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「もし、歴史的バンドになれるなら?
究極の決断を描いたSF」

『僕はビートルズ』全10巻
かわぐちかいじ・藤井哲夫(講談社)
ビートルズのコピーバンドが、ある日突然タイムスリップした先は1961年だった─。漫画新人賞「MANGA OPEN」受賞作を原作にして、審査員を務めたかわぐちかいじの作画で連載開始した異例の作品。
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
以前合コンで知り合った女性に、なかなか連絡できなくて。「嫌がられるかな」と不安になるんですよ(笑)。こんなことなら、出会いに恵まれていた大学時代にタイムスリップしてやり直したい。当時から人とたくさん話していたら、今もっと自信がついていたかもしれないですよね。
タイムスリップつながりで、ぜひ読んでほしい名作が『僕はビートルズ』。あらすじは、ビートルズの人気コピーバンドを組んでいた青年4人が、あるきっかけで2010年から1961年にワープしてしまうというものです。スナックに流れ着いたショウとマコトは、ビートルズのデビュー前にもかかわらず「イエスタデイ」を披露。以前から「ビートルズになりたい」と語るマコトが「この曲は俺が作った」と言ったことで、歯車が狂い始めます。大それた嘘をついてでも憧れの人になりたいという誘惑に読者が共感できるのは、誰もがカリスマ性を知るビートルズという題材ならでは。
作画担当は、漫画家歴50年以上のかわぐちかいじ先生。写実的な画風にもかかわらず、描き込みの量が圧倒的に少ないんです。必要最低限の線だけでリアルさを成り立たせているということですね。それだけでなく、音楽がテーマの作品にもかかわらず描き文字(擬音などを手描きで表現したもの)の量も最小限に絞られている。登場人物の表情やトーン処理でその場の空気感を表現しているんですよ。基礎的な技法だけで仕上げる熟練の手腕、尊敬です!
「現代の通貨が通用しない」などの“タイムスリップあるある”もSF好きにとっては見どころ。特に惹かれたのは「過去の人と恋に落ちる」シーン。タブーとわかっていながらアタックする積極性がすごい。奥手な僕は、その姿勢を見習いたいです(笑)。

©かわぐちかいじ・藤井哲夫/講談社
「イエスタデイ」の演奏シーン。楽器の響きやその場の緊張感が過不足ない線で表現されている。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
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