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編集部が気になる人に会いに行く連載「WEEKEND INTERVIEWS」。第19週に登場するのは、俳優の浜辺美波さん! 1月27日に公開する映画『金の国 水の国』で主人公サーラの声を務めている彼女に、作品の魅力や収録の舞台裏、そして、プライベートの過ごし方について聞いた!
理想はリスペクトしている
相手の幸せを第一に考えること
──原作は、100年間国交が断絶されていた二つの国を舞台に、〈金の国の〉王女・サーラと〈水の国〉の建築士・ナランバヤルが出会い、偽りの夫婦を演じることで心の交流を深めていく物語です。心の優しいサーラの声を担当する上で、大事にしていたことはなんですか?
原作を読んだときにすごく感動したので、愛おしいサーラというキャラクターを台無しにできないという思いで、最初はプレッシャーで固くなっていました。収録に入ってからは、繊細で美しい絵や音楽を邪魔しないように魅力的なお芝居ができたらいいなと思いました。サーラの心情に寄り添いながらも、原作や脚本を読んだときに感じた彼女の穏やかな雰囲気を表現できる声を出せるように、演技に臨みました。
──サーラは本当に優しくてかわいらしい人ですね。浜辺さんがサーラの振る舞いや性格で共感できた部分は?
サーラは第93王女で、一般的にその存在は知られておらず、また本人も穏やかな性格のため、これまで静かにしていたのだと思うんです。そんな彼女が、ナランバヤルや自分の国といった心から守りたいものができたとき、そこに全力を注ぐことができる姿にすごく共感できました。私自身も自分のためだけ、または自分をよく見せるためだけに、がんばろうとはあまり思えなくて。ただ、共演者の方といいお芝居をしたい、出演する作品をよくしたいと思ったときに初めて力を尽くそうと、ひとつギアが入る気がします。
──お芝居において、相手が賀来さんだから、または賀来さんが演じるナランバヤルだから、生まれたものはありますか?
アフレコで賀来(賢人)さんの声を聴いた瞬間に、ナランバヤルがそこにいる感じがしたんです。賀来さんが演じるナランバヤルは、気持ちの伝え方がストレートで、どの言葉も助走がなく、すっと心に響くので、サーラとして何も無理をせずにフラットな状態で一緒にいられました。というのも、賀来さん自身もまっすぐな性格の方だからこそ、ナランバヤルが話す言葉ひとつひとつに、嘘偽りがないと感じていました。
──最初はそれぞれの国の思惑により偽りの夫婦になる二人ですが、相手の優しさや誠実さに触れ、惹かれていきます。サーラとナランバヤルの2人の関係性でいいなと思ったところは?
お互いをリスペクトして思い合っているところです。それぞれ恋愛感情に近い気持ちを持っているのですが、それをお互いに押し付けたり、探り合ったりしない。リスペクトしているゆえに、相手の幸せを第一に願っているんです。そういう関係は理想だけれど、なかなかできることではないと思うので、すごくいいなと感じました。
また、この作品を通して思ったのが、人の優しさと温かさは、遠回りかもしれないけど、どんな争いの解決方法にもなり得るんだということ。そう思うことで勇気をもらえました。日常生活で喧嘩や争いに遭遇したときも、ちょっとした優しさを自分が持てていれば、解決への道を無限に選べる。サーラとナランバヤルを見ていて、私自身そういう人でありたいと思いました。
──浜辺さん自身が男女を問わず、思わず惹かれたり、一緒にいて心地いいと思ったりする人はどういう方ですか?
言葉と言葉遣いが優しい人に惹かれます。選択肢がたくさんある中でこの言葉を選んでくれたんだ、と思う方は本当に素敵だと思います。言葉選びや言い回しは習慣だと思いますし、優しさやユーモアをもってポジティブな言葉に言い変えられる人は、他人にも大きな愛を持っていると思うので、とても憧れます
──二人を見ていて、人としてひとつの美しさが描かれていると思いました。浜辺さんにとって美しい人とは?
お仕事をしていて思うのですが、人の意見を受け入れつつ、上手に言葉を選びながら、自分の意見をすり合わせて対話できる人が本当に美しいなって。相手の意見を全部受け入れるという姿勢もときには大事ですが、その中で自分の意見をうまく説明をしながらみんなにとっていい形にもっていける人は、私には美しく見えます。また、そういう話し合いに挑める人をカッコいいとも思います。美しさには心の余裕が必要なのかもしれないなと思いました。
──サーラも、つねに心に余裕があるわけではないと思うのですが、ナランバヤルや身の回りの親しい人には、優しい大きな心で接しています。
そうですね。私の好きなシーンで、月夜の下でサーラがナランバヤルを送り出す場面があります。彼についてある事実を知った後で、聞きたいことがたくさんあるけど、それを一度置いておいて、彼がやろうとしていることをまず応援する。優しさという人間の美徳が全面に出ている温かく、同時に切ないシーンで心が動かされるんです。ぜひ本編で観てみてください!
休日は自分のメンテナンスと
愛犬との時間を楽しむ!
──浜辺さんは、アニメや漫画が好きとのことですが、昔からよく観たり読んだりしていたんですか?
3、4歳の頃から『アンパンマン』や『ポケモン』を観ていて、当時はこの世界の延長線上にアンパンマンが存在していて、番組のために撮影をしていると思っていました(笑)。初恋はアンパンマンでしたし、アニメーションがすごく身近な存在だった気がします。もう少し大人になって、漫画を読むようになりました。
──最近観た、読んだ作品の中でグッときたものはありますか?
『日本三国』です。日本版の三国志のような物語で、主人公の復讐劇を描く下剋上的なストーリーながら、設定や展開などがすごく新鮮でおもしろいんです。単行本で3巻まで出ていて、年齢指定がつきそうなくらい血が多いシーンもあるのですが…これから主人公がどんどん活躍していきそうで楽しみです。
──引き続き、プライベートについてお話を伺いたいのですが、家でのリラックス方法を教えてください!
お仕事をしているときは、「お仕事がんばるぞ!」と意識をキリッとさせるために、休憩中にコーヒーをよく飲みます。なので、家に帰ったらカフェインが少ない紅茶やほうじ茶などの温かい飲み物を飲むことが多いです。その瞬間にすっと肩が下がり、一息つける感覚になります。
──オフの日にハマっていることは?
自炊が好きなので、気ままに好きな料理をつくります。ロケの撮影が続く期間は長期で保存ができないので、時間ができたときにおいしく栄養を摂れる野菜たっぷりのスープをつくって飲むようにしています。
──最近つくったお気に入りのスープは?
ボルシチがおいしかったです。ビーツの水煮を使うと簡単につくれますし、牛肉と野菜を入れるので、食べ応えも十分!
──おいしそうです! 朝起きてまずやることやルーティンはありますか?
まず愛犬をケージから出してごはんをあげてから、自分のことを始めます。シャキッと目が覚めるので、冷水で顔を洗います。
──あるオフの一日のスケジュールを教えてください!
鍼灸や歯科など、メンテナンスに行っています。事前に予約しておいて、それをメインに他の予定を組みます。朝は愛犬とコミュニケーションをとりながらゆっくり過ごして、天気が良かったら散歩に出掛けて、メンテナンスに行って、夕方以降から、映画を観たり食事に行ったり好きなことをします。
浜辺美波|MINAMI HAMABE
2000年8月29日生まれ、石川県出身。2011年に俳優デビュー。近年の出演作に、ドラマ『ドクターホワイト』、『オリバーな犬、 (Gosh!!) このヤロウ シーズン2』、映画『やがて海へと届く』などがある。3月公開の映画『シン・仮面ライダー』でヒロインの緑川ルリ子役を務める。また、今春放送開始のNHK連続テレビ小説『らんまん』で主人公の妻、槙野寿恵子を演じる。現在、『浜辺美波カレンダー 2023.4-2024.3』が発売中。
公式サイト:https://minami-hamabe.net/
公式Twitter:https://twitter.com/MINAMI373HAMABE
公式Instagram:https://www.instagram.com/minami_hamabe.official/
『金の国 水の国』
監督:渡邉こと乃
出演:賀来賢人、浜辺美波、戸田恵子、神谷浩史、茶風林、てらそままさき、銀河万丈、木村昴、丸山壮史、沢城みゆき
●1月27日より、全国公開
公式HP:https://wwws.warnerbros.co.jp/kinnokuni-mizunokuni-movie/
©岩本ナオ/小学館 ©2023「金の国 水の国」製作委員会
〈金の国〉の誰からも相手にされないおっとり王女・サーラと〈水の国〉の家族思いの貧しい建築士・ナランバヤル。100年もの間国交を断絶している敵国同士の身でありながら、国の思惑に巻き込まれ、偽りの夫婦を演じることになった二人。深刻な水不足によるサーラの未来を案じたナランバヤルは、戦争寸前の二つの国に国交を開かせようと決意する。
Photos:Teppei Hoshida
Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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