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メンズノンノウェブでの連載「GAROU」を通じて、写真家としての表現を深めてきた中島裕翔。今夏には、その集大成ともいえる自身初の写真展・中島裕翔×MEN’S NON-NO「GAROU」1st Photo Exhibition『7okyo color space/東京色空間~#COT7DF~』を開催し、東京・大阪の2会場で大きな反響を呼んだ。写真展の開催に際し、これまでもGAROUやメンズノンノ本誌、インスタライブなどでさまざまな思いを裕翔さん自身がたっぷり語ってきたため、今回は、まわりのスタッフから見た裕翔さんのエピソードを交えながら、制作の軌跡をお届けする。
裕翔さんの歩みをたどるべく、メンズノンノモデルになった当初から、「GAROU」の立ち上げ、そして今回の写真展の制作まで、約10年にわたって共にクリエイティブをつくってきたフォトグラファー・干田哲平氏とメンズノンノ副編集長の宮﨑を迎え、鼎談を実施。裕翔さんが写真と向き合う姿を最も近くで見てきた2人の視点を交えながら、写真展が完成するまでの制作プロセス、そしてこれまで語られなかった裏話まで、じっくりと話してもらった。



きっかけは個人のインスタグラム開設。 大好きなチームとの制作が始まった
――今回の鼎談メンバーである、フォトグラファーの干田さん、編集の宮﨑さんについて、まずは裕翔さんからご紹介いただけますでしょうか。
裕翔 お2人とも、僕がメンズノンノでモデルを始めた頃からずっとお世話になっている方々です。まず、フォトグラファーの干田さんは、いい意味で“写真とカメラのオタク”。ギアのことから撮影のテクニックまで、とにかく詳しいんですよ。僕が相談すると、いつも嫌な顔ひとつせず、細かいところまで丁寧に教えてくださる。カメラのことなら「まずは、ほっしー(=干田さんの愛称)に聞こう」というくらい、僕にとってはカメラの師匠です。
干田 光栄です!
裕翔 そして宮﨑さんとは、僕がメンズノンノのレギュラーモデルになってから、もう10年くらい、ずっとご一緒させていただいています。宮﨑さんは、人のいいところを見つけて、それを的確に引き出すことにものすごく長けている方なんです。宮﨑さんがエディターとして担当してくださった企画は、僕のファンの方も特に喜んでくださることが多くて。GAROUの構成やテキストも一緒につくらせていただく中で、僕にとってはエディターとしての師匠のような存在だと思っています。
宮﨑 ありがとうございます。裕翔くんは編集者としても優秀すぎて、メンズノンノ編集部にスカウトしたいくらいです(笑)。
裕翔 これ以上、僕のやりたいことを増やさないでください(笑)。
――裕翔さんが個人でのクリエイティブを、今のようにがっつりメンズノンノと一緒につくり始めたきっかけは、2023年にインスタグラムのアカウントを開設されたことでしたね。そこから写真展にまで発展したわけですが、最初のいきさつから伺えますか。
裕翔 そうですね。ずっとInstagramをやっていなかったんですが、せっかく始めるなら、アーティスティックな要素もある、おしゃれなものをつくりたいと思っていて。そのときに「メンズノンノさんと一緒にできないかな」と考えて、宮﨑さんに相談したのが始まりでした。メンズノンノの現場は、編集の方はもちろん、集まるスタッフも、クリエイティビティにあふれた方がたくさんいて。例えば撮影中、リファレンス通りに撮れば、もちろん一定以上のクオリティにはなるんですけど、そこで満足せずに、さらに上を目指していく。そういう現場をずっと見てきたので、僕自身も感化されて、いろいろな影響を受けてきたんです。だから、こういう世界で勝負している人たちと一緒なら、自分が思い描いているクリエイティブなものを形にできるんじゃないかと思いました。
宮﨑 スタッフは最初私に一任されたのですが、キャスティングはけっこう考えました。作品として素晴らしいものを作るだけじゃなくて、裕翔くんが個人的にやりたいことやその思いに根気強く向き合ってくれる皆さんがいいなと思っていて。そこでまず思い浮かんだのが、裕翔くんの企画を何度も担当していたほっしーです。このマニアックさはきっと裕翔くんに響くだろうと(笑)。あとは、一番最初に裕翔くんの撮影をお願いした時から、今日に至るまで、毎回欠かさず100点満点のヘアを生み出してくれるヘアメイクのNOBUKIYOさん、そして裕翔くんがメンズノンノ以外でのお仕事もご一緒されていて、信頼の厚いスタイリストの小松さんに声をかけました。結果的に、後に裕翔くんの写真集『Hue I am』も一緒につくることになるメンバーが、ここでチームとして集まったんですよね。それぞれの呼吸がすごく合うというのもありますし、先ほど裕翔くんが言ったように、このメンバーでつくる企画はいつもすごく評判がよくて。
裕翔 僕が絶大な信頼を置く、大好きなチームです!
干田 毎回楽しくやらせてもらっています。
宮﨑 実際に話を進めていく中で、裕翔くんから「こういうテーマの撮影がしたいです」とリファレンスが送られてきて。タレントの方からリファレンスをいただくこと自体が初めてだったんですが、その熱量に驚きました。(タブレット画面に表示して)これ! 懐かしいですね。
裕翔 うわー、まだ持ってたんですね。今見ると恥ずかしい(笑)。テーマやシチュエーションなど、なんとなく頭の中にあったイメージを伝えたくて、いろいろ画像を探して作ったんですよね。こうやって自分の頭の中にあるものをリファレンスにして共有するという発想自体も、メンズノンノの現場で培われたもの。今回の写真展で作った資料も、「宮﨑さんのコンテかと思った」と現場で言われたりしたので、かなり影響は受けていると思います(笑)。つたないリファレンスを出しても、ちゃんと意図を汲み取って形にしてくださる懐の深いチームだからこそ、僕も「こうしたい」「こういうものをつくりたい」ということを、変に構えず素直に伝えられるんですよね。
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「GAROU」の始まりから変わらない、妥協を許さぬこだわり
――インスタグラムを開設した翌年、メンズノンノウェブの連載企画として、中島さんのGAROUが始まりました。どのような話し合いからスタートしたのでしょうか。
裕翔 本誌で僕が撮った写真を掲載していただく機会があって。それがすごく嬉しくて、「写真に特化した企画ができたらいいな」と、なんとなく願望をお話ししていたんです。そうしたら宮﨑さんが連載を提案してくださって。せっかくなら、誰が見ても楽しめるものにしつつ、写真そのものにもきちんとこだわって、カメラが好きな人にも刺さるコンテンツにしたい。そんな思いをお伝えして打ち合わせを重ね、少しずつ連載のコンセプトが固まっていった感じですね。
宮﨑 連載を追ってくださっている方はご存じだと思いますが、GAROUは構成にかかわる写真のセレクトから納品、キャプションの入稿まで、裕翔くんご自身がやっているんですよ。それも、ご本人たっての希望で!
裕翔 撮った写真をまとめてお渡しして、あとはお任せすることもできたと思うんです。でも、自分の企画だからこそ、最後まで自分で責任を持ってやりたいな、と。そういうこだわりを思い切り出せた最初の企画でもありますし、創作に対して真摯に向き合う道を歩ませていただくきっかけにもなりました。
宮﨑 編集の仕事って、ひとつの企画に対して最初に案を出すところから完成までを時系列で見ると、スタッフのみなさんと一緒にいられる楽しい時間は、撮影前後のほんの短い期間だけなんですよね。モデルなどの出役の方となるとさらに一瞬で、撮影の数時間をご一緒するだけということがほとんどです。でも裕翔くんに限って言うと、最初から最後まで並走してくれるというか、本当に動きが“こっち側”すぎて。編集部にいてもまったく違和感がなくて怖いです(笑)。
――「GAROU」の初回でロケ撮影に同行し、初めて中島さんが撮影する姿をご覧になって、いかがでしたか?
干田 カメラが好きな人はたくさんいますけど、裕翔くんは、ただ「好き」というだけじゃないんですよね。少し話した段階で、並大抵ではない知識量だということは分かっていましたが、実際に撮影に同行して、それが確信に変わりました。「こういうふうに撮りたい」というこだわりも強いし、「これでいいか」という妥協も一切ない。それはGAROUが始まったときから今まで、ずっと変わらないですね。
裕翔 仕事として写真を撮ることはもちろん、テーマを決めるところから、タイトルをつけたり、キャプションを書いたりするところまで、ほとんど初めてに近い経験をさせていただいて。僕が一からやるよりもプロの方にお願いしたほうが絶対に早いし、皆さんにとって楽な部分もあると思うんですよ。でも、自由に任せてくださることも、そうやって自分なりにつくったものを面白がってくれて、さらに伸ばしてくださることも、僕としてはすごくありがたくて。だからこそ、僕もとことんやれるし、こだわることができるんだと思います。
宮﨑 裕翔くんは、こちらが「そこまでやってくれるの?」と思うくらい、細部までこだわるんですよね。それに、すべてのレベルが高い。ただ自分が“いい”と思う写真を選ぶだけじゃなくて、見る人のことまで考えてセレクトして、構成もしっかり練ってくれる。「これだとマニアックすぎますかね~?」って、よく相談されます(笑)。
裕翔 そうそう!(笑) 突っ走っちゃっていないか、めちゃくちゃ毎回確認してるよね(笑)。
宮﨑 さらに、期限までにきっちり納品してくれるんですよ。フォルダ分けや、構成図の美しさを見るたび、「見る人が分かりやすいように、ということまですごく考えるんだな...」と実感しますね。
干田 僕も見習わないと...。
裕翔 ギリギリになっちゃうこともありますけどね(笑)。
宮﨑 裕翔くんの写真集では「GAROU in London」と題してロンドンで撮影した作品を掲載したんですが、色校までしっかりチェックしてくれて。印刷所の百戦錬磨のディレクターさんが、裕翔くんの赤字を見てびっくりしていましたから(笑)。
裕翔 あははは!
宮﨑 「もう少し黒を締める」「藍を足す」「色収差おさえる」とかね。ベテランの編集が入れるような赤字ですよ。
裕翔 色収差言った~! 気になっちゃって。
干田 はじめて色校立ち合いする人が言うセリフではないですよ...。
宮﨑 レイアウト修正も細かくて「全裁ちだと思ったより効いてこないんで、天地裁ちの、左右に白とってください」とか普通に言ってくる(笑)。
裕翔 早口でね(笑)。
宮﨑 最終的にページを増やしました。
裕翔 そうなんです(笑)。構成上どうしてもページが必要で、宮﨑さんに捻出してもらいました(笑)。
干田 写真が撮れることに加えて、そこまでやれる人はなかなかいないですよね。本当に唯一無二だと思います。
裕翔 お2人はよーくご存じだと思いますけど、僕、すごくマニアックな性格なんですよ。カメラや写真に関する知識はとことん学びたいし、気になったことがあると、つい調べちゃうんです。だから印刷についてや、色校正のしかたを知れたのは楽しかったですね。それが今回の写真展にも生きたと思いますし。
宮﨑 メンズノンノとしても、インスタグラム然り、「せっかくなら最高のものをつくろう!」という気持ちで取り組んでいるんですけど、それに負けないくらいの熱量で応えてくれる。だからこそこちらも気が引き締まりますし、スタッフの皆さんも「裕翔のためならもっと頑張ろう!」というモチベーションにもなるんだと思います。
干田 僕も同感です。こちらの熱意がちゃんと響いているのを感じられるし、それをさらに大きくして返してくれるのが、すごく嬉しいんですよね。僕自身も刺激を受けますし、「よし、やろう」と気合が入ります。
裕翔 そんな、恐縮です。でも、やっぱり「100%好きにどうぞ!」というわけではなくて、ちゃんと知識や経験のある方からアドバイスをいただけるからこそ、ここまでやってこられたんですよね。僕のマニアックさも引き出しつつ、一般的にも分かりやすい見せ方や表現について、ちゃんと教えてくださる。そうやって考えることが増えたことで、以前よりもさらに深く考えられるようになったと感じています。
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最も痺れたのは、作品を絞る作業。 集英社の会議室に通い詰めた日々
――そんな「GAROU」から派生して、今夏、初めての写真展を開催されました。写真展をつくるにあたって、まずどんなところから話し合いが始まり、そこからどのようにテーマや撮影場所、展示の形を決めていったのでしょうか?
裕翔 GAROUはタイトル通り、WEB上ではあるけれど、ふらっと画廊に遊びにくるように楽しんでもらえたら、というコンセプトで始めたので、当初から「ゆくゆくは“リアルGAROU”やりたいね」とは話していたんですよね。で、ありがたいことに連載をご覧になったソニーさんから編集部のほうに「GAROU展をやりませんか」とお話をいただいて、実現しました。最初は東京での開催のみが決まっていたのですが、『ソニーイメージングギャラリー 銀座』という由緒あるギャラリーで写真展ができることがすごく嬉しかったです。テーマやロケーションなど、まだ具体的なことが何も見えていない状態から話し合う中で、「撮影場所は東京に絞って、一週間みっちり撮ってみようか」という話になったんですよね。
宮﨑 今回は裕翔くんの制作としては、初の試みとなるロケハンを行なったんですけど、そこに向けて裕翔くん自身が事前にかなりしっかり考えて、行き先の候補を資料にまとめてくれたんですよ。「ここはこんな思い出があります」とか、「この街ではこういう時間を過ごしました」とか、行く意味のある場所をリストアップしてくれて。
干田 裕翔くんとミヤさん(宮﨑)である程度方向性を話した後、僕も加わって具体的な打ち合わせをしましたが、その時点ではもうベースができあがっていて、すごいなと思いました。
裕翔 自分にゆかりのある街や、単純に撮ってみたい街をソートしていく中で、それぞれの場所で、どういう写真が撮れそうなのかもまとめたほうが分かりやすいな!と思い、資料をつくりました。そこまでは割とスムーズに進んだんですけど、実際にどんな写真を撮るのか、テーマやコンセプトを決めるのには結構時間がかかりましたね。ただ、最初に情報をしっかり整理しておいたことで、少しずつ方向性が見えてきた感じはありました。
宮﨑 裕翔くんから「ここでこういう写真が撮りたい」というイメージを聞いて、それに合わせて、それぞれのロケ地で我々が実際に撮影したことのあるスポットを、「ここなら素敵な小道があるよ」「こういう撮り方ができそう」などとお伝えしていきました。
裕翔 自分で探して見つけた情報だけじゃなくて、そういったプラスアルファの情報もたくさん教えていただいて、すごくありがたかったです。「この壁はファッション撮影でよく使うよ~」とか、「あそこはこの時間帯は人通りが多くて撮りにくいよ」とか、スタッフの皆さんにとっては“あるある”なネタを知れたのもうれしくて、また一歩編集部に近づいたな...なんて思いました(笑)。実際、ロケハンをやって本当によかったですね。自分の足で街を歩きながら撮ってみることで、「この場所、もう少し撮りたかったな」とか、「またこういう太陽の時にここに来たいな」という発見があって。それが、作品撮りの日にも活かせました。
宮﨑 ロケハンに3日間、作品撮りに7日間と分けて押さえていたんですけど、ロケハンの段階でも結構、撮れ高があったんですよね。裕翔くんはちゃんと次の撮影までに撮った写真を見返して、頭の中で整理してくるんです。
裕翔 いやー、それをしないと忘れちゃうんで(笑)。
干田 いや、みんな忘れながらやってるんだよ(笑)。素晴らしい姿勢です。
宮﨑 撮影が終わったら疲れちゃっていったん寝かすことが多いのに、すぐデータを見返すだけですごい...。
裕翔 褒められのハードルが低い気がする(笑)。
――ロケハンと作品撮りの期間でトータル6,000枚ほどを撮影されたとか。そこから絞り込んでいく作業も、かなり大変だったのでは......!
裕翔 セレクトが一番、途方もない作業だったかもしれません。まずは自分でざっくり絞って、そこから宮﨑さんに一覧を提出して、相談しながら決めていく、というプロセスでした。途中メンズノンノのADの藤村(雅史)さんもいらしてくださって、レイアウトを組んだ時の見え方を相談したりもしましたね。複数枚を組み合わせてひとつの作品にするレイアウトを提案したときに、宮﨑さんから「素敵だと思う! でも、自分の首を絞めることになるけど大丈夫?」と心配していただいたのが、すごく印象に残っています(笑)。
宮﨑 レタッチまで全部自分でやるから、枚数が増えれば増えるほど、作業量が増えちゃうんですよね。
干田 必然的にそうなりますよね...。
裕翔 そうなんですよ。レタッチのターンになったとき「終わらない...でも自分で言ったしな......」と思いながら作業しましたもん(笑)。で、レイアウトがなんとなく決まってきたところで、使用する写真を実際に出力してもらって。A0からA5まで、いろいろなサイズを用意していただいて、それを集英社の会議室の壁に貼りながら確認できたのが、めちゃくちゃありがたかったです。
宮﨑 今回は本ではなく展覧会なので、空間の中での実際の見え方が重要かなと思いました。
裕翔 自分の中でなんとなく描いていたレイアウトはあったんですけど、実際に壁に貼って組んでみると、イメージと違うことが結構あって。大きく飾るか小さく飾るかで迷って、出力し直してもらったこともありましたね。本当に助かりました。
宮﨑 いやいや、むしろ裕翔くんが細かい作業もかなり率先してやってくれたので。壁に写真を貼るために、パーマセルテープをくるっと丸めて、両面テープをつくるところまでご自身でやる方って、なかなかいないと思いますよ(笑)。
裕翔 いや、やらせてください!(笑) 貼っては剥がして、を何度も何度も繰り返してね。正直、想像していたよりはるかに大変でした。シンプルに1枚ずつ見せていくような構成ではなかったので、なおさら。
干田 だからこそ、すごく素敵なレイアウトになったんだと思います。写真の大小のつけ方もそうですし、小さい写真を複数組み合わせたレイアウトではグッと近づいて見たり、大きな1枚のときは少し距離をとって見たり。見る人がどう楽しむかまで、すごく考えられているな!と。美術館の展示みたいに、よく考えられたレイアウトだったと思います。
裕翔 嬉しい! そこは僕自身、すごく意識したところでした。1枚ずつバン!と見せる、いわゆる正統派のレイアウトももちろん素敵なんですけど、これだけ世の中にエンタメがあふれている今、どうしたら「見ていて楽しい」と思ってもらえるんだろう?って。
宮﨑 会場も事前に下見して、寸法を測って。それをもとに、会議室でシミュレーションしていましたね。「ここから入って、まずこの写真が目に入って......」と、“イマジナリーギャラリーごっこ”をしたというか。
裕翔 すごいアナログなことやってましたよね(笑)。会議室に何時間もこもって......。セレクトからレイアウトが決まるまでの期間、集英社に何回通ったんだろう。
宮﨑 隣の会議室にいた他誌の同期に「いま、中島裕翔くんに似ている人がいた。めっちゃ印刷物を運んで作業してたから違うと思うけど...」と言われて、「いや、本人だよ」って(笑)。タレントさんがそんなことまでしていると誰も思わないという。
裕翔 僕でした(笑)。あのフロアの会議室ほぼ制覇したんじゃないかな(笑)。
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メイキングムービーは完全に「素」。見返すたびに、グッとくる!
――写真展で公開された初のメイキングムービーにも、その様子が映っていましたね。
裕翔 ムービーに関しては、僕は完全にノータッチで。撮影は全日程、宮﨑さんがベタづきでしたね。
宮﨑 数か月の間ずっと撮っていたから、今もなんかムービーを回さなきゃいけないんじゃないかという気に...(笑)。
裕翔 あはは! でも完成データをいただいて観たとき、いろんな思い出が蘇ってきてグッときました。
干田 僕も感動しました。撮影がまだ寒い季節から始まったのを思い出しましたし、みんなでこんなふうに頑張っていたよなと思って。
宮﨑 ロケハンや撮影、そのほかの作業に同行しながら、ずっと横で撮影していて。裕翔くんから、ヤラセみたいなことは絶対やりたくない、でも何でも撮っていいですよと聞いていたので、「撮ってる風の画をください」みたいなことは一切やっていない、すべてリアルな素の裕翔くんです。途中、プロのビデオグラファーやWEBのスタッフも入って2~3カメだった日もありますが、みんなメンズノンノの撮影で裕翔くんとご一緒したことがある人ばかりでした。
裕翔 だから完全に素の状態でしたね。いつもチームのみなさんと一緒にいる僕そのもの(笑)。あと、はじめましての人じゃないからこそ、カメラを向けられていても、いつものような自然な会話ができました。撮られていることを忘れるくらい、気を許せる人たちと一緒につくっているんだなって、自分でも改めて実感できる仕上がりで、本当によかったです! ファンの方にもきっと喜んでもらえたと思いますし、僕の知り合いからも「カメラオタクの友達が、会場で2回観たって言ってたよ」って聞いて。
干田 僕の周りでも、「あそこまで全部自分でやっているのが、動画をみてわかった。裕翔くん本当にすごいね!」という声がたくさんありました。みんな最初から最後までじっくり観たみたいで。
裕翔 そうそう。あのムービーが、僕がやっていることの裏付けにもなってくれて。しかもエンタメ性も高くて、編集力さすがだな!と思いました。
宮﨑 ずっと、裕翔くんの写真に対する姿勢や取り組みだけでも、十分見応えのあるコンテンツになるよなと思っていたんです。作品だけじゃなくて、「こんなに全部自分でやっていて、こんなにすごいんですよ!」というところを、みなさんに知らせなければ!という使命のようなものも感じていました(笑)。GAROUでも度々、裕翔くん自身がかなり踏み込んで制作をしていることには触れてきましたが、百聞は一見に如かずと言いますし...。なので、ロケ中の撮影自体のケアはほっしーにお任せして、横でムービーをまわしたり、ひたすらポラ写真を撮ったりしていました。
裕翔 ね! ポラも極めてたよね(笑)。この間Instagramにアップしました! 僕のチーム、みんなどんどんできることが増えていく(笑)。
干田 裕翔くんが何でもできるから、みんな必死ですね(笑)。
――作業の合間に、食事を楽しむ様子もほのぼのしました。編集部のある神保町のグルメもたくさん堪能されたようですね。
裕翔 食事も最高に美味しいお店ばかりで、めちゃくちゃ贅沢でした。
干田 一息つけるいい時間だったよね。
宮﨑 写真集に裕翔くんの食事風景を掲載したら、それが想像以上にすごく好評だったので、今回ももぐもぐタイムを収録させていただきました(笑)。
裕翔 特にロケハンと撮影の日は歩きっぱなしだったので、食事をすることが一度リセットする時間になって。撮れた写真を見返しながら、「こういうのは撮れてそうです」とか、逆に「こういうのは足りないです」とか、進捗を報告するんです。ほっしーと宮﨑さんもずっと横で見ていてくださるから、「こういう風景があってもいいかもね」みたいな客観的な意見をくださって。実は、もぐもぐタイムもすごく有意義な時間だったんですよ。
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プロのフォトグラファーも唸る。デジタルでの挑戦とフィルムワーク
――写真展の作品に取り組む中で、新しい発見や学びはありましたか?
裕翔 季節によって、日の落ちる時間や太陽の位置が変わることを意識したのは、意外と初めてだったかもしれません。それまでのGAROUの連載では、基本的に1日で撮影していたので。でも今回は、ロケハンをしてから撮影に挑むという流れだったので、ほっしーから「次も同じような光を撮りたいなら、もう少し早い時間がいいかもね」といったアドバイスをいただいて。
干田 季節の変わり目で、週をまたぐとけっこう光が変わりましたね。
宮﨑 ちゃんと太陽の位置を測るアプリも入れて、チェックしていたよね。あと今回はスナップ撮影だったので、写してはいけないものについても、著作権のガイドラインを取り寄せて読んでもらいました。通行人はどのくらい写り込んで大丈夫なのか、グラフィティのようなものにも著作権はあるのか、とか。
裕翔 しっかり熟読しました(笑)。撮っていいもの、いけないものを、感覚ではなく知識として理解できたのは、マニアックな僕としては嬉しい成長ポイントです。そういうことまで考えながら撮ることで、また新しい視点が加わって、めちゃくちゃ勉強になりました。出版社ならではのサポート、ありがたかったです。
宮﨑 それを「面倒だな」と捉える人もいるはずなのに、ちゃんと「成長できた」と捉えられるのが素晴らしい! そういったところも含めて今回、改めて、写真を撮ることに対して本当に誠実な人だなと感じました。どこで撮るかということひとつをとっても、正直、たとえば海外に行けば珍しい景色や画が撮れて、もっと簡単だったと思うんです。でも裕翔くんは、「なぜここじゃなきゃいけないのか」ということまでちゃんと考えて、自分が納得できる場所で撮りたい、と。東京で朝から晩まで2万歩以上歩きながら撮影している姿を見て、自分が撮る作品の純度を、最後までちゃんと高めようとしているんだなということが、ひしひしと伝わってきました。
干田 東京で撮るというのは、ある意味、一番難しい選択をしたんじゃないかなと思います。東京の写真って、裕翔くんの言葉を借りると、それこそ世の中にあふれているじゃないですか。だからこそ、考えて、突き詰めて、自分が本当に撮りたいものを見極めないと、「裕翔くんらしい写真」にはならない。
宮﨑 そう、キャッチーで、いわゆる映える写真もたくさん撮れていたんです。でも、裕翔くんはそのほとんどを落としたんですよね。ただ、最終的に選んだ写真を見ると、確かに光がすごくきれいだったり、テーマに沿ってきちんとセレクトされていたりして。「なるほど、こういうことなんだ」と、私自身もたくさん勉強させてもらいました。フォトグラファーとして、本当に尊敬しています。
裕翔 うわー、マジで嬉しい......。
干田 僕としては、フィルムに頼らず、デジタルで勝負したところも素晴らしいと思っています。
宮﨑 まさに!
干田 フィルムにはフィルムならではの難しさがありますけど、やっぱりフィルムの持つ風合いって強いんですよね。特に裕翔くんが大切にしている「光」は、デジタルで撮る場合、ちゃんと考えて撮らないと、どうしても生っぽくなってしまう。でも裕翔くんは、デジタルカメラの性質をきちんと理解したうえでレンズも選んで、あえてデジタルでそこに挑んだ。その姿勢が、本当にすごいと思います。
宮﨑 偶発性に頼らず、自分の理想の光に近づくまで、ストイックに設定や技術を突きつめる姿は撮影中何度も見たよね。
干田 本当にカッコよかったです。それから、フィルターワークをきちんと取り入れているところも。今はハイライトなどをレタッチで調整できるので、撮影時にフィルターを使う人は以前より少なくなったんです。ネオンを撮った写真なんかでもしっかり使いこなしていて、「わー、ちゃんとしてる!」って(笑)。僕も影響を受けて、昔使っていたフィルターを持ち歩くようになったんですよ。
裕翔 えっ、マジですか!?
干田 今日の撮影でも、ちょっとだけフォグを入れるために使いました。参考にしています。
裕翔 ちょっと、やめてくださいよ(笑)。実際、東京で撮るのは難しかったです。でも、フレキシブルに動ける環境をつくっていただいたおかげで、その場で「面白い」と思ったものを自由に撮ることができた。もちろんテーマはあったけれど、同時に撮りたい画を追求できるところもあって、楽しかったですね。
宮﨑 ずっと同じ場所を歩いていたはずなのに、「こんな景色、あったっけ?」と思うような作品もたくさんあって。やっぱり写真って、人の視点なんだなと思いました。
――写真展では裕翔さんの肖像写真も展示されましたが、そのロケーションやイメージも裕翔さんがディレクションされたそうですね。
裕翔 作品撮影後だったので、久々に被写体になって楽しかったですね(笑)。
宮﨑 裕翔くんが作品を撮り終えた後に、印象的だった場所で肖像を撮る、というコンセプトでした。「あの時間帯の渋谷がきれいだった」とか、「新宿で撮るなら、こういう人物像で、こういう衣装がいい」といった具体的なアイデアまで、裕翔くんから提案してもらって。
裕翔 自分の作家性をとことん突き詰める作業をした後に肖像を撮って、改めてチームでつくることの楽しさを実感したというか。自分が想像していた以上のものが、皆さんから返ってくるのがすごくワクワクするんですよね。自分一人で作品を撮るのとは、また違った醍醐味があります。
干田 裕翔くんはちゃんと自分の意見を持っているけれど、こちらからの提案もきちんと受け止めて、そこからさらに「じゃあ、こういうのはどうですか?」と新しい提案を返してくれる。そういうキャッチボールができるのって、僕にとってはすごく理想的なんですよ。
宮﨑 初めて裕翔くんを撮るカメラマンさんって、みんな驚くんですよ。「めっちゃいい人ですね! こんなに色々やってくださるんですか!?」って(笑)。
裕翔 そういうマインドが培われたのも、やっぱりメンズノンノの現場だと思います。自分でも知らなかった一面を引き出してもらえたり、自分の良さを最大限に活かしてもらえたり。それを叶えてくれているのは、スタッフの皆さんのクリエイティビティがあってこそ。だから、100%の信頼とリスペクトがある。そこが土台にあるからこそ、皆さんの意見を素直に受け入れられるし、自分の意見もちゃんと伝えることができるんですよね。
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訪れてくれた人たちの感想や反応から、確かな手応えを感じられた写真展
――東京、大阪で開催された写真展には、多くの方が足を運ばれ、たくさんの反響がありました。実際に会場を訪れた方の感想や、SNSでの反応なども目にされていますか?
裕翔 見ていました! 「写真のことはよくわからないけど、楽しかった」という言葉もありがたかったですし、「カメラをやってみたくなった」とか、「カメラを持ち歩き始めた」という声もあって。僕をきっかけに写真に興味を持ってくださった方がいるんだと思うと、すごく嬉しかったです。それに、もともと僕のファンではない、カメラや写真が好きな方もたくさん来てくださったようで。
宮﨑 実際かなりの来場者数だったんですよ。私が会場にいたときもそうでしたけど、ファンの方はもちろん、首からカメラを下げた方やグループも多かったですし、海外からの観光客も。本当に多種多様なお客様で賑わっていました。それからメンズノンノモデルであったり、クリエイターであったり、裕翔くんがこれまで出会った人たちからも、たくさん感想をいただきました。
裕翔 本当に感動したな。GAROU自体、カメラが好きな人にも楽しんでもらえるといいな、という思いでつくっているので、実際にそういう方々にも届いてくれたのは、本当に嬉しいですよね。ソニーさんのギャラリーで開催できたことも、すごく大きかったと思います。
干田 絶対、カメラマニアのファンが増えたと思いますよ。「カメラやってます」というレベルじゃないですもん。僕が裕翔くんのことを知らなかったとしても、「おお!」ってなったと思う。ここからさらに、次の展示とか、いろいろなことにつながっていくといいですね。
裕翔 ありがたいです。本当に、そうなったらいいですね。
――写真展を経て、今後GAROUでやってみたいこと、行ってみたい場所、挑戦したいことはありますか?
裕翔 えー! もう、いろいろやらせていただいたからな......。
宮﨑 武者修行シリーズのなかで、人物も撮ったし、物撮りも極めちゃったし(笑)。自然光でもスタジオでも、いろいろな撮り方を経験して、どんなことにも挑戦できるんじゃないかなと思います。
裕翔 人物を撮ることは、もう少し突き詰めていきたいですね。ライティングやフィルターワークで肌の質感を調整することにも興味がありますし、老若男女いろいろな人を撮ってみたいです。
干田 シニア層のモデルや、色々な国の方を撮るのも面白そうですよね。撮影そのものだけじゃなく、コミュニケーションの面でも勉強になると思います。
裕翔 確かに、面白いですね! ファッションシュートというカテゴリーでの撮影も、まだあまりやったことがないですし。
宮﨑 今回は東京という街を広い視野で撮ったので、逆にもっとミクロなテーマに挑んでみるのも、新しい発見がありそうですよね。例えば、“この通りの花”とか、“この街の歴史的建造物”とか。
裕翔 おー! それもいいですね。スナップと物撮りの間みたいなのも面白そう。大きな目標としては、カメラや写真が好きな人にとって面白いコンテンツである、というGAROUのコンセプトは、これからもずっと追い続けていきたいです。
今回の写真展は、そのスペシャル版としてひとつの形にすることができたので、また写真展もやってみたいし、いずれは自分の作品集も出したいですね。メンズノンノを通して生まれたGAROUという芽を、これからも少しずつ育てて、さらに大きくしていきたいと思っています! 写真展にお越しくださった皆さん、改めましてありがとうございました!
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Model:Yuto Nakajima Photos:Teppei Hoshida Hair:hirokazu endo(ota office) Stylist:Hiroyo Aoki Interview & Text:Ayano Nakanishi
プルオーバー¥72,600(ブラームスルーツストック)・中に着たグリーンジップパーカー¥37,400(ブラームス)/ワンダリズム ポロシャツ¥ 61,600(ダックス)/三共生興ファッションサービス パンツ¥38,500/クルニ フラッグシップ ストア 眼鏡¥27,390(レイバン)/ルックスオティカジャパン カスタマーサービス 靴/スタイリスト私物

Profile
中島裕翔(なかじま ゆうと)
1993年8月10日生まれ。東京都出身。2017年6月号より2025年12月号まで、1号も欠かすことなくメンズノンノレギュラーモデルを務めた。この写真連載「GAROU」とともに、メンズノンノとの友情はこれからも続いていく。1st写真集「Hue I am」(集英社)が大好評発売中。自身初となる写真展が、東京と大阪で大成功のうちに終了した。
INFOMATION
『連続ドラマW シリウスの反証』

冤罪の救済に挑む弁護士たちの戦いを描く社会派ミステリー。これがWOWOWオリジナルドラマの初主演となる裕翔さんが演じるのは、冤罪被害者の救済に取り組む団体「チーム・ゼロ」に所属する弁護士の藤嶋翔太。正義と真実をめぐる重厚なテーマに巧みな犯罪トリックを盛り込んだ骨太な作品に、裕翔さんが真っ向から挑戦!
詳しくはコチラ

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