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【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.7】ある夜、世界5都市で。5つのタクシーの物語『ナイト・オン・ザ・プラネット』

【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.7】ある夜、世界5都市で。5つのタクシーの物語『ナイト・オン・ザ・プラネット』

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発表

 今回の『ナイト・オン・ザ・プラネット』は、映画タイトルが並ぶ中から、何となく目が行って観始めた作品です。ジム・ジャームッシュという監督のことも、オムニバス映画が何かもよく知らないまま観たんですが、よかった。『ストレンジャー・ザン・パラダイス』(’84)などインディーズシネマの元祖的存在であるジム・ジャームッシュ監督への入り口になった作品でもあります。


『ナイト・オン・ザ・プラネット発売中
Blu-ray:3,080円(税込)DVD:1,980円(税込)
発売元:バップ
©1991 Locus Solus Inc.

世界の5都市で起きるある夜の出来事

 世界の5都市で、5人のタクシー運転手が経験する5つの物語から構成されています。運転手と後部座席の客を前から映しているだけなのに、会話が面白いから、ずっと見ていられるんです。

 第1話の舞台は、ロサンゼルス。ヒロインの若い運転手を演じるのはウィノナ・ライダーさん。僕はこの映画で初めて知りました。荒っぽい運転をしてクラクションを鳴らされて怒鳴り返したりする。でも小柄だからお尻の下に分厚い電話帳を敷いていて可愛かったりもして。キャップをかぶってTシャツをタックインして、オーバーオールの腰回りにはジャラジャラと色んなものが。「車の整備士になるのが夢」と語る彼女のキャラクターがとても出ている、その衣装がすごくよかったですね。また彼女が、運転しながらタバコをひっきりなしに吸い続けているんですよ(笑)。

若いドライバーのカッコイイ生き方

 ロサンゼルス空港から彼女のタクシーに乗った、できそうな女性エージェントが、他の車に怒鳴る彼女を見て「女優にならないか!?」といきなりスカウトするんです。「若い女の子はみんな女優に憧れるでしょ」と。ところが「自分は整備士になりたいから」と断っちゃって。すごく軽く見えるキャラクターなのに、実は人生設計がすごくしっかりしていて、全くブレないのがカッコいいんですよ。こういう人は信頼できるわ~、と思いました。

一番好きなニューヨーク編


 僕が一番好きだったのは、2話目のニューヨーク編です。新米タクシードライバーは旧東ドイツから移民して来たオジサンなのですが、運転が下手でガックンガックンしながら走って来る。そのタクシーに乗ったお客の黒人青年が、あまりに下手だから運転を交替しちゃうんです(笑)。
 オジサンの名前であるヘルムートが“ヘルメット”って聞こえて、青年が「変な名前だ」と笑い転げているのですが、逆に名前を聞かれたら、今度は「ヨーヨー⁉ 完全におもちゃの名前じゃないか」ってお互い大笑い。2人の遠慮のない冗談の応酬や、軽いアメリカン・ジョークが、すごく面白くて頭に残っています。

 しかも途中、弟の奥さんを見つけたヨーヨーが、「こんな夜中にどこをほっつき歩いているんだ!?」とタクシーを飛び降りて喧嘩。ハプニングの連続なんです。激しく言い合っている2人を、見知らぬ通行人が立ち止まってガン見している姿もおかしくて、すごく笑っちゃいました(笑)。

 演技で言い合いをする時って、相手の言葉が終わってから自分のセリフを言うことが多いのですが、この2人は言いたいことを互いにかぶせて言い合っている。そのごちゃごちゃ感や、リアルな感じも、すごくよかったです。彼女の高らかに声を上げる、あの笑い方も僕はとても好きでした。

 ヨーヨーが義理の妹を連れてタクシーに乗り込むと、ヘルムートが彼女のことを「美しい!」と褒める。そうしたら激しく怒っていたのに、彼女も「ありがとう」って、ちょっと嬉しそうになったりして(笑)。元道化師だというヘルムートがリコーダーを吹き始めたり、はちゃめちゃなんだけど本当に平和でいいなぁ、って思いました。実際は困った状況なんだけど、このオジサンならどうにかなるよね、人間、生きていけるんだな、というようなポジティブな空気が漂っていて、それが本当にいい、楽しい1編でした。

繊細なテーマをギリギリ攻めるパリ

3話目のパリ編は、相当攻めているストーリー。黒人のタクシー運転手さんが最初に乗せるのは、要人に会うとか会ったとかで天下を取ったようにハシャいでいる2人。エリート風を吹かせて運転手を見下し、天狗になっているおじさんたちの姿を見て、いる、いる、とも思いました。

 次の乗客は盲目の女性(ベアトリス・ダル)。はじめ運転手さんは同情的に接するんですが、気の強い彼女がキッパリとそれを拒絶する。運転手が何を言っても、聞いても、彼女の方が一枚上手でピシャリと怒られるみたいに言い返されるんです。その意外さや、降りる時も親切に声をかけたのに……みたいな展開も、やっぱり攻めてます。

 こういうテーマはなかなか日本では撮れないというか、笑いやエンタメに昇華させて面白くするって、すごく難しいですよね。欧米と日本は、感覚がやっぱり少し違うのかなとも思うし、意識の差を感じました。この第3話も会話がとても面白くて、夜のパリもとても美しかったです

 4話目のローマ編は、タクシー運転手(ロベルト・ベニーニ)がずっと喋りつづけていて、本当にうるさいしかなりブラック。とにかく喋りつづけている主人公がうるさいので、好き嫌いが分かれる一篇かも。

素朴な酔っぱらいが魅力のヘルシンキ

第5話はヘルシンキが舞台で、素朴で好きでした。雪がちらつく真冬の夜、タクシー運転手が3人の酔っ払いの男を乗せるのですが、その4人のオジサンたちがなんともおかしくて可愛いんです。

一人は酔いつぶれてぐっすり眠っていて、彼がどんな不幸な目に遭ったのかを他の2人が運転手さんに話して聞かせます。ところがそれを聞いた運転手さんが、もっと不幸な自分の話を話し始めて……。2人は涙ぐんで聞いているのに、最初の酔っ払いのオジサンはニコニコした寝顔で寄りかかって来てそれがまたおかしい。ギリギリな状況なのに笑えるってのがスゴイなぁ、と! お給料や退職金が封筒に入れてポンと渡されるのにも驚きました! そういう描写からも、90年代だなって感じます。


 話が切り替わるときに、世界地図上に並ぶ5つの時計で、都市と時間を知らせるのがおしゃれ。観るうちに、その土地の違いとか、人の特徴の違い、文化、言語、そして笑いの違いもなんとなくわかってきます。

 例えばロサンゼルスでは、エージェントの女性に対して、若いドライバーがずっと「ハイ、マム(お母さん)」と受け答えしていたのに、最後、女優になることをビシッと断ると、年上のエージェントの女性が「ハイ、マム」と返しちゃう。オヤジギャグ的なものもあるし、ヘルシンキではオジサンたちが4人で車に乗っている画だけでもおかしくて。会話が面白いということは、つまり脚本が面白いということなのかな。どの土地でどんなジョークが飛び交うのか、それも併せて楽しんで欲しいです。
 ロスでもパリでも、乗り込んで来た客がひたすら煙草を吸いっぱなしなのも、時代背景を感じさせて興味深かったですよ!

·Original Title: MY BLUEBERRY NIGHTS ·English Title: MY BLUEBERRY NIGHTS ·Film Director: KAR WAI WONG ·Year: 2007

『ナイト・オン・ザ・プラネット』(‘91)
ロサンゼルス、ニューヨーク、パリ、ローマ、ヘルシンキの5都市のタクシー運転手と、乗客とのやりとりを描いた、5話からなるヒューマンコメディ。ロサンゼルスでは若い運転手(ウィノナ・ライダー)が大物エージェント(ジーナ・ローランズ)を乗せる。NYでは、移民したばかりの運転手がブルックリンまで黒人青年を乗せる。パリでは運転手が盲目の女性(ベアトリス・ダル)にやり込められる。ローマではおしゃべりな運転手(ロベルト・ベニーニ)が乗って来た司祭に懺悔を始める。ヘルシンキでは運転手のミカ(アキ&ミカ・カウリスマキ作品の常連マッティ・ペロンパー)が、酔っぱらって寝込んだアキの不幸話を聞かされる。


最近また、韓国ドラマにハマっておりまして。ゾンビ系や恋愛もの。全部面白いですね!
そして今は『気象庁の人々』を見てます。ソン・ガンさんかっこいいですねぇ
『わかっていても』から知りました。何作か観てますが、本当にかっこいいです。
そして、撮影の日々が続いているので健康には気をつけてます。皆さんも健康に気をつけてくださいね!

Text:Chizuko Orita

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鈴鹿央士の偏愛映画喫茶

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