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山田裕貴「ウルトラマンが抱く気持ちや父親との関係に共感できた」【ウィークエンド・インタビューズ 第36週】

山田裕貴「ウルトラマンが抱く気持ちや父親との関係に共感できた」【ウィークエンド・インタビューズ 第36週】

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編集部が気になる人に会いに行く連載「WEEKEND INTERVIEWS」。第36週は、Netflix、円谷プロダクション、インダストリアル・ライト&マジック (ILM)が共同製作したCGアニメーション長編映画『Ultraman: Rising』で主人公のサトウ・ケン役を演じる山田裕貴さんにインタビュー。初めて日本語吹き替えに挑戦する本作での演技や役柄との共通点、さらに自身のリラックス方法や休日にやりたいことなど、最新作&プライベートについて聞いた!

初めての吹き替えでは
セリフの息継ぎまで細かく分析した


──Netflixのオリジナルの作品『Ultraman: Rising』の主人公、サトウ・ケン役が決まったときの感想を教えてください。

僕は元々、『海賊戦隊ゴーカイジャー』という戦隊作品で俳優デビューをしており、最近ではゴジラとも戦ったりしていたので、「またヒーローになれるんだ」とうれしかったです。

また、監督・脚本を、『KUBOクボ 二本の弦の秘密』などで知られるシャノン・ティンドルさんが担当されていたり、CGアニメーション制作を『スター・ウォーズ』や『ジュラシックパーク』などの名作を生み出した「インダストリアル・ライト&マジック(ILM)」が手がけていたりと、豪華な製作陣にワクワクしました。

──サトウ・ケンはどんな人物でしょうか?

僕が演じるサトウ・ケンは、ウルトラマンだった父親(サトウ教授)を持つも、子供の頃あまり面倒を見てもらえなかったという寂しい気持ちから、父親と距離を置いてしまうんです。それから歳を重ね、憧れだった野球選手となり、いまは自分を強く見せようと振る舞う人物として描かれています。

実は僕も、彼と父親との関係を理解することができる部分があって。父がプロ野球選手でいつも忙しくしていて、僕は「寂しい」とか「こうしたい」と、父に自分の気持ちをまっすぐ伝えられなかったんです。性格や振る舞いはケンとは違うけれど、共感する部分がたくさんあるので、この作品に対して運命めいたものを感じています。


──共感する部分が多い役を演じるにあたって、どんなことを考えましたか?

どんなお芝居をするときにも当てはまりますが、演じる人物の気持ちを考えています。今回でいえばケンがどういう人間であるかを自分の中に落とし込む。ケンと父親との距離感に共感する中で、「ケンの行動って、彼の寂しさから生まれていて、大切な人に相手をしてもらったり、みんなから注目されたりするための虚勢なんだろうな」ということを感じ取ったりしました。それこそ、物語の中でケンに向けられるセリフの「あなたが求めているものは賞賛でもないし、お金でもない。関心なんじゃない?どんなに価値があるものよりも、あなたはお父様に見ててほしいの」は、まさに僕に言われていることだなと思いました。

彼が抱いている気持ちや感情がわからないということは一切ありませんでしたが、だからといってお芝居として簡単というわけではもちろんないですし、やりやすいというわけでもなかったんです。


──役に共感できても、演じる上で難しかったんですね。

今回初めて日本語吹き替えに挑戦しました。最初いただいた映像には、海外の俳優さんの声が入っていたので、その世界観を崩さない様に、お芝居のテンションを合わせていくことをしました。ただ、それがすごく難しかったんです。自宅で練習していたとき、テンションを合わせる前に「この英語のセリフには、日本語のどのセリフをどこまで合わせたらいいんだ」とセリフを捉えるのに試行錯誤していました。悩んだ末、友達の木村昴くんに相談したら「海外の俳優さんが、どのタイミングで鼻から息を吸って、いつ口から吐いていのか、というところまで合わせるのがいい」とアドバイスをもらって。

それから、まずそれぞれのセリフの秒数を計り、どこで息を吸ったのか吐いたのかを聞く。その呼吸は、敵に立ち向かう前の興奮からきているのか、何かに対する怒っているからなのかなどを考えながら、“吸う”“吐く”を台本に書いて、映像を繰り返し見ました。


子供の頃は強い人に憧れていたけど
いまの一番のヒーローは…

──リアルなCGアニメーションのキャラクターから自然に聞こえる言葉は、そんな緻密な作業から生まれていたんですね。山田さんが演じていてグッときた、好きなシーンを教えてください。

ひょんなことから、怪獣の赤ちゃんのエミと一緒に暮らすことになるのですが、お互いの距離感や関係性が変わっていき、二人で野球をするんです。そこは自然に気持ちが入りましたし、セリフの音に涙の成分がこもっちゃうような感覚がありました。

それまでケンは、自らエミと暮らすことを選んで、子育てという未知の世界に挑むけれど、大変な毎日に「俺は野球もやりながら、お前(エミ)のためにがんばっているんだぞ」と苛立っていたんです。でもそれって、限界までがんばっている人なら、誰にでも起こることだと思うし、理解できる。僕もお芝居が好きで、観てくださる人たちのことを思いながら、役を演じている中で、心身ともに「マジでしんどいよ、投げ出したいよ」と思うこともあります。そして、その状態を突破したときの喜びも知っています。そんな体験をケンにリンクさせることで、魂の叫びのような、お芝居を超えるお芝居ができた感覚がありました。

──本編にはいろいろな名シーンがありますが、ケンが自分らしくエミと心を通わせていく展開は心が温かくなり、一つのヒーローの姿を見た気がしました。山田さんにとって、ヒーロー、または憧れの存在は?

子供の頃は、何かを守っている強い人がカッコよく見えるじゃないですか。それから成長するにつれて、ヒーローって強さより、優しさを持っている人かなと思っていたんです。でも『ドラゴンクエスト11』をプレーしたとき、とあるムービーシーンで主人公の勇者に投げかけられる「勇者とは!最後までけっして……あきらめない者のことです!」という言葉にはっとさせられました。

そして、諦めないでいろいろなことをやり続けると、結局壊れるのは自分だと気づいて、諦めることも大事だと気づくんです。これまでの自分が考えていたヒーロー像を経て辿り着いたヒーローは、人の立場に立てる人。人の気持ちがわかる人が、僕にとっていま一番のヒーローだなって思っています。


──たくさんのアニメ作品で声優を務めている山田さんですが、これまでの声優としての経験は本作に生きていますか?

『クレヨンしんちゃん』(『映画クレヨンしんちゃん 激突!ラクガキングダムとほぼ四人の勇者』の防衛大臣役)や『100日間生きたワニ』(カエル役)に参加させていただいたときは、声優の宮野真守さんに、「技術のことは考えなくていいから、そのキャラクターの魂を考えたらいいんじゃない。それならずっとやってきたでしょ」って言われて気づきを得ました。

そして、『フラ・フラダンス』(平和人役)や『ONE PIECE(FILM RED)』(エボシ役)でそのアドバイスを実践して、昨年の『BLUE GIANT』で宮本大という主人公を一つの作品を通して演じて、やっと声のお芝居の第一歩を踏むことができたのではないかなと思いました。そして、先ほどもお話しした様に、木村昴くんに教わった「今回はより細かく、海外の俳優さんがどこで何回息をして、そこではどういう痛がり方をしているかを全部意識する」という教えを含め、これまでの経験を全部使おうと思って、収録に臨みました。声優を務めた作品全部がいまの僕の糧になっています。すべてを絞り出しました。

──うまくできた手応えがあったということですね?

ベストは尽くしましたが、やっぱり自分では、自分のお芝居はどうだったか、わかりません(笑)。


電波のない自然の中で
大好きなゲームを満喫したい

──サトウ・ケンはすごく魅力的な人物でした。貴重なお話ありがとうございました。ここから少しプライベートについて教えてください! 最近ハマっていること、夢中になっているものは何ですか?

『葬送のフリーレン』というアニメを観ることと、『モンスターハンター:ワールド』をプレイすることです。あとは酵素風呂に行く、整骨院に行く、ヘッドスパに行く、自分が住んでいる街のおいしい料理屋さんを探すなど。ようやくそういう好きなものを満喫できる時間ができたんです。いままではずっと大切な作品に向き合っていたのですが、最近は少し余裕が生まれました。

──リラックスするためにやることは?

ただボーッとする、ですかね。動画を流しっぱなしにして、深く考えることなく眺めます。『モンハン』のゲーム実況を見たり、好きな漫画を読んだり、ゲームをやろうとしたりすると、すごく集中してしまうので、リラックスできないんです。仕事と同じように本気でやるので(笑)。

──次の休みでは何をやりたいですか?

ウィークエンドを想定して2日間の休みだとしたら、海や山を見に行きたいです。スマホを見ずに生活するデジタルデトックスをしつつも、オフラインのゲームはやります(笑)。自然を愛でながらゆるっとゲーム、最高ですね。


山田裕貴|YUKI YAMADA

1990年9月18日生まれ、愛知県出身。2011年、『海賊戦隊ゴーカイジャー』のジョー・ギブケン/ゴーカイブルー役で俳優デビューを果たす。近年の出演作に、ドラマ『どうする家康』、『君が心をくれたから』、映画『東京リベンジャーズ』シリーズ、『キングダム 運命の炎』、『ゴジラ-1.0』、劇場アニメ『BLUE GIANT』などがある。7月12日公開の映画『キングダム 大将軍の帰還』(万極役)に出演する。

公式Instagram:https://www.instagram.com/00_yuki_y/
公式X:https://x.com/00_yuki_Y

『Ultraman: Rising』

監督:シャノン・ティンドル
共同監督:ジョン・アオシマ
脚本:シャノン・ティンドル、マーク・ヘイムズ
日本語吹替え版キャスト:山田裕貴、小日向文世、早見あかり、立木文彦、恒松あゆみ、桜井浩子、青柳尊哉
●2024年6月14日より、Netflixにて世界配信
Ⓒ円谷プロ 

野球界のスター選手、サトウ・ケンのもう一つの姿、それは地球を守るスーパーヒーロー「ウルトラマン」。その役割を担うべく、ケンは帰国して日本球界の一員として、試合に臨む。しかし、突如出現した強大な怪獣ジャイガントロンによって平和な日常は破られるのだった。ケンはウルトラマンとなって戦いに挑むが、迫りくる怪獣の攻撃は激化する。そんな中、ケンは、「宿敵」の子である“赤ちゃん怪獣”の世話を任せられるという、思いもよらない事態に陥る。そして、新米パパとして奮闘しながら、疎遠になっていた父親との関係や「ウルトラマン」であることの本当の意味と向き合うことになるのだった…。

『Ultraman: Rising』公式HP:https://www.netflix.com/title/81007144

ジャケット¥41,800・パンツ¥38,500(ともにディガウェル)/ディガウェル1 その他/スタイリスト私物

Photos:Teppei Hoshida Hair & Make-up: Junko Kobayashi Stylist:Akiyoshi Morita Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

力石恒元

力石恒元

エディター

ファッションからインタビューテーマまで幅広く執筆。音楽、映画、カルチャー、ガジェットなどに精通。

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