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たっぷりスープで温まった身体に、
カレーや焼きそばで畳み掛ける

百年食堂が点在する青森県津軽地方。その南東にある平川市に店を構えるのが大十食堂です。
もともとの地名だった旧尾上町の中心街・十文字の交差点と、現在まで四代に渡り暖簾を受け継ぐ西谷家の屋号・大を冠したお店。明治33年の創業からなんと120年(!)に渡って営みを続けています。

名物はセットメニュー。ラーメン×やきそば×おにぎりという、炭水化物だけでトリオ編成されたAセットは背徳感に満ちた組み合わせ。
ラーメンのおかずにやきそばを啜る。おにぎりを頬張りながらラーメンのおつゆを飲む。やきそばのタレの酸味とコクをおにぎりの甘さで洗い流す。炭水化物だらけなのに、おかずのように組み合わせて食べ進めるうちに、圧倒的満腹状態にたどり着く。この不思議な食後感が店の看板になっているといっても過言ではありません。
で、数年ぶりに訪問したこの日。やっぱりAセットにしようかなぁ...と思ったのですが、雪がちらつく肌寒い季節もあって、恋しくなったのはラーメンの熱々スープ。
となれば、レギュラーサイズのラーメンと合いの手がセットになったBセットで決まり。チャーハンも焼きそばの手招きも魅力的でしたが、スパイシーな刺激がほしかったのでカレーライスと組み合わせてみました。

運ばれてきた組み合わせに大正解を確信。大きな器になみなみと注がれた透明感のあるスープ、そしてジャストサイズなカレーライス。
塩加減がほどよく、やさしい口当たりのスープ。その要はお店で作られる自家製焼干し。本来は産地から仕入れたものを鍋に入れて出汁を取るところですが、こちらでは「マイワシ(ヒラコ)の煮干しを焼いたものを臼で細かく挽いて、それを更に乾煎りする」というこだわり。
そこに「髄の旨みを溶けこませるように」しっかり割ったとんこつや、昆布や削り節を加えて味を整えるとまろやかなスープのできあがり。旨味を舌にころがしているうちにレンゲの止め方がわからなくなるほど。
その中で泳ぐ麺は、製麺後にしっかりと寝かせて一つ一つ手揉みをすることで、スープの絡みをよくしたもの。もちろん、これまた手が止まらなくなるのは当たり前ですよね...
そんなラーメンの合いの手になるミニカレーは、家庭感満載の「こういうのがいいんですよ!」なおいしさ。えぇ、やっぱり交互に食べるのが一番です。

こちらがBセットのやきそば×ラーメン。見た目に麺のムッチリ感や、玉ねぎのシャキシャキ感が伝わる麺々コンビ。「仕事でこのあたりに来るときには、やっぱりここに入ることが多い」と語るのは、同行いただいたお隣の黒石市で働く方。
かつては小さな町の中で愛されていたお店も、今は津軽・中南エリアの胃袋を一手に引き受ける存在。実は閉店近くの時間帯だったにも関わらず、働く男たちが背中を丸めて麺類やごはん類をワシワシと食べる姿で賑わっていたのでした。
【青森県・平川市】やっぱり食堂はラーメンが美味しくなくちゃ。先代の背中から学んだ味。「大十食堂」【100年食堂】
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2021年6月、色々な事情によって大十食堂は一旦幕を下ろしましたが、地元のお客さんからの声に応えて、現在はお隣・青森県黒石市にある「焼肉逢春」のランチタイムに中華そばや焼きそばといった大十の味を提供。多くの方に親しまれた味を絶やさぬよう、今なお腕を振るい続けています。
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店舗情報
大十食堂
創業年:1900年(明治33年)
住所:〒036-0377 青森県黒石市中町25-1
電話番号:0172-55-9614
営業時間:11:00~14:00(平日)/11:00〜15:00(土日祝)
定休日:水曜日(祭日の場合は翌日休)
主なメニュー:中華そば(並・650円)/焼きそば(並・750円)/ミニ3点セット(1,050円・記事中のAセット相当、現在はおにぎりが牛すじ入りカレーに変更)/セットメニュー(麺類+350円・記事中のBセット相当)
※店舗取材2016年1月29日/店舗情報は2025年12月1日時点のもの。料金には消費税が含まれています。
店主

四代目店主
西谷 豊 さん
豪快な二代目と真面目な三代目の血を引いた四代目。人を惹きつける柔らかな雰囲気。

Text by 百年食堂応援団/坂本貴秀
※この記事はウェブサイト「100年食堂」にて2020/01/25に公開された記事を、サイト終了にともない、加筆してメンズノンノウェブへ移行したものです。

坂本 貴秀
フォトライター/伝承料理研究家/百年食堂応援団
取材を通じて感じた飲食店や地域の「まだ伝わりきれていない魅力」を、撮影と執筆でお伝えしています。伝承料理研究家として、地域に残る食文化の調査・記録や、コンテンツ・商品化を通じた次世代への継承活動にも取り組んでいます。100年続いてきた、続けんと奮闘する飲食店を応援しています!
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