▼ WPの本文 ▼

人気アイドルグループ「嵐」のメンバーとして、俳優として、国民的な人気を誇る二宮和也が初となる著書『独断と偏見』を、自身の誕生日である6月17日にリリース。
“10の四字熟語をテーマにした100の質問”を通して、独立を経て40代を迎えた二宮の、これまで胸に抱いてきた気持ちや現在頭の中にたゆたう思いをすくい上げている。なぜいま、自分の心のうちを言葉で、本で残すのか──。本著を紹介するとともに二宮の魅力に、メンズノンノが迫る。
本の見本を読んでびっくり。
ここまでちゃんと載るんだ、と。

始まりは、二宮が「編集の人(長い付き合い)」と表する人物から、自社のお問い合わせフォーム宛てに来た一通のメールだった。その人物とは、雑誌『MORE』で約10年間続いた連載の担当編集を務めていた野呂氏。
「メールには、『あなたの言葉をよく思い出すし、それが励みになってがんばってこられた。それらをお守りとして1冊にしたい』と書かれていて。僕自身、自分の言葉にそういった力が宿っているとか、誰かを動かすなんて考えてもいなかったので、『はぁ…』みたいな感じで(笑)。でも、僕は野呂さんをすごく信じていたので、『じゃあ、やってみるか』という形で、1か月に1つの四字熟語を考えて、それをテーマに1年間かけて話そうということになりました」
長年仕事をともにした編集者からの問いかけに、二宮自身からも飾ることのない純粋な言葉が出てきたよう。また、それに真摯に向き合い、残そうと努めている。
「野呂さんが聞きたいことは、彼女の後ろにいるだろう人たちも聞きたいことだと思ったので、マイルドに話すより、純度を高めた自分の言葉で話した方がいいと思いました。今回、基本的に編集の方に最後まとめていただくのではなく、自分で直すところは直して、もっとわかりやすくできるところはわかりやすくしました。なので、ダイレクトに言葉が届いている、もしくは届いたらいいなと考えていました」

「実は追加の取材をしたというのもあって、のちのちに『ここで“僕”とか言っているけど、こっちでは“俺”になっていますが、統一しますか?』と聞かれて『しません』と。ここで“僕”と言っている何かがあるはずで、ここで“俺”と言っているのは、もうちょっと違うニュアンスで言いたかったんだろうな、とかを探りながら、『このときはこういうことだったんだ』という内容を書き加えたり、そんな手直しを三回くらい繰り返しました」
本著で紡がれた言葉は、自分の中にあった言葉を深掘りしたり、予期せず見つけたりしたものというより、普段持ち合わせている気持ちや思いを、100問100答を通して整理し、出力した表現であった。
「最初、この本の見本を読んでびっくりしました。こんなことをしゃべっていたんだった、しかもここまでちゃんと載るんだって(笑)。ただ、言っていることは昔から変わってないのかなと思いましたね。それこそ何回もいろいろなメディアで言ったり、テレビで使われてきたりしたフレーズもありましたし、今回初めてした表現と思うものもあったけど、その二つがかけ離れているわけではなくて、それぞれがその先や手前にある言葉で、一本のラインとして捉えているんだと思うことができました」

「例えば、(「温故知新」の章で)『僕がお芝居を教えてほしいと言われたら』という質問で、『「うまい」は趣味嗜好によるけど、「へた」はなぜか皆一緒。だから「へた」を教える方が気づきになる』みたいな話をしているのですが、『なるほどな、そうだよな…言い得て妙だ。でもこれ言ってるの、自分だ』と新鮮な感じで読みながら(笑)、ずっと思っていたことだから、自然に言語化できたんだと感じました」
そこで気になるのが、テレビやYouTubeやSNSなどさまざまなメディアで自身について発信できる機会を持ちながら、なぜ新書という形を選んだのか。そこには、彼がこれまで向き合ってきた文字媒体との付き合い方が関係しているようだ。
「僕の生活が割と文字ベースなんです。人と会話することも、それこそ台本一つとっても、常に文字で情報を捉えていた人生でしたし、インスタグラムよりもX(エックス)が好き。担当編集の野呂さんとしても、文字だけの新書の方が僕の言葉を立体的に伝えられると考えていたと思います。僕も、客観的な目線で言葉を出そうと考えたときに、新書であれば『二宮和也はこう思っているよね』くらいの立場になれると思ったんです。
いろいろな情報を受け取れる時代になってきているけど、そういうものを削ぎ落として言葉と対峙するって贅沢な時間だと思うんです。(読書は)ある種の渇きを癒す一助になるんじゃないかなと思うし、僕の本が読む人にとってひとつのアイデアになればいいなと思っていますね。僕個人の話ですが、いまだ紙をめくらないといまいち言葉が頭に入ってこないというか。もちろんデジタルが悪いと言っているわけではなくて、ページをめくるときに初めてインプットできる感じがして、僕はそれがいいかなと感じていて。いや、デジタル版が好きな人もいると思うので…ごめんなさい(笑)」
アイドルとは相手が望むものを
理解して叶えられる存在だと思う

タイトルの『独断と偏見』。実は、当初予定されていたタイトルがあったが、二宮自ら提案して、変更にすることになった。その理由を聞くと、「内容があまりにも僕の独断と偏見すぎて、読み終えたときにタイトルが合致してない感じがした」と答える。
「2009年からMOREでやっていた連載が『二宮和也のIt[一途]』というタイトルで、この本が100の問いに答えるという内容だったので、当初の予定は『百問一途』でした。でも、いろいろ決まりかけていると思うけど、一旦置いておいて『独断と偏見』にしたい、と伝えたんです。内容としては普遍的な質問ばかりではなく、一般論で答えているものではありません。自分が思っていることを書くことが独断だし、世の中的には偏見に聞こえる言葉もある。それで『百問一途』という名で出すのは、『僕、性格悪すぎない?』と思ってしまって(笑)。『独断と偏見』になって、読みやすくなったと思っています。
僕は、わからない人にはわからなくていいとは思わないタイプ。だから野呂さんが僕の言ったことに対して『?』という顔をしているときは、話のどこで迷っているのか教えてほしいと伝えて、わかっていただけるまで具体的な話をしていきました」
「それがうっかり説教みたいになっちゃって(笑)」とはにかみながら続ける二宮だが、そこには彼が大事にしてきた愛や信条やこだわりが隠れているのだろう。そして、二宮和也のひとつの顔である“アイドル”の定義について質問され、まっすぐな目で語る回答を聞いて、それが確信に変わった。
「アイドルとして活動をする中で、“相手が望むことを叶えたい”“かゆいところに手が届く存在でありたい”という思いがありました。自分たちを指示してくださるコミュニティの人たちがいまどんな曲を聴きたいかを考えたときに、最新・最先端の音楽ではなく往年のヒット曲じゃないか、ということを理解して叶えられる者がアイドルなんです。また、僕がいるグループの『嵐』に関していうと、応援してくださる方々のお父様・お母様が、『嵐のコンサートだったら行っていいよ』と言える、安心で安全な存在でありたいとも思っています」

100の問答から伺えるのは、二宮が常にあらゆることにアンテナを張り、刺激を受け、思考し、それを生きる糧にしているということ。誠意がこもった言葉の一つひとつから、まさに“ニノ流哲学”を学ぶことができる。
最後に、二宮は完成した本をめくりながら、読者へ思いを馳せる。
「同世代の方はもちろん、働き方の価値観が違う若い世代や上の世代の方にも読んでいただきたいですね。説教くさく感じるのか、『それはあなただからできるんだよ』と思われるのか、『まだまだひよっこだな』と思われるのか。世代によってどう受け入れられるのか、興味深いところです。自分の誕生日に新書を出せるとは思っていなかったですし、ぜひ一人でも多くの方にこの本が届いたらいいなと思っていますので、どうぞよろしくお願いいたします」
二宮和也|KAZUNARI NINOMIYA
1983年6月17日生まれ、東京都出身。1999年、アイドルグループ「嵐」のメンバーとしてデビュー。映画やドラマ、バラエティ、CMなど幅広く活躍。最近の主な出演作品に映画『ラーゲリより愛を込めて』『アナログ』『8番出口』、ドラマ『ブラックペアン』シリーズなどがある。2016年、映画『母と暮せば』では第39回日本アカデミー賞最優秀主演男優賞を受賞。自身が雑誌『MORE』で約10年間務めた人気連載を書籍化した『二宮和也のIt[一途]』(集英社)が好評発売中。
公式サイト:https://office-nino.co.jp/
公式X:https://x.com/nino_honmono
公式Instagram:https://www.instagram.com/officenino/

『独断と偏見』
二宮和也著
集英社
2025年6月17日発売
¥1,100
▲ WPの本文 ▲