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今回は、編集部が気になる人に会いに行く連載「WEEKEND INTERVIEWS」の特別編をお届け! NHKで放映中の『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』(毎週火曜23時〜)で共演している田辺誠一さんと中川大輔。二人はメンズノンノモデルの先輩後輩であり、俳優という共通点も持っている。そんな二人に、現在進行中の「メンズノンノモデルオーディション2023」のファイナリストから寄せられた質問に答えてもらった!
メンズノンノモデルは公私ともに
掛け替えのない仲間たち
──「メンズノンノモデルオーディション2023」の最終ファイナリストからの質問に答えていただく前に、お二人が思うメンズノンノモデルの魅力を伺えたらと。
田辺 これ、3時間は話せますが、簡単に答えますね(笑)。メンズノンノモデル時代は本当に楽しかった。これから何になるのかわからない者同士だけど、メンズノンノという魅力的な場所に引き寄せられて、そこでひとつのものを毎月つくるという作業が好きでした。あと、仕事が終わればみんなで飲みにったり遊びにいったりしていて、同じ世代のマーク(・パンサー)や大沢(たかお)たちとよく一緒にいましたね。
中川 いまも変わらないですね。先輩後輩の関係はありつつ、みんな仲がいいです。僕が思う魅力も田辺さんと同じで、同世代の仲間が集まって、多くのスタッフさんと雑誌をつくることは楽しいですし、いろいろな人に会ったりいろいろな場所に行ったり貴重な体験ができます。あと、応募資格が「年齢23歳以下。身長175cm」など、チャンスを掴むための間口が広いという点もひとつの魅力かなと思いました。
カメラの前に立つときに
人物像を考えることが大事
──それでは、ファイナリストの質問をもとに、Q&Aを始めます! No.12四坂亮翔くんから「メンズノンノモデルになるために努力したことは何ですか?」
田辺 努力はしてなかったな…。目立つかなと思って応募書類を赤鉛筆で書いたんですけど、後から「それは決別のときに使うものだよ」と怒られました(笑)。あと、面接のときに特技を聞かれて、誰もできないと思って舌を鼻にくっつけたくらい(笑)。結果、ウケてくれていたんだと思いますけど、ちょっとしたユーモアは意識していたのかも…。
中川 印象に残すって大事だと思います。僕は応募書類を書くときに、字が汚くて落とされたらいやだったので、大学の建築学科で使っていた製図板で直線だらけの文字を書きました。僕も後から「ヤバいやつが送ってきた、怖い」って編集部から言われました(笑)。僕も努力ではないのですが…すみません…。
──No.9伊藤絃くんから「私は少し太りやすい体型でスタイル維持がいまの課題です。お二人は綺麗なスタイルを維持されていますが、そのためにしていることがあれば教えてください」
田辺 食べ物を制限するくらいかな。運動はもうしない。高校時代のボート部で一生分やったから(笑)。
中川 僕はごはんをたくさん食べるので、食べたぶんシンプルに走っています。モデル体型にはランニングがいいと思います。あとは家でできる自重トレーニング。筋トレしすぎると体が大きくなって服が似合わなくなるので注意!
──ちなみに、中川はモデルオーディションでは緊張していたの? プレッシャーをどう乗り越えた?
中川 僕もファイナリストとして発表された瞬間に、大学で広まっちゃったので、プレッシャーというか、落ちたら三年間「落ちた人」としてみられるのかなって不安になりました。でも、自分できる限りのことはやろうと思ったし、落ちたとしても人に話せるネタになるなってポジティブに考えました。
田辺 がんばったことは無駄にならないから、自分を信じてほしいな。たとえどんな結果であれ、神様が自分にとってベストな道を選んでくれたと考えることも大切かも。
──No.7松井大奈くんから「モデルと俳優を両方務めるうえで心掛けていることは?」、そしてNo.1髙橋大翔くんから「モデル業と俳優業でいちばん違いを感じる部分はどういったところですか?」
田辺 特に切り分けて「こうだ」と決めていることは明確になかったけど…モデル時代は、その服を着ている人はどんな人物なんだろうか、どんな気分だろうかと設定をつくっていました。そのきっかけが、モデルになって初めて呼ばれた仕事で、足元しか写らない靴の特集の撮影だったんです。そのときに編集の方に言われたのが、「ただ写るだけじゃなくて、友達との待ち合わせで立っている足なのか、恋人がもうすぐ来る状況なのか、仕事の途中なのか考えてみて」ということ。その設定は誌面では伝わらないかもしれないけど、心持ちとしてもっておくことが大事。他のモデルと撮るときも関係性を考えて、友達なのか同じ人が好きなのか、とか(笑)。それがのちのちの役づくりに生きたと思う。
中川 僕もためになるお話です。モデルはあくまで服が主役で、自分らしさを前面に出すより、着ているものを引き立てる人物になることが大事。俳優は演じる人物が自分にとっての主役であって、人物像を見せるために自分らしさを足してもいいと考えています。違いについて、専属モデルでいえば、長い間同じ編集部や同期のモデルと一緒にお仕事をすることは、俳優だとあまりないですよね。
田辺 そうだね。ドラマだとだいたい一ヶ月や三ヶ月で終わるから、また会う人もいるし会わない人もいて、転々と旅をしている感じだね。その点、専属モデルはいい関係をつくれて、ファミリー感がある。
──No.5永尾樹くんから「いままででいちばん影響を受けた方はどなたですか? また、どのようなところに影響を受けましたか?」
田辺 僕は役者で言えば、笠智衆さん。中学生の頃にあるドラマで彼を見て、涙が止まらなくて。役者はこんなことまで表現できるんだと感銘を受けました。あとクリエイターで言えばスティーブ・ジョブズさんです。映像や音楽など、さまざまなクリエイターやアーティストがもつインスピレーションや表現を、彼が生み出したコンピュータを通して広げてくれました。
中川 僕が俳優になりたいと思ったのが、『ダークナイト』でジョーカー役を演じたヒース・レジャーを見て。僕も田辺さんがおっしゃったみたいに、「俳優ってこんなことできるんだ。カッコいい」と衝撃を受けました。
役を演じるたびに新しい
考え方や視点を獲得できる
──No.2野村康太くんから田辺さんへの「モデルから俳優になったきっかけは?」。そして、No.4加藤晴くんから「モデルや役者でなければどんな仕事をしていましたか? 高3の受験生なので、進路について迷っています」
田辺 もともと映像系の仕事に就こうと思っていたんです。そんななか、先輩の阿部寛さんが俳優の道へ進んで、僕たちも仕事のひとつとして俳優を意識するようになって。ゆくゆくは映画を撮りたいとも思っていたし、自分が演じられるなら、キャスト代もかからず、好きな演出ができるから、出る側もアリだなと思ったのがきっかけですね。映像が好きなので、この仕事をしていなかったら、映像系の仕事か映画監督を目指していたと思う。建築も好きで、30歳過ぎてからは建築家も素敵だなって思うようになりました。
中川 僕は大学で建築学科に通っていたので、建築家の道を選んでいたと思います。
──最終ファイナリスト9人の中には、これから俳優を目指したいと思っている人もいるのですが、役を勝ち取るために作品のオーディションで意識していることはありますか?
中川 さっきと同じになってしまいますが、印象に残ることがいちばん大切だと思っています。もちろん役にあったお芝居ができることを考えながら、他の人がやっていないことをやろうとはしていますね。とはいえ、それが功を奏すかは難しいところ…僕は一回歌手の役のオーディションで自作のラブソングを披露したのですが…歌唱力が足りなかったのかもしれないですね(笑)。
田辺 その心意気は大事だと思うよ。僕はオーディションに限らず俳優という特殊な仕事のために、自分らしくいることを意識しています。言ってしまえばお芝居が虚構の世界ではあるので、普段の生活で嘘をつかないようにしています。私生活で嘘をついていたら、嘘の世界でしか生きられなくなってしまうので。自分をごまかさないことが大事かな。
──また、お芝居に対してお二人が考えていること、意識していることは何ですか?
中川 役を演じることでその人物の価値観が自分に入ってくるところが魅力ですね。僕はAmazon Originalドラマ『モアザンワーズ/More Than Words』で同性愛者の永慈を演じたときに、考え方も世の中の見方も変わったんです。お芝居の中でも「こういう言われ方、態度は傷つくな」って感覚になって。それは、作品が終わっても残って、役のぶんだけ自分の視野や世界が広がっていく。
田辺 僕も『ハッシュ!』という映画で、中川くんが演じた役と近い人物の栗田勝裕を演じて同じことを思った。その役の気持ちで世の中を見るから、すごく気持ちを理解できるんだよね。僕たちがそう感じたような、物語の作者や監督が伝えたいメッセージを、ドラマや映画という形で多くの人に知ってもらうことは、俳優の役割だとも思う。
──No.6冨永章胤くんから「俳優活動をする中でいちばんツラいことは何ですか?」
田辺 僕は全部ですね。古い考えかもしれないけど、俳優業は自分が人間として経験を積んで成長するための修行だと捉えていて。お芝居って負荷が大きいぶん、自分の精神と肉体を鍛えられながら、乗り越えて進んでいくのが面白いから、修行としてとても価値があると思ってる。「ツラいことは?」と聞かれるとこう答えてしまうけど、「やっていてよかったな」「すごく幸せだな」という気持ちは年々増していっています。でもここ数年、目の前のことを受け入れることも大切だと思って、その場を素直に楽しむようにしています。
中川 なるほど。僕は『ラフな生活のススメ』で楽しそうに演じている田辺さんを見られてうれしかったです。あと、僕がツラいと思うことは…ないです。現場すべてが楽しくて。逆に現場がない休みの日は何をしていいか迷うくらいです(笑)。
──No.10デニスくん&キリゴくんから「メンズノンノが長い歴史の中、愛されている理由はなんだと思いますか?」
田辺 編集さんとモデルが一生懸命につくり続けたものを、多くの人が共感して読み続けてくれていることじゃないでしょうか。僕らが俳優になったときは、モデルが演技を始めることがあまり受け入れられない時代の空気もあったんです。いまの中川くんの世代ががんばって活躍しているから、僕たち先輩もメンズノンノモデル出身なんだって堂々と自慢できる。
中川 僕たちは先輩がつくった道を歩かせてもらっているので、とても感謝しています。僕の質問の答えは、常にモデルとスタッフが一丸となって、その時代の多くの人がカッコいいと思えるページをつくっているから。ずっと憧れを生み出していっているんだと思います。
──田辺さんがメンズノンノモデルをやられていた時代のファッションが、いまリバイバルしています。読者が30年前の田辺さんの誌面を見たら、新しいインスピレーションを得るかもしれません。
田辺 僕がメンズノンノをやっていたのは80年代から90年代。きっと読者の皆さんは生まれていないと思うし、純粋に初めて見るカルチャーとして新鮮で、素直にいいと思っているんですよね。中川くんが現場に持ってきていたフイルムカメラも回帰ではなくて、手間がかかっても自分がいいと思える写真を撮りたいから使っているんだもんね?
中川 そうですね。
田辺 小池さんが撮ってくれたうちら二人の写真、すごくよかったよね。僕たちがかつて好きだったものを、いまの若者も好きということはうれしい。
──質問は以上です! ぜひ新しい後輩モデルが誕生する「メンズノンノモデルオーディション2023」を引き続き見守ってください!
田辺誠一|SEIICHI TANABE
1969年4月3日生まれ、東京都出身。高校3年生のときに応募した「第2回メンズノンノモデルオーディション」で専属モデルに選ばれデビュー。その後92年に俳優デビューを果たす。俳優として活動するかたわら、映画監督も務める。近年の出演作に、ドラマ『刑事7人』シリーズ、『それってパクリじゃないですか? 』などがある。現在、NHK連続テレビ小説『らんまん』(NHK総合・毎週月〜土曜8:00〜)、NHK大河ドラマ『どうする家康』(NHK総合・毎週日曜20:00〜)に出演している。
公式Instagram:https://www.instagram.com/tanabe1969
公式X:https://twitter.com/tanabe1969
中川大輔|DAISUKE NAKAGAWA
1998年1月5日生まれ、東京都出身。2016年、大学一年生のときに「第31回メンズノンノモデルオーディション」でグランプリを獲得しデビュー。19年に『俺のスカート、どこ行った?』で連ドラ初レギュラーを務める。近年の出演作は、連続テレビ小説『舞い上がれ!』、ドラマ『大奥』、『沼る。港区女子高生』『合理的にあり得ない〜探偵・上水流涼子の解明〜』など。現在は、ドラマ『この素晴らしき世界』(フジテレビ・毎週木曜22:00〜)に出演中。
公式Instagram:https://www.instagram.com/nakagawadaisuke_official
公式X:https://twitter.com/daisuke_n_staff
『お笑いインスパイアドラマ ラフな生活のススメ』
出演:小池栄子、桜井玲香、中川大輔、豆原一成(JO1)、松本穂香、田辺誠一ほか
NHK・第9回:9月12日23:00〜、第10回:9月19日23:00〜
公式HP:https://www.nhk.jp/p/ts/9NKNRG8V12/
雑貨店の店主・福池恵美(小池栄子)が、娘の未来(桜井玲香)や息子の正門(中川大輔)や、恵美のお笑い好き仲間・山本信行(JO1・豆原一成)、謎の女性・未映子(松本穂香)といった周囲の人々に持ち込まれる小さなトラブルを“笑いの力”で明るくパワフルに解決していく。ドラマの合間にお笑いネタが登場し、物語とネタの内容が巧みに絡み合う。「笑いで生活を豊かに」をテーマに、脚本&ゲストにお笑い芸人を迎え、コメディとお笑いネタを掛け合わせた新感覚のオムニバスドラマ!
[中川]シャツ¥73,700・パンツ¥61,600(ともにオーバーコート)/大丸製作所3 その他/スタイリスト私物
[田辺]ニット¥360,800・パンツ¥123,200・靴¥125,400/ゼニア カスタマーサービス その他/スタイリスト私物
Models:Tanabe Seiichi Daisuke Nakagawa[MEN’S NON-NO model] Photos:Teppei Hoshida Hair & Make-up:NOBUKIYO Stylist:Yoshiaki Komatsu Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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