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施術者の技術の向上やツールの進化により、ヘアは「完璧にカッコいい」に限りなく近づける世界になった。でも、ちょっと隙がなさすぎないか?とKANADA氏は語る。昔は技術が追いつかないが故のエラーと見られていたものをあえて取り込み、現代の新たなカッコよさに昇華させてみた。

片岡 駿さん(21歳・フリーター)
雰囲気のあるカッコよさが魅力の彼。自分の考えに共鳴してくれる若者に会うとうれしい、とKANADA氏。

もちろんいいことなんだけど、街でモデルハントをしていると、特にヘアはきれいにまとまった子があまりに多いなって思う。今はいろんな情報があふれているうえに気軽にアクセスできて、ヘアのプロじゃなくてもある程度の知識を得られる。美容師の技術もどんどん上がっているし、薬剤やツールも進化していて、できないことがないんじゃないかと思うくらい。でもそうなると、隙がなさすぎてつまらないな、というあまのじゃくな気持ちがわいてくる(笑)。みんながそれなりに整っているストリートで、理屈抜きで本能的にカッコいい! というスタイルがないかな、とクリエイターとしては思ってしまう。そんなときにインスタで見かけて気になったのが片岡君。服が大好きで、特に裏原エリアにいるらしい。エヴィスの古着を着ていたのもグッときたし、音楽やアートなど、いろんなカルチャーに触れているそうだ。彼と話して「いわゆるカッコいいと言われるもののアンチをやってみたいんだけど」と話したら「面白そうですね!」と乗ってくれたのもうれしかった。一般的なセオリーとしては、カラーはムラがないほうがよくて、根もとまでちゃんとブリーチされてたほうがいい。でもその逆をあえてやってみた。ただし、きちんとデザインされたカットと清潔感のある質感は死守して、だらしなさとは違う絶妙なところを突いた。アンチだけど、ちゃんとカッコよく着地はしないとね。アンチのアンチみたいな?(笑) みんな何でも、完璧にしなくてもいいからね。
ベースのきっちり感あってこその、ハズし

確実にトレンドではない“茶髪”のあえての色ムラと、根もとの黒残しがちゃんと“あえて”に見えるよう、カットはしっかりデザインをきかせたウルフに。ドライ寄りの質感で潔く額を出して、アウトローなルーズさに転ばないようにした。
KANADA PROFILE/メンズノンノ本誌はもちろん、数々の広告やショーで活躍するヘアアーティスト。俳優やタレントからの信頼も厚い。ヘアそのものだけでなく、コーディネートとのバランスも考えたトータルでのプロデュースを得意とする。
Hair:KANADA[LAKE TAJO] Photos:Go Tanabe Stylist:Tomohiko Sawasaki[S-14]
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