンヌ国際映画祭 監督週間出品/アヌシー国際アニメーション映画祭2026 長編コンペティション部門選出。
声の出演:坂東龍汰(翼) 岡山天音(暁太郎) 槙木悠人(翼/幼少期) 中込佑玖(暁太郎/幼少期) 山﨑天(小夏) 松井ケムリ(バタ原)
企画・脚本・監督・絵コンテ・編集:門脇康平
音楽:Yaffle 主題歌:adieu(上白石萌歌)「ささくれ」
プロデューサー:林健太郎
企画・製作・制作:NOTHING NEW
協力:MIYU PRODUCTIONS
配給:TOHO NEXT・NOTHING NEW
2026年9月25日(金)全国劇場公開
©NOTHING NEW, MIYU PRODUCTIONS
公式サイト:https://nothingnew.film/wearealiens/
For RYOTA BANDO:シャツ ¥52,800 / mando パンツ ¥38,500 / saby その他スタイリスト私物
・問い合わせ先
mando(m-takasu@mando.co.jp)
evolve(03-6823-5074)
For AMANE OKAYAMA:ジャケット ¥189,200、シャツ ¥148,500、パンツ ¥205,700、ネックレス ¥89,100、ベルト ¥56,100、シューズ ¥177,100/すべてルメール(エドストローム オフィス)
・お問い合わせ先
エドストローム オフィス/03-6427-5901
Photos:Hiyori Korenaga Hair & Make-up:YASUSHI GOTO(For Ryota Bando) Koichi Amano(For Amane Okayama) Stylist:Yasuka lee(For Ryota Bando) Haruki Okamura(For Amane Okayama) Interview & Text:Risa Kawamoto
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