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青森県八戸市「キクヤ食堂」

青森県八戸市の百年食堂『キクヤ食堂』。
お昼時にはキクヤラーメンをはじめ、豆腐フライ、ポークソテーといった、名物を食べるお客さんで賑わい、三代目の信一さんは厨房で休むことなく腕を振るう。
そんな食堂の夜。晩ごはんを食べようと暖簾をくぐると、昼間の慌ただしさと打って変わってゆったりした空気に包まれていた。ビールと共に生姜焼き定食を頬張ったり、座敷席で時間を気にすることなく寛ぐお客さんの姿。ゆっくりと料理を味わったり食堂呑みをするには、やっぱりこの時間がベスト。

もちろん、口開けには豆腐フライが欠かせない。サクッと軽やかな衣の中には木綿豆腐。塩とコショウの下味が、豆の旨さが際立たせている。

卓上のしょうゆを数滴落とせば、たっぷりの鰹節の香りと相まって、温奴とフライのいいとこどりの感覚に。8切れあったフライが、あっという間に空っぽに。
一口でタイムスリップ!
昭和のナポリタン

そんな食堂で食べたかったのが、この昭和のナポリタン。
店頭に出されたメニューボードでは裏メニュー扱いになっている一品は、NHK八戸支局の近くで昭和40年代から信一さんの母の弟さんが営んでいた、街の喫茶店の定番メニューを再現したもの。

横長のお皿にたっぷり盛られたその姿は、まさに昭和のナポリタン。ケチャップがたっぷり絡んだスパゲティと、玉ねぎ、ピーマン、ハムのシンプルな具材との組み合わせ。
少しモチモチした麺の食感は、アルデンテの向こう側でしか楽しめないもの。シャキシャキした野菜の食感とのハーモニーもしっかりで、食べごたえ抜群な一品だ。
かつおだしがさっぱり旨し!な
夏ラーメン

そして、夏限定のメニューがこの夏ラーメン。こちらは「キクヤラーメンの煮干しスープをベースに、冷やしを作れないか」という想いを元に試行錯誤を繰り返したという一品。

ひんやり冷たいスープの出汁、たどり着いた答えはかつおだしだった。香り深く口当たり優しい旨味が、レンゲを持つ手を止めさせない。
具材は玉ねぎやもずく、しょうがと、夏らしく麺をすする勢いを助けてくれる。チャーシューも二枚盛られているので、パワー補給にもぴったり。
引き締まった細麺をすすって、玉ねぎのみずみずしさとスープの旨味を口いっぱいに広げる。そこに差し込んでくるのはワサビのツンと鮮烈な香りと刺激。ギアをもう一段上げて、スープも最後の一滴まで飲み干してしまう。
常に新しい料理にチャレンジし続ける姿勢こそ、お客さんに長く愛され暖簾がしっかりと受け継がれてきた理由。そんなことを教えてくれた八戸の味。やっぱり、ここは街に欠かせない。
店舗情報
キクヤ食堂
創業年:1930年(昭和5年/取材により確認)
住所:〒031-0802 青森県八戸市小中野4−2−1
電話番号:0178-22-0260
営業時間:11:00〜21:00 ※土曜日の14:00〜17:30は休憩時間
定休日:不定休(月1回程度) ※毎月第2水曜日は14:00〜半日休業
おすすめメニュー:
豆腐フライ(単品480円・定食760円)/キクヤラーメン(550円)/ポークソテー(単品820円・定食1,050円)
※店舗データは2019年3月27日時点のもの、料金は2020年6月7日時点のもの。料金には消費税が含まれています。
店主

三代目店主
加藤信一 さん
高校卒業後に専門学校で栄養学を学び、病院の調理師を経て三代目として暖簾を守る。

Text by 百年食堂応援団/坂本貴秀
※この記事はウェブサイト「100年食堂」にて2019/08/24に公開された記事を、サイト終了にともない、メンズノンノウェブへ移行したものです。

坂本 貴秀
フォトライター/伝承料理研究家/百年食堂応援団
取材を通じて感じた飲食店や地域の「まだ伝わりきれていない魅力」を、撮影と執筆でお伝えしています。伝承料理研究家として、地域に残る食文化の調査・記録や、コンテンツ・商品化を通じた次世代への継承活動にも取り組んでいます。100年続いてきた、続けんと奮闘する飲食店を応援しています!
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