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「“おじさん”にくぎづけ!
発想力と画力で引き込む還暦奇譚」

『還暦姫』1巻~
奥 浩哉(小学館)
シェアハウスで楽しく暮らす、未婚・子なしのおじさん6人。ある日、稼ぎ頭のテラさんが、中国の富豪の間で出回っている“最新整形薬”の噂を語り始め─。『ビッグコミックスペリオール』にて連載中。
マユリカ・中谷のマンガは、ずっとトモダチ
駆け出しの頃、ツッコミをするのが苦手だったんですよ。僕が舞台上で「なんでやねん!」と言うと、わざとらしく見えてしまって。そこで編み出したのが、“女性を演じる”という方法。誰かになりきると、不思議とツッコミやすいんです。そのスタイルは今や僕の定番になっていますね。
“女性になる”といえば、昨年末に『還暦姫』というぶっ飛んだ漫画が始まったんです。主人公はシェアハウスで暮らしている6人の還暦男性。そのうちの誰かひとりが「飲むと自分が望んだ姿に変身できる」効果のある怪しい薬によって、女の子になるという内容です。特に秀逸なのは序盤の展開。誰が女の子になるかわからないという状況の中、登場人物が「俺が変わるのかも」と疑心暗鬼になるシーンの独特の緊迫感と展開のシュールさに引き込まれる。“普通のおじさん”ばかりが登場するのに、ここまで読ませる手腕に驚きます。ここだけの話、漫才のクセの影響もあり、女の子になったおじさんに感情移入しかけました(笑)。
登場人物の個性が際立っている点も魅力。シワやヒゲなどの要素が多い分、おじさんをデフォルメなしで描くのは難しいんです。さらにそれを6人分、見分けがつくように描き分けてしまう画力がすごい! 一枚ずつの絵の完成度が高いのも、この作品を読み進めたくなる理由ですね。
最大のポイントは、作者が『GANTZ』『いぬやしき』などで有名な奥浩哉先生というところ。唐突に宇宙人が出てきたり、サイボーグになったりと意外性のある作品を手がけているだけに、本作の展開も一筋縄ではいかないはず。題材自体は「男性が女性になる」という古くからなじみ深いものにもかかわらず、結末が想像できない。奥浩哉先生、やはり恐るべしです!

©奥 浩哉/小学館
おじさん6人がファミレスに集まるシーン。画像中央のテラさんの提案により、この中のひとりが女の子に。

Nakatani
2011年に相方の阪本と、お笑いコンビのマユリカを結成。ポッドキャスト番組『マユリカのうなげろりん!!』が大人気。自らも漫画を描いており、『シャンプーハット』が小学館新人コミック大賞の佳作を受賞。
Text:Koki Yamanashi
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