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INTRODUCTION
「ついに、GAROUに初めてのゲストがきてくれました! 俳優の板垣李光人さんです。昨年ドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』で共演した時にこの連載の話をしたら、“僕を撮ってほしいです”と言ってくれて、そこからずっと温めていた企画です。初めてスタジオにモデルをお迎えして、本格的なライティングを組んでの撮影ということで、事前の計画書の作成やセッティングにもかなり時間をかけました。“武者修行篇”として今年の1月からさまざまな技術を学んでいますが、やっぱり僕は何を撮影するにしても、ストイックにきれいな光を追求したい。李光人はまさに、美しい光と影を纏った人だと思っているので、今回のテーマを『GAROU×Licht』と名付けました。ごゆっくり、ご覧いただけると嬉しいです」(from 裕翔)



“李光人自身がもつ、光と影を捉えたい。本当にきれいな人だから――”




<撮影/中島裕翔>
事前に色々考えてはいたけれど、実際に李光人がそこに立った時の強さに感動した。本人から溢れる光がありました
中島裕翔
裕翔さんは、被写体側のこともわかるハイブリッドなカメラマンだと感じました。お互いの呼吸が合う、まさにセッションのような撮影でした
板垣李光人
The Story Behind the Photo
裕翔さんが実際にどんなことを考えてこの撮影に臨んだか、プロジェクトの裏側をお届けします!
1. MEETING


自作の資料をもとに、撮影のコンセプトや方向性をプレゼンする裕翔さん。ライティングの方向性など、スタジオワークに関わることはもちろん、李光人さんの衣装やタイムスケジュールなど、あらゆることを相談。
メンズノンノ編集部の打ち合わせテーブルには、日夜さまざまな人がひっきりなしに訪れる。特に、撮影の打ち合わせを担当編集とクリエイター陣が行っている光景はつねに見られるが、裕翔さんも一人のフォトグラファーとしてテーブルに着き、真剣に話し合いを重ねた。何か撮影や企画があるたびに、裕翔さんがいつもコツコツと自分で素晴らしい資料を作成してくることは想定していたものの、「こんな撮影をしたいと思っていて」と出された今回の撮影プランの精密さと完成度の高さは、さすがにのけ反るレベル。候補にあがったいくつかのスタジオの図面を全て起こして、ライティングをシミュレーションしたもの・それに必要な機材リスト・絵作りの方向性を変えたバリエーションの提案...そして資料の上紙に記された『GAROU×Licht』の文字のカッコよさに痺れた! あまりにナチュラルに座っていたため、他の編集スタッフに「誰かと思ったら...!」と驚かれるほど。「そろそろ僕のデスク、編集部に用意してほしいな~」と冗談を言いつつ、綿密な計画を立てるべく、打ち合わせは続いた。
2. SETTING



上の写真3枚は、裕翔さんの試行錯誤の痕跡! どんなトライが行われたのか?
「美しい光の世界を作るには、いかに美しい影を表現するかが大切だと実感しました。実際にやってみないとわからないところはありつつ、最初は自分で作ったリファレンスどおり組み立てていくわけですよね。その中で想定してたのと違ったなということは当然ありますが、特にコントラストが思っていたよりもちょっと強めに出てしまって、そこの微調整が難しかったですね。具体的には、どうネガティブを上げていくか(影をどのように起こしていくか)っていう作業が発生したんですが、それが渋くもあり、すごく楽しかった。李光人の顔や体、手先には、エリスポットでニュアンスとなるようなハイライトも作ったし、本人の存在が美しく立ってくるような光の当たり方を考えていたんだけど、むしろ当たっていない方をどうするかということのほうを探るのに時間がかかりました。
はじめに、李光人の後ろに太陽みたくドームをつけたアプチャー[写真中・左]をリムライト(被写体の背後から、輪郭を際立たせるため当てる光)として置いて、人物のエッジが立ってくるようにしたんです。で、その対角上にバウンス板(光を反射させる板)を置いたら顔の影がいい感じに起きるかなと考えてて。でもいざやってみると、まあ弱い。そこでほっしー先生(フォトグラファー・干田哲平氏)にアドバイスをもらって、もう一灯フィルライト(影を和らげる補助光)を足したんですが、最初の機材リストにはなかったので「スタジオに予備があってよかったー! ありがとー!!」ってなりました(笑)。実際に組んでみて後から必要になるものが出てくるのってマジで怖いですね。いつもカメラマンの皆さんは適切に機材を発注してると思うので、そこも改めてすごいなと。
それから後ろも暗く落ちすぎないよう、壁にも打っています[写真下]。ただ、顔の影を起こすために足したフィルライトが漏れて、僕がいいなと思っていたグラデーション具合がぼんやりと明るくなりすぎちゃって。元の塩梅をキープするために、最終的にはフィルライトを囲むように黒のパネルを置いて、光が余分に漏れないようにしました。今回はISO400で撮ったので、それなりに感度が高い。意図しない周辺の光を拾ってしまわないようにする必要があったんですよね。感光度合いをあげるとその分、メイクルームとか、打ち合わせスペースとか、シロホリとは関係ない場所の照明も感じてきちゃうから、本当に繊細なものなんだなと勉強になりました。最初はISO200でチャレンジしていたんですがやっぱり暗くて。かと言って800にするともう手元の微調整が効かなくなってくるので、ちょうどいい落としどころ、という感じでしたね」(from 裕翔)
3. SHOOTING

「李光人が入った瞬間、“うおぉ...!”と圧倒されました。本人の美しさに勝るものはないというか、やっぱりモデル自身が持つ力ってすごい。自分の組んだライトの中に誰かが立っているというのも、感動的でした。衣装もきっと似合うだろうなと思っていたけど、袖を通してもらった姿を見たら、もっと素敵でしたね」(from 裕翔)
4. FINE-TUNE


シャッターを切って、モニターを確認し、細部を詰めることでクオリティを上げていく裕翔さん。
「李光人はすごく勘がいいので、僕が皆まで言わなくても、本当にいいところに自分から光を当てにきてくれたり、ちょっとした表情の差でバリエーションを出してくれたりと、集中力が素晴らしかった。そのうえで“もっとこういう感じが欲しいな”というリクエストを僕からも出しながら撮影したんだけど、そのやりとりがすごく心地いい時間でしたね」(from 裕翔)
5. PHOTO
SELECTION

「撮影が終わってセレクトをするのは、ちょっと安心したのもあってすごく楽しい。選べないくらいどれもよくて、個人的には大満足だけど、ここで気を抜かずストイックに見ていきます。自分が好きだなと思っていたのと同じカットを李光人が“これいいですね!”って言ってくれるとうれしいです(笑)」(from 裕翔)

はじめてのセッションを終えて...

SPECIAL INTERVIEW
――今回は裕翔さんの、GAROUで李光人さんを撮りたい! というかねてからの念願がついに叶いましたね!
裕翔(以下、裕) ありがたい! 本当にうれしい! 李光人、今日はありがとう!
李光人(以下、李) いやいやこちらこそですよ。呼んでいただいてありがとうございました。
裕 去年からずっと、「GAROUでゲストを呼びたいです」という話は編集部としていたんだよね。ドラマ『秘密~THE TOP SECRET』で李光人と共演していたときに、「こんな連載をやっていて...」というのを話したら「じゃあ僕も撮ってくださいよー!」って言われて盛り上がって。
李 「撮って撮ってー!」みたいな感じで言ってたら、“あ、ほんとにオファーきた!”ってなりました(笑)。
裕 (笑)。「ゲスト回やりたいなー、ポートレイト撮りたいなー、李光人がいいな~」ってずっと言ってたもん。だからこうして、GAROUの初めてのゲストが李光人になってうれしい!
――スタジオライティングの武者修行も、ここに照準を合わせていた感じがありますよね。裕翔さん、写真展の準備と並行してしばらくこの撮影のことで頭がいっぱいでしたね!
裕 ほんとにそうです(笑)。
李 いや、こんなに準備してもらって...撮影の資料もしっかりしてて、本当にびっくりしました。
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撮影する側と、される側。お互いに初めて見る顔
――これまで、役者同士としての共演はありましたが、お仕事でフォトグラファーとモデルという立ち位置になるのは初めてですよね。撮影を終えての率直な感想を教えてください。
李 なんというか、裕翔さん面白かったです...(笑)。
裕 わかる(笑)。面白かったよね、見たことないよね俺のこのチャンネル。
李 写真を撮りながら、すごくたくさん“きれい!”“カッコいい”って言ってくださって。いつもはきっと言われる側なのに。
――興奮して途中、「きれい! カッコいい! ...カッきれい!!!!」という謎のワードが飛び出していましたよね(笑)
裕・李 あはは!
裕 でもねー、ああなっちゃうのは不可避だなって。だってもう、目の前にすごく“光!”っていう感じの李光人がいて、まさに“Licht”だなって思ったの。今回のテーマを「GAROU×Licht」にしたのは、俺自身がもともと写真を撮る時に光をすごく大事にしているっていうのと、李光人の名前が光を表すLichtという単語(ドイツ語)のネームドアフターだっていうのを知っていたから、ぴったりじゃんと思って。だから今日、カメラ前に立ってもらった瞬間に、撮りたいと思っていた光の世界が見えて「うーーわっ! カッきれい!!」って、造語が誕生してしまった。そのチャンネルを見られたのは今になるとちょっと恥ずかしい(笑)。
李 いやでも、ライティングがすごくきれいでした。裕翔さんは先にスタジオに集合して撮影の準備をされていましたが、僕がスタジオに入ったとき、最初どこにいるか本当にわからなくて(笑)。セッティングをしているスタッフの皆さんの中にあまりに溶け込みすぎてたからなんですけど、そのくらい本気でカメラマンでした。
裕 なじんじゃってたでしょ(笑)! しかもすごい集中してたから、李光人が来たことにも気づかないくらいだった。
李 普段を知っている方だからこそ本当に不思議な感覚でした。最初に“今日はこんな感じで撮ります”っていうのを裕翔さんから説明して頂いた時も、やっぱりちょっと面白かったんですけど(笑)。
裕 そこも面白かったんかいっ!
李 うんうん、って聞いてたけど、内心“見たことない姿だ~”って思って(笑)。でもやっぱり、いざセッティングされた中に入って撮影が始まると、裕翔さんも僕もスイッチが入って、真剣勝負な感じがしました。
裕 その瞬間、俺もわかった。
李 すごかったです。僕自身もなんだかこう、スッと入れたというか。裕翔さんがライティングを調整している姿とか、どう切り取るかを考えながら撮っている姿は非常にカッコよくもありましたし、初めて見るような顔でした。お互いにセッションの時間となった感覚で素敵でしたね。
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それそれのポジションから、相手をどう見たか
――裕翔さんは今回、本当にいろいろと事前に撮り方を考えて撮影に臨みましたが、李光人さんが実際にカメラ前に立たれた時の感動はたしかにこちらにも伝わってきました。
裕 本当ですか! なんていうか、演者の持つ力ってやっぱりすごいんだなって改めて思ったんですよね。自分の組んだライト以上に李光人自身から光が放たれている感じがして、“うおおおお...”ってなった。なんか、撮影でモデルが実際に入ってシャッターが切られると、スタッフさんたちがみんな“わあ!”ってなるじゃないですか。現場のみんなの第一声みたいな。あれって本当なんだなってわかった。
――制作側から見た感じですね。信じてなかったんですか(笑)。
裕 そうそう、ごめん(笑)! カメラマンとして撮影側にいたことで、編集だったりとか、スタッフ陣だったりとかが、声を上げる感じを自分もはじめて体感できた! いつもは言ってもらう側だから、あの感嘆の声は本当なんだなって(笑)。
李 撮られる側だと、“本当に? またまた~”って思いますよね(笑)。
裕 思ってたよ! 俺も今まで、これはスタッフさんたちが俺の気分を盛り上げるために言ってくれてるんでしょ、って(笑)。でも今日は、本当に素敵なものを前にするとみんなが声を上げるタイミングって合うんだなぁって。
――信じてもらえてよかったです(笑)。カメラマンの立ち位置から被写体としての李光人さんと向き合ってみて、あらためて魅力的だと感じたり、ここを引き出したいなと思ったりしたことはありましたか?
裕 僕は李光人の“光と影”の部分に惹かれるんですよね。特にお芝居で見せる顔では、光と影をすごく繊細にチェンジできる人だと思うんです。僕はドラマ『秘密~THE TOP SECRET~』でご一緒したことで、あの作品で李光人が、かなり影の多い薪さん(薪剛・第九室長)という人物を演じるのをそばで見ています。パッと明るくて人懐っこい李光人も知っているので、そういう相反する魅力を持っている点が、自画自賛になっちゃうかもしれないんですけど、今回のテーマとすごく親和性があると確信して。でもやっぱり、事前にイメージしていたよりも、実際に本人の美しさを目の当たりにしたときに、“おわっ!”と圧倒されました。自分でライティングを考えたし、物理的に李光人に光を当てるように組んではいるけど、それを越えてくる本人の光と影というものがすごく見えたかなと。これまで僕は仕事で李光人と一緒に“撮られる側”として撮影もしてるし、李光人の被写体としての姿は知っていたはずなんだけど、カメラマンとして対峙したことによって、“あぁ、やっぱり李光人はさすがだ”って改めて思わされたところがありました。
――逆に李光人さん側から見て、裕翔さんはどんなカメラマンだと感じましたか?
李 今回、スポットで当たるライトのニュアンスもありましたし、陰影のバランスも含め、いろんな要素がうまくかみ合っていい一枚ができる、という撮影だったと思うんですが、裕翔さんとはそこを一緒に探すことができたという感覚がありました。これまでいろいろな撮影をしてきましたが、カメラマンによって、どういう絵を切り取りたいか細かく指示が飛んでくる場合もありますし、完全にこっちに委ねられて、うまくはまるところを探るみたいなことも。その時々で、求められていることが変わりますよね。こちらとしてはポージングであったりとか、顔の向きや表情であったりとか、表現を変えたりしてなんとなく探りながら、察しながら、その場で何を求められているのかを見つけようとします。努力はしつつ、その時のカメラマンの境地に立つことは難しさもありますよね。
裕 わかるなぁ。確かにそうだよね。
李 でもそこの部分で、裕翔さんはやっぱり被写体としての経験も豊富だからこそ、モデルの僕に対して委ねるところは委ねながらも、欲しい部分は欲しい部分として的確に指示を下さるんです。そこが本当に心地よくて、ハイブリッドなカメラマンである裕翔さんだからこそできることなのかなと思いました。
裕 ありがたいね...そんなふうに感じ取ってくれるなんて。なるべく李光人がこの与えられた環境でどう自由に表現するかをフォローしていきたかったけど、僕の方も確かに欲しいものは欲しい、というのがある。でもこのライトを見たときに、李光人は勘がいいからきっと何かを察するだろうとも思っていて。僕が言いすぎてよさが失われないよう、指示出しのバランスは実際考えました。そこのいい塩梅の“渡し合い”みたいなことがまさにできたなって、今話を聞いていて思いました。
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大切だからこそとことん準備する・信用しているからこそ任せる
――先ほども少し話に出ましたが、裕翔さんは事前準備からかなり本気でした。実はこの撮影計画や機材リストの資料も、第一稿ではなくて...。
裕 はずい、はずいって(笑)!
李 そうなんですか!
裕 いやーそうなんだよね~、これ四稿目くらいかな(笑)。
李 えぇ...!
裕 ちょっと引いてる(笑)。
――スタジオも、自然光がいいのか、シロホリがいいのかと迷って、どっちのパターンもスタンバイしていた段階もありましたしね。
裕 僕がどう撮ってもいいように、“自然光にしますか、シロホリにしますか”って、スタジオの選択肢を持たせてくれて助かりました。そのうえで、李光人には自然光は絶対あう、今金髪だっていうのも知ってたし...、なんだけど、だからこそ自然光頼みになりすぎちゃいそうで怖いなって思ったんですよ。当日の天気にも左右されるし。そうなったときに、ライティングを色々と試行錯誤しながら、ラボ的に李光人の魅せ方を研究するように撮影できるのはシロホリのほうかなと思ったんです。しっかりライティングを組む方がストイックですしね。
――自分が思う“こう撮りたい!”っていう理想の再現性が高いですよね。
李 なんだかそこが裕翔さんらしいなと思いました。僕もGAROUはこれまでも拝見してまして、今回ポートレイトは初めてでしたが、それでも今日の写真を見て裕翔さんぽいなって。
裕 なにがなにが!?
李 今の“自然光よりシロホリで”っていうお話や資料づくりのことを聞いてても思いましたけど、ストイックさと、本当に何かを真剣にやる、作る、ってなったときの入り込み方がすごい。どこか無邪気さもありながら、ストイックにいい一枚を切り取ろうとする、しているのが写真から伝わってくるというか。さっき実際に撮っていただいていた時も感じてましたけど、そのストイックさがスタジオ撮影にしたことですごく写真に出たなと。
裕 そう言ってもらえると自信になる!
――李光人さんのことを“本当にきれいな人だから、きれいに撮りたい”という思いが強かったですよね。
裕 ほんとにそう。それを光と影で表すには、やっぱり僕としてはライティングで正解でしたね。
――李光人さんは撮影に臨むにあたり、何か心づもりであるとか、準備のようなことはされましたか?
李 裕翔さんは、こんなに資料をたくさん作ってくださったんですよね...。
裕 はい、すんごい作りました! 頑張りましたよ!!
李 その裕翔さんを前にして言うのも申し訳ないんですけど、特になんにも...(笑)。
裕 はははは! 最高! 李光人はそれでいいよ(笑)。実は事前にやりとりしたんですよ、オファーを受けてくれてありがとうねって。今ライティングも考えてるよって。それに対してたしかに、“どうぞなんでもしてください”みたいな感じのニュアンスで返事がきたよね。
李 楽しみでーす、みたいな。
裕 軽め(笑)。
李 こういうふうに撮ってほしいとかは全然なくて、信頼していたので、どうとでも料理してくださいという気持ちでした。
裕 それが逆にプレッシャーでもあったけど(笑)。やっぱり李光人ってアートという面でも長けているから、なんか下手なことできないなっていう緊張感はあった。
李 そんなことはないですけど!
裕 でもただの仲良しじゃなくて、それぞれに何かを決めに行かなきゃいけない瞬間とか、集中しなきゃいけない瞬間のお互いの顔を知ってるから、いい意味の緊張感だけどね!
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楽しさの中にあるチャレンジ
――本当に楽しい撮影でしたが、その中でも難しかったところや、チャレンジだったなという点はありますか?
裕 それは光の操作性ですね。ライティングの計画書をしっかり詰めて作ったとはいえ、これは机上のものなので。実際にこの場で見て“あー、ここの壁こうなってんのか、このライトは思ったよりもうちょいこっちに置くべきだな”っていうような、想定と現実の微差を調整するのが難しかった。現場に立ってみないとわからないことがあるもんだなというのは痛感しましたね。でもそれを差し引いてもやっぱり、“本人が入ったらそれで完結する”という強さに助けられました。
李 恐縮です。でも僕のほうも、そこまで裕翔さんがしっかり組んでくださった環境だという安心感がありました。
裕 最初は基本となるセッティングはストイックに考えて作って、そのなかで自由にある程度バリエーションを撮ろうと思ってたんですけど...なんかね、蛇足になっちゃう気がしたんですよ、これ以外撮るっていうのは。ひとつのセッティングのなかでも李光人は十分にたくさんのバリエーションをくれました。表情はもちろん、細かいところで言うと手の所作まで美しかった。こっちのテクニカルなことだけじゃない、本人がいて成立する部分が素晴らしくて。やっぱり人と人だから、頭で決めきらずに現場でのセッション感で方向性を見定めることも、改めてすごく大事なんだなと思いましたね。フォトグラファーと被写体っていう関係もそうだし、連載スタッフの皆さんとのチームとしての関係性もそうだし、そこの呼吸が合うかどうかって重要ですよね。
李 最初引いて撮っていたけど、呼吸が合うみたくどんどん裕翔さんが近づいてきてからの、寄りのカットとかすごく好きでしたね。
裕 あれは間違いないね! 撮ったものをプレビューしていきながら、李光人のリアクションを吸い上げて何個か星はつけてるので、それと自分が思う“これ!”って言うのを、うまーく混ぜて最終的にセレクトできればなって思ってます。
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また2人で作品をつくれたら
――もしも今後、またGAROUでセッションできることがあれば何をしたいですか?
裕 もうちょいオーソドックスに使ってもらいやすいカメラマンになろうかな(笑)。
李 あはは!
裕 自分で言うのもなんだけど、ちょっとマニアックすぎるのよやっぱり。作家性出すぎてるっていうか、変態だろ、このライティング!みたいな(笑)。テストシュートしてるとき、影の出方を追い求めるあまり、途中でものすごいコントラストになっちゃった瞬間があって。さすがにそういう時はいつもエディトリアルサイドから「ちょっと暗すぎるかもね...?」ってやんわり引き戻してもらって事なきを得るという(笑)。
李 でもほら、個性が出すぎる分には引けるからいいじゃないですか。
裕 いいこと言う~!
李 次はラフに撮っていくみたいなこともいいかもしれないですね。ロケとかで!
裕 たしかに。それこそ第一稿か二稿で、色のある光のシチュエーションも考えていたときがあって。オレンジと青のいい感じの混ざり具合、夕まずめぐらいの色温度も李光人に似合いそうだなって思ったんだよ。ロケも試してみたいな! あとは、撮る・撮られるだけの関係じゃなくて、何か一緒のアート作品を作ってみるとか。
――李光人さんにも以前、メンズノンノ(2025年3月号)のために作品をつくって頂いたことがありました。裕翔さんの写真にペイントをしていただくとか、面白そうですね。
裕 なんかね! そういうね! よりアートに振り切ったアプローチのし方でコラボしてみたいなって思うし、その面での可能性もあるから面白いですよね。初めて李光人の作品を見せてもらったとき“へー、こういう絵描くんだー!”って思って感動したもん。
李 またご一緒できたら素敵ですね。
裕 今日は本当にありがとう! 記念すべきゲストの一人目が李光人でよかった、他に考えられなかったし、大満足!
李 僕も楽しかったです。仕上がり、楽しみにしてますね。
GUEST INFORMATION
板垣李光人
2012 年に俳優デビュー。2025年に第 48 回 日本アカデミー賞 新人俳優賞を受賞。
大河ドラマ「どうする家康」、「青天を衝け」、NHK 連続テレビ小説「ばけばけ」などの話題作に出演のほか、主演映画『口に関するアンケート』が2026年7月3日公開予定。俳優業のほか、アートの分野で絵本発売や、初個展を開催するなど多方面で活躍。裕翔さんとの2人揃っての登場は、メンズノンノ2025年4月号以来。
Photos:Yuto Nakajima(for Licht) Teppei Hoshida(repo) Hair:hara[RUNO] Make-up:Yuri Miyamoto Stylist:Yoshiaki Komatsu Model:Rihito Itagaki
【中島さん】コート(ベルヴェスト)¥429,000/八木通商 ニット¥46,200・ジーンズ¥50,600(ともにシュタイン)/エンケル シャツ¥30,800/ザ ショップ スローン 自由が丘 靴¥35,200/アシックスジャパン カスタマーサポート部
【板垣さん】
ジャケット(シュタイン)¥94,600/エンケル シャツ(コグノーメン)¥42,900/サカス ピーアール オーバーオール(オーバーコート)¥79,200/大丸製作所3 靴(アデュー)¥106,700/バウ インク

Profile
中島裕翔(なかじま ゆうと)
1993年8月10日生まれ。東京都出身。2017年6月号より2025年12月号まで、1号も欠かすことなくメンズノンノレギュラーモデルを務めた。この写真連載「GAROU」とともに、メンズノンノとの友情はこれからも続いていく。1st写真集「Hue I am」(集英社)が大好評発売中。現在は、今夏開催の自身初となる写真展の準備に邁進している。
INFOMATION
『連続ドラマW シリウスの反証』

冤罪の救済に挑む弁護士たちの戦いを描く社会派ミステリー。これがWOWOWオリジナルドラマの初主演となる裕翔さんが演じるのは、冤罪被害者の救済に取り組む団体「チーム・ゼロ」に所属する弁護士の藤嶋翔太。正義と真実をめぐる重厚なテーマに巧みな犯罪トリックを盛り込んだ骨太な作品に、裕翔さんが真っ向から挑戦!
詳しくはコチラ
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