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【小野ハナ】「モルカーの空気感を出すためには、コントロールの外にある遊びが大切」【ウィークエンド・インタビューズ 第13週】

【小野ハナ】「モルカーの空気感を出すためには、コントロールの外にある遊びが大切」【ウィークエンド・インタビューズ 第13週】

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編集部が気になる人に会いに行き、仕事のことからプライベートのことまでじっくりインタビュー。第13回は、人気パペットアニメーション『PUI PUI モルカー』の新シリーズ『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』の監督を務める小野ハナさん! 第一期監督であり、本作の原案者&スーパーバイザーの見里朝希さんから引き継いだ思いや、教習所を舞台にしたシチュエーションコメディを描くおもしろさなど、小野監督がDRIVING SCHOOL編に込めた愛情を聞きました!アニメーション監督の気になる休日の過ごし方も公開!

 

アニメーション作家の仲間として
優れた作品を絶やしたくなかった

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──小野さんは、第一期の「PUI PUI モルカー」の3、4、6話の絵コンテを担当されていました。参加するきっかけについて教えてください。

原案者の見里(朝希)さんとは、大学院が一緒で、学年は違うんですけど、当時から「フェルトですごい作品をつくる人が大学院に入ってきた」と噂を聞いていて。それから、お互い作品を出品した映画祭でお話したことがあり、その後のテレビ東京のアニメシリーズ『けだまのゴンじろー』の打ち上げの席で再会しました。そこで、モルカーのお話とその制作の手が足りてないことを伺って、「絵コンテやりましょうか?」とお声がけしたことがきっかけです。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──担当する話数はどのように決めましたか?

見里さんはもともと全12話をご自身でつくろうとしていたので、撮りたい話数に優先順位をつけて、どうしても手が回らない話数の絵コンテを担当しました。第6話の「ゾンビとランチ」はSFアクションの要素のあるストーリーで、最後まで見里さんがやりたいと悩まれていた話数でしたね。

──最初のモルカーの印象はいかがでしたか?

二足歩行の人形のコマ撮りの場合、自立させるための固定と、そのための器具などバレているものを消す作業が非常に大変なんです。それに対して、車がモチーフのパペットであれば、ただそこにいるだけで自立してくれて撮影も楽だし、しかもモルカーはかわいい姿が成り立っていて、最初は「賢い!」って思いました。しかし放送を見たら、タイヤ4つすべてがそれぞれ動くことでモルカーが歩いていて、「これ一番大変なやつだ」と思いましたね(笑)。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──自立する人形は手足でいろいろな表現ができます。モルカーらしいおもしろい表現はありますか?

人より歩く足(タイヤ)が増えて4つあることで、ドタバタ感や一生懸命さが出ますね。また、目の表情がない代わりに、振り向く角度や、フェルトを生かした毛の盛り上がり具合で表情豊かに見せることも。シンプルだからこそ、小さなところが映えてくる。耳が傾くだけで「元気になった!」と見せられるんです。

──今回「PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL」の監督を依頼されたときの気持ちを教えてください。

見里さんのような個人作家として自分一人で作品をつくっていた方が、テレビシリーズを手掛けられてたくさんの方の目に触れる機会ができ、皆さんに愛されるようになったことが奇跡的なことだと思うんです。その奇跡を途切れさせないように、どうにか続いてほしいという思いで「こういうスタイルなら可能かもしれません」と答えました。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──見里さんの思いをつなぐ気持ちが強かったんですね。制作する中で注力したこと、がんばったことは?

私が監督を務めるにあたり、「UchuPeople」という私の会社で造形や制作体制の統括をすることになりました。そして、見た目は第一期からできるだけ変えない形で、背景も2Dや3DCGではなく、造形でやろうと決めて。2Dや3DCGにする案も世界観の発展の一つだと思いますが、いけるならコマ撮りでいきたいよねと。短い制作期間の中で、どこまで第一期の見た目を崩さないかというところががんばりどころでした。

──新シリーズで教習所を舞台にした理由を教えてください。

見里さんのアイデアスケッチの中に「教習所」というネタが元々あり、さらに今回の短い制作期間の中であれば、固定の舞台の方が造形時間を短縮できるのではないかという見里さんからのご提案があって決まりました。シチュエーションコメディのような、同じ舞台でいつものみんながワイワイしているという展開になるだろうという見通しが立ち、これは第一期にはなかった見せ方でありつつ、アニメとして親しみやすい形式なので、楽しめるのではないかと。モルカーの日常を描くのにはよい方法だと思いました。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──教習所のセットや美術もすごくかわいいですね。

撮影のときはメイキング動画にある教習コースよりもさらに狭い舞台で撮っていて。アニメーターさんの手が届くように、カットに必要な画角に区切られるようにつくられています。

──そうなると、事前のしっかりとした絵コンテや撮影プランが必要ですね。

そうですね。絵コンテで造形していないところを描くと撮影できないので、スケジュール的に可能な範囲を想像しながら絵コンテを切っていきました。「この画角を増やすならもう少し他のカットでもカメラ回しちゃっていいな」とか、「いっそこの画角こっちにまとめたら同じ週で撮影できるな」とか。演技の部分では、アニメーターさんにアドリブ的に演技をつけていただいています。第一期にも参加したアニメーターの方からレクチャーをしてもらったり、サンプル映像やルール覚書みたいなものもあって、動かし方や表情のルールなどは共有されていました。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

撮影は1カット2〜6時間かかることもあり、アニメーターさんが集中しやすいようにという理由もあって、私が同席することはなかったです。撮影前に最初のフレームの画像をもらってチェックして、撮り終わった後でまたプレビュー動画を見てお返事をします。私は脚本的に必要な最低限の要点をお伝えし、あとはお任せさせていただいていて。撮影していただいたものは必ずそれを上回ってくるのでいつも感動していました。

──アニメーターさんに全幅の信頼を寄せているんですね。

はい。アニメーターさんには、自分が担当したい話数を選んでいただいたんですが、皆さん私が「この方はこの話数がいいんじゃないかな?」と密かに思っていた話数を選ばれたので、これは勝ったなと思いました(笑)。


第一期の反響を受けて
登場キャラの背景を深掘り

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──新シリーズをつくるにあたって、見里さんが考えるモルカーの世界観を受け継ぐためにやったことは?

見里さんの普段のお話や好きな作品を聞いた上で、「こういう思考回路なのかな」と分析していますね。あと、見里さんの中でも第一期の大きな反響を受けて、新しく抱き始めた世界観設定もあって。特にメインキャラ以外のモルカーやドライバーである人間のドラマ性などです。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──なるほど! ドライバーたちの人間の背景を考えたり、などでしょうか?

そうですね。私自身もキャラクターの性格や人物像を考えるようになりました。第一期では、人間はモルカーを引き立てるちょっと滑稽な人物というくらいの設定でした。そこからDRIVING SCHOOL編では「この人はこういう人で、こういう生活をしていて、モルカーとこんな関係」ということも具体化されてきています。特にシロモのドライバーについては、見里さんも大事にしていると感じますね(笑)。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──DRIVING SCHOOL編で登場する新しいキャラクターを考えるときに、大事にしたことはなんですか?

第一期より、モルカーの世界での暮らしを想像して生まれたデザインの子が増えています。モルカーは基本的には現実のモルモットの色をしているのですが、街の中にいる人の数だけいろいろな暮らしがあるだろうという意識で、色々なデザインのモルカーが増えました。


小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL
──公式サイトの見里さんとの対談動画で「完璧すぎない手作り感」や「コントロールの外にあるものを表現することが魅力」というお話をされていました。すごくおもしろいキーワードだと思いました。
造形も動きも突き詰めていくと、最終的に計算の数値が表す表現になって、遊びがなくなってしまいます。アニメーションは1秒を24で割ったフレームで描いているのですが、小さいことにフォーカスしていく作業がたくさんあって、どんどん視野が狭くなってしまうリスクがあります。その中で数値にこだわったり完璧にしようとしたりすると表現が窮屈になる気がしていて。それが全体のコンセプトに必要であれば問題ないですが、モルカーの空気感や暮らし感、柔らかさのためには、コントロールの外にある遊びの方が大切だと思っていました。

──公式サイトの見里さんとの対談動画で「完璧すぎない手作り感」や「コントロールの外にあるものを表現することが魅力」というお話をされていました。すごくおもしろいキーワードだと思いました。

造形も動きも突き詰めていくと、最終的に計算の数値が表す表現になって、遊びがなくなってしまいます。「モルカー」のアニメーションは1秒を24で割ったフレームで撮っているのですが、小さい部分にフォーカスしていく作業がたくさんあって、どんどん視野が狭くなってしまうリスクがあります。それが全体のコンセプトに必要であれば問題ないですが、モルカーの空気感や暮らし感、柔らかさのためには、ありのままを生かしながらという意味で、コントロールの外にある遊びの方が大切だと思っていました。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──ストップモーションのおもしろさはなんですか?

私の感覚ですが、平たく言うと、ドローイングは自分で描きたいように描いて、配置したら完成します。こう描こうとか、こう見ようというものをそのまま実現するので、意識がそのまま出てくる。逆にいうと、意識したものしか登場しない。パースも建物の位置も体の形も、自分で描こうと思って自分でそこに描く。あるいは余白。それ以外はないんです。ストップモーションは、役者(人形)の体がアニメーターの体とは別個なので、他人の物理的な身体構造と向き合っていかなければならない。自分のものじゃない体と一対一で対話をしながら、精神を吹き込んでいく。パペットを操りながらも、パペットの都合に寄り添っていく。そこで生まれる表現やパフォーマンスは、制御しきれない領域があるからこそ、祈りや運動に近いものがある感じがして、非常におもしろいんです。それぞれで、ぜんぜんちがう脳みそを使っています。

地域ごとにそれぞれの
季節を比較する旅をしたい

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』の制作秘話を伺って、本編をより楽しめると思いました。もう一度見直したいと思います。これから、小野さんのプライベートについてお話を聞かせてください。オン・オフを切り替えるために、自宅ではどんな過ごし方をしていますか?

作業場からほとんど出ないので、おいしいごはんを食べることで切り替えていますね。買い物もあまり出られないので、いかにタイミングよくUberEatsを頼むかが大事(笑)。メニューを選ぶ時間が楽しくて、いい息抜きの時間なんです。


小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──最近ハマっているごはんは?

最近、とてもおいしいワンタン麺を見つけまして、ハマっています。しかも、遅くまでやっているのでありがたくて。最近寒くなってきたので、沁みますね〜。

──冬のワンタン麺、最高です! 週末など、オフの日にしているマイブームは?

オフをうまく過ごすのが下手で、今後の課題ですね…(笑)。最近やってみてよかったのは、家のテラスにリクライニングするキャンプチェアを持ち出して日光浴。お茶を持って空を見てるだけなんですけど、心地よくて(笑)。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──小野さん、しっかり休んでください!(笑) 時間ができたらやりたいことはありますか?

読書したいのですがなかなかできていなくて…積読(つんどく)しています。それこそ、暖かい日中にテラスで読みたい…。読んでいるジャンルはさまざまで、宇宙や自然科学系、心理学系の新書などなど。直近で読もうとしているのは、伊藤亜紗さんの著書や、横山光輝さんの『三国志』、あとは小野不由美さんや綾辻行人さんの過去作も。もう天井に届くくらい積んでる(笑)。

──アクティブな活動もしますか?

幼い頃から自然と触れ合うのが好きで、先日は軽井沢の「のぞみグランピング&スパ」という施設でグランピングをしてきました。宿泊するところが基地みたいなドーム型のテントで、まるで秘密基地のようでワクワクしました。当日は雨だったんですけど、宇宙船に篭ってるような非現実な感覚を味わえてよかったです。

小野ハナ PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL

──素敵ですね。では、連休ができたらまず何をしたいですか?

気候が異なるさまざまなエリアの四季を体感したいですね。私は岩手県盛岡市の、山に囲まれている盆地で育ち、山の稜線を見ながら暮らしていました。なので、東京に来たときは、周りに建物の輪郭しか見えず、慣れるまで時間がかかって(笑)。稜線を見たいという欲求を解消するために、出張の機会を使って自然を見比べていたんです。いまは各地の多様な冬を体験したいなって思っています。


小野ハナ Onohana

1986年7月1日生まれ、岩手県出身。アニメーション作家、画家、京都精華大学芸術部非常勤講師。東京藝術大学大学院映像研究科でアニメーション制作を専攻し、修了。卒業後、フリーランスの2Dアニメーターとして活動。2017年に、同級生の当真一茂とともに、アニメーション制作会社「UchuPeople」を立ち上げる。流れるようなメタモルフォーゼアニメーションや、コンセプチュアルな抽象風景作品の制作を行う。また、自然の脅威や現実世界に目を向けるようなシリアスな題材を取り上げる。近年は『PUI PUI モルカー DRIVING SCHOOL』の他、NHK盛岡放送局マスコットキャラクター「がんすけどんとなはんちゃん」(キャラクターデザイン)、JARO TV・ラジオCM「ダメダメ三匹のトーク」編などを手掛ける。

Instagram:https://www.instagram.com/__onohana/
Twitter:https://twitter.com/__onohana


『PUI PUI モルカー ドライビングスクール』

『PUI PUI モルカー ドライビングスクール』

原案・スーパーバイザー:見里朝希
監督:小野ハナ(UchuPeople)

●テレビ東京「イニミニマニモ」内にて、毎週土曜7時より放送
公式HP:https://molcar-anime.com/

ある日、大騒動を起こしたポテトたちが連れてこられたのは…ドライビングスクール?! まるでテーマパークのようなその場所で巻き起こる新しい出会い、ドライバーとの絆、試練…? 今度のモルカーはモルシティを飛び出して…? プイプイ! ワクワク! 大暴走?!

Photos:Masaki Fujimura Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

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