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世間で注目を集める「モキュメンタリー」。フェイクドキュメンタリーとも呼ばれるように、リアルとフェイクの境界線を巧みに操り生まれた作品には独特の魅力と説得力がある。
作家・ライターの城戸さんに、その奥深さと、「物語」のこれからを聞いた。
すべては最後にふざけるための伏線
感想の9割が「笑った」

モキュメンタリーが人気というのは、僕にはちょっと不思議なところがあって。昔からホラー作品が好きで、なかでも心霊ドキュメンタリーというジャンルが好きなんですけど、TSUTAYAの誰も見ないような棚に並んでいた時期も知っているので、それが今こんなに盛り上がっているのが不思議なんですよね。やっぱり考察ブームが大きいのかなと思います。例えば今はジャンプスケアが嫌いという人は多いじゃないですか。突然大きな音が出たり、急に顔が出てきたり、そういう直接的に驚かす演出を嫌う人はかなりいて。今は論理立てて考えて想像していった先に怖さがあるものがいいとされていて、それを求める人が多いから、血しぶきが飛び散るようなわかりやすいものよりも、考察する面白さがあるモキュメンタリーがウケているのかなと思います。

『悪魔情報』が生まれたきっかけは、あるときネット広告を見ていたら男性向けの精力剤を売っている詐欺サイトに飛んだことがあって、そのサイトのコメント欄が2ちゃんねるのスレッド形式になっていて、すごく面白いなと思ったんです。それで匿名掲示板を舞台にすることにしようと。匿名掲示板というフォーマットは地の文がなくて、それぞれが好き勝手に発言しているので、ストーリーを展開していくのもラクなんですよね。『悪魔情報』はモキュメンタリーと紹介されることが多く、それ自体はすごくありがたいのですが、僕としてはあまりモキュメンタリーの意識はなくて。確かにホラーとかオカルトとか超常現象といったものをテーマにはしています。ただ、読んでいて笑えるものが僕の一番めざすところで、実際に読者から寄せられる感想は9割が「笑った」です。最近のモキュメンタリーは、リアルさをずっと通底させるのが主流としてあると思うんです。一方、僕の場合、最初はちょっとマジメにリアル性を高める部分を用意しますが、それもすべては最後にふざけるための伏線というか、助走でしかありません。そこは決定的に違うのかなと。あくまでも笑ってもらいたいんです。ホラーは苦手だけど、『悪魔情報』は読めるみたいな声はよく聞くので、そういう作品があってもいいのかなと思っています。
城戸さんの作品
『悪魔情報 ある失踪したネットアイドル捜索スレ』

発売即重版となった前作『悪魔情報』の続編。Xでトレンド入りするなど、オモコロ連載時から話題沸騰の3編に、過去最長の書き下ろし長編を加えた全6スレッドを収録。¥1,870/KADOKAWA
Photos:Haruto Inomata Interview&Text:Masayuki Sawada

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