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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はスタイリストの瓜坂拓海さんが、この6月に4周年を迎えた祐天寺のトナリを案内してくれた。ファッション業界のPRやマーケティングを経て古着屋に転身した店主のトークが冴える!
祐天寺 tonari(トナリ)
今回のお店を訪ねたのは...
【お店の注目ポイント】
“古着ならでは”のデザインと着心地に
注目して90’s前後の古着を厳選

トナリは東横線祐天寺駅の東口から徒歩3分ほど。祐天寺駅通りのちょうど中ほどに、2022年6月10日にオープンした。お稲荷様の鳥居のすぐ隣にあることが店名の由来だ。現在は外観のカラーリングやデザインも鳥居にあやかっている。

オーナーはリーバイスやギャップ、ナナミカなどでPRやマーケティングを担当した経歴を持つ井上吉太郎さん。「いつか自分たちのやりたいことを実現できる店を持ちたい」と夫婦で話していたときに、偶然この物件に出会ったことがトリガーに。古着屋で働いた経験はないものの、持ち前の情報収集力とフットワークを武器にトナリをスタート。
タグやブランドではなく着心地で選ぶ

井上さんは「いい意味で古着業界に無知なところがあったほうがいい」と、プラスの発想でトナリを運営している。買い付けの際、タグやブランドは基本ノールック。一着ずつ自ら袖を通し、着心地やシルエットがいいと思ったものだけをセレクトする。スタイリストの瓜坂さんも「僕もタグを見て買い物をしないので、そこに共感しました」と、今回トナリを薦めてくれた理由を語る。

約20坪というスペースながら商品数は130点ほどと、ゆったりディスプレイされているから広く感じる。左右両サイドにラックがあり、井上さんが「視覚的に気持ちいいと感じる順」で古着が並ぶ。店舗中央のテーブルの上には白、黒以外のカラーTシャツ。ジャンルに統一性はないものの整然とした見せ方にセンスを感じる。
スラックスとローファーに注力

トナリに並ぶのは主に90年代から2000年代のレギュラー古着。アメリカものだけでなくヨーロッパの古着も多い。リーバイス®︎、ポロ ラルフ ローレンといった王道ブランドはあえて選ばず、井上さん自身が知らないブランドも多数扱う。
商品構成の中でもこだわりはパンツ。トップスやアウターはカジュアルなアイテムがメインだが、パンツは基本的にスラックスのみ。古着店定番のデニムパンツはほとんど扱わない。「フェード感のあるトップスを引き立てるボトム」として、スラックスにフォーカスしている。

奧の棚にはキャップやジュエリーなどの小物とスウェット類。スウェットは「裾が絞られていない」パンツもラインナップする。井上さんが「ストレートのスウェットパンツにローファーを合わせるのが好き」ということで、靴もローファーを中心にレザーシューズがそろう。
“日本の趣のあるもの”を大切に

棚の上部には希少な福助スタイルの招き猫が鎮座し、その横に布袋や達磨。靴のディスプレイにも陶磁器が使われ、店内には和のエッセンスがちりばめられている。「不定期ですが、現行の和食器を仕入れて販売することも」(井上)あるそうで、ファッションに留まらず、ライフスタイルに寄り添う店づくりが特徴だ。

棚の隣は試着スペース。ここにも井上さんが好きなドット柄のトートバッグやスケートボードをリサイクルした椅子が置かれ、カルチャーの匂いが漂う。「お店の奥に店主がいるような、昔からそこにあったかのようなお店にしたい」という言葉通り、トナリは店主の嗜好が色濃く反映された個人商店。“昔ながらのよさ”を現代のスタイルに落とし込んだ、温度のある一軒だ。
【スタッフはどんな人?】
セレクトした古着の魅力を
伝える軽快なトークも持ち味
井上さんは神奈川県出身。高校時代にハードコア系バンドのファンになったことがきっかけで、ファッションへの関心を深める。20歳から原宿のストリート系ブランドのショップで働きはじめ、いくつかのセレクトショップを経てPRの仕事に携わリ、キャリアを広げていった。

ファッションのベースにはアメカジがありつつ、音楽やストリートカルチャーの影響も受けている。全身古着で固めるのではなく、新品と古着をミックスするのが井上さんのスタイル。スラックスを軸としたクリーンな着こなしは、トナリのセレクトとも見事にシンクロしている。
PR・マーケティングとして15年間活動し、再び接客の世界に戻ってきた井上さん。「自分がいいなと思って選んだ古着を、お客様が共感して買ってくださる。これほどうれしいことはないですよね。自分の店を持って、本当によかったと思っています」と満面の笑みを浮かべる。
祐天寺 tonari(トナリ)の
おすすめ古着5選
井上さんは「新品にはないようなアイテム」が見つかるのが古着の醍醐味だと語る。おすすめ5選にはそんな“古着ならでは”のアイテムに加え、トナリが力を入れるジャージや企業ロゴものもラインナップ。市場に左右されず「仕入れ値に応じて、適正だと思う価格で販売している」というのもトナリの美点だ。
1_“誰やねん”Tシャツ

家族の記念日に肖像写真をプリントして贈る、欧米のカルチャーを反映したTシャツ。トナリではグラフィックや色がいいものを積極的にピックアップしている。
「古着界では“誰やねん”Tとして、おなじみになっています。祖父母のために孫の写真をプリントしたものが多く、これもそんな一枚。このTシャツを買ったお客さんが海外に着て行って、『それ、自分です!』なんて出逢いがあったら面白いだろうなぁ...と、密かに想像しながら買い付けています(笑)」(井上)。
2_カスタマイズシャンブレーシャツ

シンプルなシャンブレーシャツをハンドペイントとオレンジの飾りテープでカスタマイズ。背面にもポケットの柄と同じサイズ感で、花と虫が3箇所にペイントされている。
「“古着ならでは”を代表する、持ち主が手を加えたアイテムです。亀やカタツムリの絵が絶妙で、『ギリギリアウトなのかも?』しれませんが(笑)、女子が着たらかわいいと思って選びました」(井上)。
3_企業ロゴスウェット

アメリカの自動車メーカー、フォードのロゴワッペンが付いたスウェット。「フォードの企業ロゴはもちろん、アイビー調配色のリブやシルエットがかわいいのがポイントです。着てみると肩位置がかなり落ちるんですが、このシルエットのよさは袖を通さないとわからない。あまり見ないデザインなので、もしかしたらファンがつくったカスタマイズものかもしれません」(井上)。

ボロまでのダメージものは少ないが、ほどよいダメージものは意外とあるそうで、「このスウェットのダメージ具合は抜群」と井上さんも絶賛。アメリカ製のボディが使われている。
4_アディダスのジャージ

スラックスとの相性がいいジャージもトナリが常時ラインナップするアイテム。今っぽい配色のアディダスも散見する。「ジャージは着心地がよくて、リブの伸縮性が劣化していないものを厳選しています。これはたまたまアディダスですが、ノーブランドのものでも条件をクリアすれば仕入れます」(井上)。
5_レッドヘッドの迷彩ジャケット

ウッドランド模様がモダンなバランスのハンティングジャケット。「レッドヘッドはアメリカの大手アウトドア専門店、バスプロショップ(Bass Pro Shops)が手がけるプライベートブランドです。迷彩ジャケットでも着丈が短くシルエットがきれいで、今のファッションにも合わせやすいバランスです」(井上)。
次回は、スタイリスト瓜坂さんが気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都目黒区祐天寺2-8-1
営業時間:14:00〜20:00
定休日:水曜
Instagram:https://www.instagram.com/tonari.yutenji/

Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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