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「仕事論の話題は振らない」ダウ90000・蓮見 翔が語る、“肩肘張らない”会話術と、Podcastのこれから。[トキトケトーク]

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出演するラジオ番組の端々から“雑談愛”が漏れるダウ90000・蓮見翔が語る、肩肘張らない会話術と、Podcastのこれから。

「雑談」に脚本はいらない

蓮見 翔 1

 何げない会話に潜むおかしさが、ちょっとしたズレによって膨らみ、大きな笑いへと発展する。演劇、コントユニット・ダウ90000の主宰・蓮見翔が手がける作品の根底にあるのは「雑談」への探究心だ。

「僕が考える面白いものって、探そうとしても見つからないんですよ。普段見聞きする日常で『待つ』しかない。もし気になる言葉ややりとりが現れたらメモをとる。その積み重ねで脚本ができています」

 全国で公演を行い、様々なテレビ番組に出演する傍らで、複数のラジオ番組のパーソナリティを担当。ライブか収録かの形式の違いはあれど、共通しているのは、筋書きのない雑談を楽しんでいる点だ。パーソナリティを務める『トキトケトーク』は、視点や切り口こそ独自的でありながら、ファミレスでのトークのような、決して難解ではない“talky talk”(とりとめのない雑談)をコンセプトに掲げている。

「ゲストはもともと交流のある人が多いので話しやすいですが、芸人仲間であるフースーヤの谷口(理)さんが来た回は、ローカルなゲームセンターの“あるある”や、僕らが幼い頃に読んでいた漫画『NARUTO』の細かい話で盛り上がれて楽しかった。あれこそまさに雑談。他にも2つ番組のパーソナリティを担当しています。ひとつは生放送でひとりしゃべりをする『REQ JAM』。リスナーからリアルタイムで反応が届くのが楽しい。家事の話をした回に主婦の方からメールがあったときは、『こんな方も聴いてくれているんだ』と発見がありました。もうひとつは、様々な分野の専門家をお招きする『日曜大学 supported by 日本大学』。ここでも素朴な質問をぶつけることを大切にしています」

 それぞれの番組で対峙するのは芸人から文化人、学者まで様々。トークの際に意識していることは?

「相手を信じることですね。たとえ僕がまったく知らない分野の人が来たとしても、取り繕わず、素直にわからないものはわからないと言うようにしています。それで怒る人っていないんですよ。皆さんが優しいことに気づいてからは、どの番組も肩肘張らずに臨めるようになりました。特に『トキトケトーク』で意識しているのは、仕事論の類いの話題を振らないこと。雑談から離れてしまうので。もっと身近な話題で盛り上がりたい。よく相手にぶつける質問は『休みの日、何してますか?』と『今、一番何が楽しいですか?』。結局、その2つが他人に対して最も興味のある事柄でもあります」

 パーソナリティとして活動する前から、いちリスナーとして多くの音声メディアに慣れ親しんできたという。自身に影響を与えた番組は何なのだろう。

「2010年頃に始まったトータルテンボスさんのPodcast番組はよく聴いていました。リスナーへのメールの募集文をツッコミの藤田(憲右)さんがクサすというお決まりのくだりが印象的で(笑)。僕にとってのラジオの作法は、あの番組で身につけましたね」


Podcastは、
“流行ってない”から面白い

蓮見 翔 2

 現在も、長いときは一日に数時間の散歩をしながら、『JUNK』(TBSラジオの平日25時からの番組枠。現在はすべて芸人が担当)や、『オールナイトニッポン』などを聴いて楽しむのがルーティン。ズバリ、音声メディアの魅力とは?

「何が起きているか視覚ではわからないところですね。パーソナリティの会話を理解して笑えるには、聴き手側が“前のめり”になる必要がある。お便りを送るなど、より積極的にアプローチする方法もありますしね。テレビよりも、自分が番組の一部になれる実感を得やすいメディアだと思います」

 近年では「JAPAN PODCAST AWARDS」が開催されるなど、音声メディアの中でもPodcastが勢いを増しているが、現状に対しては俯瞰した視点で眺めている。

「以前、偶然見つけた面白い番組の過去回を聴こうとしたら、200本近くもあって。こんなすごいコンテンツに僕はずっと気づかなかったのかと衝撃を受けたんですが、同時に、探そうと思ったら、(世に知られていないだけで)面白い番組はこれ以外にも膨大にあるんじゃないかとも。この状態って言い換えると“流行ってない”んですよ。もしPodcastに人気があれば、すぐに誰かが見つけて広まるはずじゃないですか。少なくとも200回更新して埋もれることはないと思うんです。そもそもこのカルチャーになじみのない人からしたら、『ラジオネームってなに?』って思うはずなんです(笑)。『本名でメールを送るのが嫌だから、仮名をつけている』という独自のルールがなぜか説明されることなく通用している。僕がトータルテンボスさんの番組で聴いた“お決まりのくだり”だってそうですよね。ラジオもPodcastも、内輪ノリが通用するのが魅力だと思います」

 音声メディアが今後さらに躍進するために、作り手にはどのような意識が求められるのか。

「演劇にも同じことが言えますけど、“流行ってない”現状を認めてからがスタートだと思います。このカルチャーがこの先どうしたら生き延びることができるかを、たくさんのクリエイターたちが考えることで、爆発力のあるクリエイティビティが生まれ、その結果、『これまで触れてきたコンテンツとは違って面白い』と感じる新しいリスナーを獲得していく。そんなふうに音声メディアが勢いを増してくれたらうれしいですね」

 ラジオやPodcastをこれから聴き始める人は、どのように楽しむのがいいだろうか。

「例えば(番組の)約1時間、誰かがぶっ通しで話し続けるってそもそもすごいことだと思うんです。まずはそこに素直に驚いてみてほしい。それと、最初にいわゆる“神回”と評される回から聴き始めないのも鉄則! あれは内輪ノリをわかっている人が聴くからこそ面白いもの。まずは深く考えず最新回を選んで、聞こえてくる雑談に耳を傾け、楽しんでみてください」

蓮見翔のPodcast

『トキトケトーク』

『トキトケトーク』

MBSラジオで毎週月曜18時45分から放送。ファミレスで近くの席から聞こえるとりとめのない雑談がテーマの番組。蓮見翔が今そのジャンルで最も注目を集める“時の人”を迎えて、様々な話題を深く掘り下げる。

ダウ90000

蓮見 翔

1997年生まれ。8人組の演劇、コントユニット・ダウ90000主宰。JFN系列にて毎週木曜21時から『蓮見翔のREQ JAM』、毎週日曜13時30分から『日曜大学 supported by 日本大学』放送中。

ジャケット¥90,200・ハイネック¥15,950・パンツ¥33,000・靴¥55,000/ラッド ミュージシャン 原宿 シャツ¥35,200/スティーフショールーム

Photos:Taichi Chiba Stylist:Tatsuya Matsumoto Composition&Text:Koki Yamanashi

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