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今、落語がエモい! “最もチケットが取れない落語家”春風亭一之輔に聞く落語の魅力。

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週刊少年ジャンプで連載中の人気作『あかね噺』のアニメ化で注目が高まる落語。伝統芸能と聞くと身構える人も多いかもしれないが、いざ踏み込めば不思議と心を動かされる“エモい”魅力にあふれていた!

「最もチケットが取れない落語家」
春風亭一之輔に聞く
落語の魅力はどこにある?

たったひとりでお客さんを
笑わせたり、泣かせたり

落語家の春風亭一之輔

 僕が落語と出会ったのは、高校2年のときです。それまで入っていた運動部を辞めまして、時間ができたので、住んでいるところと、通っていた高校から「いちばん近い東京」だと思われる浅草に行ったんです。街をふらふらしていたら、のぼり旗が立っているちょっといかがわしい感じの小屋があって。それが浅草演芸ホールだったんですけれど、あのときで学生が1,300円ぐらいだったかな。そこにふらっと入ったのが、寄席と落語を生でちゃんと聴いた最初ですね。

 寄席の空間というのはすごくゆるやかな空気が流れていましてね。出てくる人は持ち時間15分とかで、トリは30分ぐらいなんですけど、その持ち時間を、まぁ、一生懸命というよりは、普通におしゃべりするような感覚でやるんです。演者は落語家だけじゃなくて、色物といって手品をする人もいれば漫才をする人もいて、面白い人もいればそうでない人もいる。お客さんも聴いているんだか聴いていないんだかわからない。そんなところで、いろいろな芸人が15分おきに出てきて、徐々にお客さんのテンションが上がってきて、トリのときにどーんとウケる。そういうのを最初に味わえたので、「あぁ、寄席っていいな」と思ったんですね。


扇子を持った手元

 落語家は、その空間でたったひとりでしゃべって演じて、お客さんを笑わせたり、ときには泣かせたりするわけですよ。かっこいいなと思いましたし、そういう芸能というのはなかなかないですからね。それで自分でやってみたんです。僕の高校にはかつて落語研究会があって、部室が残っていたので、先生に「やります」と言って、残っていた本とか落語のテープを覚えてやったら案外できた(笑)。できてないんでしょうけど、やってて楽しかったんです。

 最初は古典落語しか聴いてなかったですけど、古典にはあんまり劇的な話というのはないんですよね。人がただ生活しているのを描いていて、何かちょっとこんなふうにラクして酒でも飲みたいなとか、遊びたいなという人がまんまと失敗して笑いになるみたいな、そういう話ばっかりなんですよ。普通に本で読んだら「何だこれ?」というような話が、落語家の口を通して、さらに表情と仕草が加わって表現されることで、とても色鮮やかになってくる。そこにまず心をつかまれました。

 僕の場合は、図書館に通って、もう本当に片っ端からテープを借りてきて、ダビングして聴いていました。今だったらYouTubeとかですよね。落語家同士につながりがあるのも面白いところ。師匠がいて、弟子がいて、その弟子の弟子は誰で、といった具合にちゃんと系統ができているので、この一門はこういう話が得意とか、ちょっとマニアックにも掘り下げられる。そういう芸能なんです、落語って。3回聴くと評論家っぽくなれるというか、同じ話でも「あ、このあいだと違う」とか「あ、この人はこういうやり方なんだ」とか、みんな演出も違う。そこに注目する醍醐味はありますよね。

推しの落語家を見つけるのがいい

 普段、寄席に来てくださいという場合、「足湯みたいな感じです」ってよく言うんです。ちょっとほっとして、いい気分になって帰れる。寄席にはそういう効果があると思います。あと、若い人に向けて言うなら、最近アニメになった『あかね噺』に出てくる寄席はすべて現存のものをモデルにしてますからね。僕らが観ると、「あぁ、これは末廣亭の楽屋だ」とか「あの柱は鈴本演芸場のだ」とかわかる。実物を見に行くっていうのも面白いですよ。

漫画『あかね噺』のワンシーン

「ライバルに向ける競争心など、落語家の心情もリアルに描かれていますよね」

Ⓒ末永裕樹・馬上鷹将/集英社

 落語家っていっぱいいて、真打だけでも200人以上いるので、その中には自分に合った人もいれば、そうでもない人もいます。なので、この人はいいなっていう推しの落語家を見つけるのがいいと思いますね。いきなり寄席に行って見つけるのは難しくても、今は「落語」って調べると、動画とかも普通に出てくるじゃないですか。それで推しの落語家を見つけるのもいいし、サブスクもけっこうあるので、検索してこのネタを聴くというのもあり。それで気に入ったら実際に生で観に行くというのもいいんじゃないですか。独演会とかホールで落語会とかもやっているので、そういうところに軽い気持ちで観に行くのもいいですよ。名前を聞いたことのある人だったらたぶん損はしないですから。それを観て面白いなと思ったら今度は寄席に行くという順番もありだと思います。

 一度は寄席に行ってもらいたいですね。生ものだから、ハズれることもあるかもしれないけど、寄席のあの空間で聴く落語はいいもんですよ。

 


寄席は足湯みたいなところ。
いい気分になって帰れる

春風亭一之輔

PROFILE

春風亭一之輔のプロフィール画像

落語家

春風亭一之輔

1978年、千葉県生まれ。大学卒業後、春風亭一朝に入門。2012年に真打昇進。現在は年間900席を超える高座に加え、『笑点』レギュラーやラジオ・ドラマへの出演など多方面で活躍。ハリのある声と抑揚に富んだ語りで人気を博し、“若手真打No.1”との呼び声も高い。

Photos:Karin Noguchi Hair&Make-up:Yumiko Chugun Composition&Text:Masayuki Sawada

渡邉

渡邉

メンズノンノ編集

入社6年目。本誌ではカルチャー企画を中心にファッション・ビューティページも担当。差し入れ探しを名目に、スイーツを衝動買いしてしまいがち。気になるお店のピンが最近200件を超えました…。お笑いも好き。

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