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日本サッカー界の未来を懸けた過酷なプロジェクトを舞台に、若きストライカーたちの”エゴ”と成長を描く映画『ブルーロック』。本作で共演した主人公・潔世一役の高橋文哉と國神錬介役の野村康太は、全力で役に挑みながら、俳優同士としても確かな絆を育んでいった。作品への思い、撮影中のエピソード、そして互いに受けた刺激について話を聞いた。
無謀な挑戦をしているからこそ
その覚悟を追い風にしたかった

──『ブルーロック』の映画化を聞いたとき、またご自身の役が決まったとき、どんなことを思いましたか?
高橋 映画『ブルーロック』のプロデューサーを務める松橋(真三)さんとお会いしたある日、お話をしている中で潔世一の役をいただいたんですけど、もともと読んでいる作品だったので「どういう風にやるんだろう...」と思ったことを覚えています。また、当時22歳になる前くらいのことで、僕は自分探しをしていた頃でした。当時、ありがたいことに一気に知名度がバンッと上がったけど、自分では実力が伴ってないなと思っていて。自分ってどういう作品に出たいのか、どういう役者になりたいのかを考えていた時期だったんです。
野村 そうだったんですね。
高橋 うん。そんななか、『ブルーロック』というすごく人気のある原作の映画化のお話を、しかも主人公を任せていただけると聞いてプレッシャーを感じました。約3年後の2026年に公開する作品に出ることにそのとき実感はなかったけど、『ブルーロック』が、潔世一が僕の目指すべき指標になったんです。

野村 初めて知りました。僕も最初の感想は文哉くんと似ていて、「あの『ブルーロック』をどうやって実写化するの!?」ってワクワクしました。作中には個性が強いキャラクターがたくさん登場しますし、すごい技もどんどん出てくる。台本は読んでいるものの、正直現場に入るまで実写化をまったく想像できていなかったんです...。だけど、いざ撮影が始まって役を演じるみんなにお会いしたら、本当に漫画やアニメから出てきたような方々ばかりで、「あの『ブルーロック』じゃん」って興奮しちゃいました。
高橋 そうだよね、わかる。
──まさに個性豊かなキャラクターが一堂に会し、世界一のストライカーを目指し己の“エゴ”を貫いて戦っていきます。高橋さんは潔世一と、野村さんは國神錬介という、自身が演じる役とどう向き合って現場に臨みましたか?
高橋 「潔って何が愛されているのか」というところをまず考えたかったんです。演じるには、自分が潔のいちばんのファンでいたかったし、本人に次ぐ第二の理解者でいようと思ったからです。そのために原作を読んでいくうちに、挑戦を続けたい自分の人生と重なる瞬間があったり、彼が内に秘めている想いに共感しながらも、「ただ秘めているだけじゃ意味がないんだ」と気づかされたり。そこで受け取ったものを、自分が映像で、潔世一というフィルターを通して多くの人に届けるために何が必要なのかということは、ずっと考えていました。

『ブルーロック』のお話をいただいてから撮影に入るまで、いろいろな実写化作品に参加させていただいて、そのなかでも『ブルーロック』の実写化がどれだけ大きな挑戦をしているかもわかっていたし、だからこそその逆風を追い風にしたいという想いが強くありました。それには「潔世一という役は高橋文哉しかいない、と思わせることから始めよう」と。潔がブルーロックで人生を変えようとする覚悟と、僕の作品に対する覚悟がお芝居でリンクしていけたらいいなと思いました。
野村 僕は、潔は文哉くんしか考えられないです。野村康太自身は國神というキャラクターとちょっと離れている部分があると思っていたので、観る方が「この人、國神だな」と感じていただけるように、自分と國神の隙間を埋めていくことをしました。まず立ち方や歩き方からどうしようか考えて決めていったり、シュートを決めた後のガッツポーズもホテルの鏡の前で何度も練習したりもしたんです。
高橋 現場でも練習してたもんね。
野村 文哉くんに「このガッツポーズ、どう思いますか?」って聞いたりとか(笑)。喋り方も研究しました。ふだんの自分とは違って、なるべく声のトーンを落として、ちょっとたくましく落ち着いているような雰囲気を出すために意識して発声をしていました。あとは、潔と國神が所属するチームZの中でいちばんカッコいい体になるように、ジムに通って、筋トレと食事制限をがんばりました!
高橋 会うたびに体がマジでデカく、カッコよくなっていったよね。
リスペクトと感謝の気持ちを
忘れない俳優仲間であり友達

──ブルーロックにサッカーの才能の原石たちが集まる本作には日本のエンターテインメント界を支える原石である俳優の皆さんが集結しました。現場の雰囲気はいかがでしたか?
野村 地方に1か月半ほど行きっぱなしで撮影をすることがあって、本当にブルーロックでの生活のように、朝から夕方までみんなでサッカーをして、ご飯を食べて、お風呂に入って、つねに仲よくワチャワチャしていましたね(笑)。そのなかで、一人一人が仲間を尊重し、支え、切磋琢磨していて、本当にすばらしい雰囲気の現場でした。キャストのみんな、スタッフさんを含めて、このチームで撮影できてよかったと思っています。
高橋 そうだよね。すごくよかった。康太が言ってくれた通り、それぞれが自分の役回りを常に探し続けて、もちろん衝突はゼロじゃなかったけど、すごく前向きなぶつかり合いで。同じ方向を向いて進んでいくために、「こう思っている人がいるけど、どっちにする?」と、自分たちにとってどういう環境をつくることが最善かを話していました。
そもそもこれだけの男たちを一つの箱に入れるとなったら、基本的にうまくいかないものだと思うんですけど(笑)。それを予想していたから、僕はどうやって主役として現場にいようか考えていましたが、優しく仲間思いのキャストが集まったおかげで、そんな心配は必要ありませんでしたね。
──きっと楽しくも刺激の多い現場であったと想像できます。潔と國神は本編の中で、チームメイトとして仲を深めるようなシーンも描かれます。お二人は『ブルーロック』で初めて共演しますが、お互いの印象や仲を深めたきっかけを教えてください。
高橋 いまはプライベートでも何度も会っているので康太のことを理解できていると思うけど、現場でまず感じたのは、すごくまっすぐで純粋という言葉が似合う人だなということ。目の前にある障害物に対して、いろいろな打開策を持って面と向かってぶつかっていく姿が素敵で。そこで、たとえ解決するための道具がなくなっても、周りに話を聞きにいって、手にした情報をちゃんと受け止めようとするキャパシティの広さはすばらしくて、康太の姿勢を僕も学びたいとつねに思っています。すごく僭越ですけど、僕は康太の成長をいちばん見ていた自信がある。
野村 すごくうれしいです。
高橋 最初に出会ったときよりもいい顔をしてクランクアップを迎えてくれたので、「この人は来年、再来年ぐらいに、どこかでブルーロックの現場を思い出して奮い立たされる瞬間があるんだろうな」なんてことを思いながら、僕も嬉しくなりました。彼自身も「本当にいい経験をした!」とずっと言っていたので、そう思う作品に主演として携われたことが、僕の大きな幸せです。
野村 うううぅぅ(感動)。

高橋 康太は特別な後輩で、自分が経験した大変だったこと、苦しかったこと、楽しかったことを含めて、僕の想いを素直に伝えたいと思う人の一人。何かあれば力になりたい。
──本当に素敵な関係ですね。
野村 文哉くんと知り合って、「こんなにもついていきたくなるような人が存在するんだ」と驚いたくらい。いろいろな取材で言っていますが、文哉くんと出会った瞬間から、僕の俳優人生が変わったと言えるほどすごい影響を受けているんです。
高橋 ありがとう。それをいつも伝えてくれるね。
野村 緊張感を持たせるときは、みんなをまとめてビシッとさせてくれるんですけど、緩むときはとことん緩んでみんなとワチャワチャする。キャリアや実績を積んでいても、文哉くんは相手へのリスペクトと感謝の気持ちと謙虚さを忘れていない。撮影が終わったら毎回、それぞれの部署に「お疲れ様でした」と挨拶をしに行く姿を見て、僕もこうでなくちゃいけないと改めて思い、すぐに行動に移しました。言葉選び、ワードセンスにも実は憧れていて、記者会見での発言をたまに見返すことも。とにかくすごくいい影響を受けていますね。
高橋 そうだったんだ。うれしいです!
野村 「この人を超えたい」と思える具体的な人物がポンって現れたので、意識が大きく変わりました。いま思えば先輩や現場のスタッフさんに甘えて過ごしていたなと思って、これからは共演者を引っ張っていく立ち位置に行きたいという欲が、文哉くんと出会ってから芽生えるようになりました。
高橋 普通に何人かで集まって遊ぶ時はただ友達みたいな感じですけど、仕事で会うと康太は真面目な部分が出てくる。「こんなに言ってくれるんだったら、もう何でも教えてあげたい!」と思いますよね(笑)。
野村 (笑)。よろしくお願いします!
高橋 つらい経験が次に生きることもあるからすべてを取り除きたいとは思いませんが、できることはサポートしたい。それで成長した康太を見て、「あの人を超えたい」と思う人が出てくることで、間接的に僕も評価されたと思えて、それがまた自分の自信につながります。
一緒に出かけすぎていて
もうやりたいことが見つからない!

──たくさんの俳優との共演やダイナミックなサッカーシーンの撮影など、挑戦が多い作品だったと思いますが、本作で経験したご自身にとって“初めてのこと”はありましたか?
野村 僕は『ブルーロック』の規模の映画でメインに近いキャストとして出たことがなく、さっき初めて『ブルーロック』の試写を観て、エンドロールで自分の名前を目にしたとき、ブワーッて鳥肌が立ちました。それと同時に、「主演やりたい!」って思いました。名前が初めに出てくる俳優になりたいという欲が出てきました。
高橋 震えるぜ?(笑)。
野村 (笑)。ヤバいでしょうね。
高橋 初めて自分の名前が頭に出てくるのを観たときは、やっぱり震えたよ。
野村 すごい。文哉くんの“初めて”は何ですか?
高橋 僕は仮面ライダー作品でデビューしてから、なんでも背負いがちだったんです。例えば主演を演じるなら、出演者みんなの思いも受け止めたいし、撮影現場の隅々まで気を配りたいし、視聴率や興行収入などの数字の部分も追求したい。作品に強い思い入れを抱くのはいいことだけど、僕を大事に思ってくれている事務所の方や俳優の仲間からは、「やめたほうがいい」と言われ続けてきました。背負いすぎると、ダメージを受けたときの衝撃も大きくなりますからね。
そんななか、今作で「本当に背負うとこうなるんだ」、そして「こんなにも自分って背負える人だったんだ」と気づかせてもらったんです。実際に背負えているかどうかを決めるのは僕ではなく周りの方ですけど、3年前から今まで、初めて共演者のみんなと会ったとき、クランクインしたとき、クランクアップしたとき、宣伝の取材を受けるとき、そのたびにだんだんと「自分ってこんなに覚悟を決めていたんだ」という思いが積み上がっていく感覚がありました。
ここまでの長い期間、一つの作品が生活の片隅にあり続けるのが初めてで、それとともに、作品についてここまで自分の思いに素直に話せるのも初めて。『ブルーロック』を経験して、“背負う”ことのもうひとつ上のレベルを見られた気がしたんです。これからも僕はこのやり方を続けていきます。みなさんが映画を選ぶときにいろいろな要素や条件があると思いますが、「とりあえず高橋文哉を見てくれ!」という強い思い、いわば僕のエゴの部分が湧き出ていますね。

──その思いを聞いて本編を観ると、潔たちの熱い物語により没入できる気がします。本作では、世界一の“エゴイスト”なストライカーの座を賭けた戦いが繰り広げられます。お二人が「これをやっているときはついエゴイストになる」といったこだわりはお持ちですか?
野村 あまりないかもしれない...。自分は周りにいる方たちから柔軟に吸収していきたいと思っていて。
高橋 そんな感じがする。スポンジだもんね。
野村 あ、筋トレはこだわりあります。ウォーミングアップの仕方やセットの組み方など、自分に合っているルーティンを見つけたので(参照記事)、プロの方に言われる以外はブレないです。誰かと一緒に筋トレをしに行っても、自分のリズムでストイックにやりますね。
高橋 ルーティンがあるんだね。僕は役を演じる時のビジュアルです。特に髪の毛をすごく大事にしているんです。例えば、ストレートヘアの人がパーマをかけたらガラッとイメージが変わるように、パッと見たときにその人らしさを感じるのってヘアだと思っています。だからこそ、役を作る上で髪型を大事にしていて。
野村 なるほど。
高橋 作品によっては“ヘア打ち合わせ”を作ってもらいます。カツラをかぶる役なら、細かく採寸して髪色や質感にすごくこだわって、監督とプロデューサーさん、ヘアメイクさん、そして僕、全員が求めているものを形にできるように追求します。今回潔を演じるにあたり、1週間に1回、忙しくて行けなくても 2週間に1回髪の毛を切っていました。本当に1mm単位で調整していって、「ここだ!」と思える髪型のボリュームとバランスを見て、自分で触って、いろいろな角度から写真を撮って、ヘアセットをしてまた流してと、とことんこだわって。潔世一を作るのに、カットだけで4時間半ぐらいかかりました。
野村 すごい。そんな細かいところまで役をつくっていたなんて。

──次、数日のお休みができたら、どこで何をしたいですか?
高橋 あと、髪色にブルーを入れたいっていうのを(監督の)瀧(悠輔)さんに提案させてもらいました。最初は、「ブルーを入れたときにどれくらい見えるかわからないから、時間が限られている中ではやらない方が吉ですよね」という話になったけれど、「次に染めて来るので、カメラテストをさせてください!」とお願いして、結果ブルーを入れたほうが実写の潔としていいとなって、本番でも髪色をキープしました。
原作のある実写化作品に出演するときは、“こだわりの保証”を心がけています。「ビジュアルは僕に任せてください!」という保証ではなく、「誰よりも役のことを考えています」という保証を提示したい。
野村 本当に文哉くんから吸収したいことがたくさん。
──今回のインタビューでお二人の絆=仲の良さが伝わってきました。いま、プライベートで一緒にやりたいことはありますか?
高橋 もう一緒に出かけすぎて、何にもないですね(笑)。やりたいことをすでにいろいろやってるよね?
野村 そうですね、はい(笑)。このままの関係を続けられたらうれしいです。
高橋 北海道、行きたいって話してたよね。時間を見つけて行こう!
野村 はい、楽しみです!
高橋文哉|FUMIYA TAKAHASHI
2001年3月12日生まれ、埼玉県出身。19年に『仮面ライダーゼロワン』にて主演を務め、注目を集める。近年の出演・主演作に、連続テレビ小説『あんぱん』や映画『少年と犬』、『夏の砂の上』、『クスノキの番人』(声優)、『SAKAMOTO DAYS』などがある。現在、ドラマ『Tシャツが乾くまで』(TBS・毎週金曜22時〜)に矢野直人役で出演している。
公式Instagram=https://www.instagram.com/fumiya_0_3_1_2/
野村康太|KOUTA NOMURA
2003年11月30日生まれ、東京都出身。メンズノンノ専属モデル。22年放送のドラマ『新・信長公記〜クラスメイトは戦国武将〜』、『silent』、『差出人は、誰ですか?』などの話題作に出演し、話題を呼ぶ。近年の出演作は、ドラマ『ディアマイベイビー〜私があなたを支配するまで〜』や映画『6人ぼっち』など。1stフォトブック『隣の君』が好評発売中。
公式Instagram=https://www.instagram.com/kouta_nomura_official/

映画『ブルーロック』
日本をサッカーワールドカップ優勝に導く革命的なストライカーを育成する施設“青い監獄(ブルーロック)”に、全国の高校生FW(フォワード)たち300人が招集された。勝ち上がれるのはたった一人、敗者は日本代表入りの権利を生涯失うという熾烈なサバイバルマッチに、己のサッカー人生を賭けて挑む潔世一(高橋文哉)たち。世界一のストライカーに求められるのは、誰よりも“エゴイスト”であること。己を探究し、自我を覚醒する者だけが、未来を、運命を切り拓く。
監督:瀧 悠輔
出演:高橋文哉、櫻井海音、高橋恭平、
綱啓永、野村康太/K(&TEAM)、
青木柚、西垣匠、富本惣昭、倉 悠貴、
東啓介/畑芽育、窪田正孝
●8月7日より全国公開
©金城宗幸・ノ村優介/講談社 ©CK WORKS
公式HP=https://bluelock-movie.jp/
Photos:Teppei Hoshida Text & Interview:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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