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’00年代の「ワイズ」のコートを、リネン混スラックスでさらっと夏仕様に!【プロが推す東京の古着屋㊴三軒茶屋 PULP VINTAGE(パルプ ヴィンテージ)】

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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。前回に続き、本記事ではスタイリスト竹前悠大さんが三軒茶屋のパルプ ヴィンテージを案内する。

三軒茶屋 PULP VINTAGE
(パルプ ヴィンテージ)

竹前さんが引っ越し先周辺で古着店を開拓しているときに出会ったパルプ ヴィンテージ。オーナーはスタイリストの新井ケンタさん。スタイリストらしい“何でもあり”の幅広いセレクトに惹かれ、通うようになった。

今回のお店を訪ねたのは...

スタイリスト

竹前悠大 さん

大阪府出身。大阪文化服装学院を卒業後、スタイリスト井田正明さんのアシスタントを4年間務めて独立。新進ブランド、シキヤ(SIKIYA)のルックをはじめ、ファッションメディアを中心に活動の幅を広げている。休日の古着店&洋服屋めぐりは今も変わらず。古着を選ぶポイントは“心が躍るか?”。最近は“古着に見えない”クリーンな古着を買うことが増えた。

     

【お店の注目ポイント】
スタイリングが組みやすい
幅広いセレクト。試着が楽しい!

竹前さんは、もともとインスタグラムでパルプ ヴィンテージをチェックしていた。近くに引っ越したのを機に足を運び、オーナーがスタイリストであることを知る。店内を見ると竹前さん好みの「あえて系統を定めない」セレクトで、ワクワクしながら古着を選んだ。取材の日にはいてきたアルマーニのパンツも、パルプ ヴィンテージで見つけた1万円台の掘り出しもの。

オーナーの新井さんは地元・上越市や金沢市にも古着店を展開する実業家。パルプ ヴィンテージは2021年に2店舗目として出店した。三軒茶屋を選んだのは「街も人も好きで、学生時代に住んでいた第2の地元のような存在」だから。


何度か来店して新井さんとも顔見知りになっていた竹前さん。商品のセレクトについて新井さんが「年代も生産国も縛らず、今の気分に合うものを買い付けています」と説明すると、竹前さんも「テイストを絞らないほうが、自由度があって僕も好きです」と応える。新井さんが説明する合間にも、気になる古着をラックから取り出してはチェックする。

スタイリスト同士の会話のキャッチボール

「このパンツ、かなり透けてますね」と手に取ったのはリネン素材のワイドパンツ。「一枚でははけませんが、夏が楽しくなるレイヤード提案として選びました」(新井)「スカートかショーツを上に合わせたいですね」(竹前)「ソックスの合わせでも遊べますし」(新井)。スタイリスト同士ならではの会話が弾む。


続いて目を奪われたのがUSMA(アメリカ陸軍士官学校)のヴィンテージスウェット。衿はカットされ、だいぶ着込まれた形跡が。「いいボロですね。試着してもいいですか?」と竹前さんはしばし見惚れた後、試着室へ。

竹前さんが着替えている間、新井さんが今季パルプ ヴィンテージで推しているスタイルを解説。「90年代から2000年代のワイズの着丈長めのシャツに、ズッカのデザインパンツを合わせると、トレンドではないけれど、おしゃれな人に『オッ』と一目置かれるようなスタイルが完成します」(新井)。

新井さんが特に推すアイテムは、入口近くの中央ラックにコーディネートが組めるように集約されている。


ボロスウェットの話が一段落すると、竹前さんはレジ横のショーツやTシャツへ。ボロスウェットにコーディネートするボトムをチェックしに行ったが、アニメTからフォトT、バンドT(一番手枚にあるのはザ・ベルベットアンダーグラウンドの有名な“バナナジャケット”のTシャツ)まで、振り幅の広いTシャツに思わず足が止まる。

パンツ好きに響くワイドパンツが豊富

その視線の先にはパンツが並んだラックが。中からワイドパンツを手に取ると「光沢があってかなり太い...」(竹前)「光沢があるからこそ、この太さがいいかなと思って」(新井)「これで細かったらドギツいですよね」と竹前さんも賛同する。


「シルエットにこだわって買い付けている」というパンツは、クリーンなものから竹前さんが手にした袴のようなワイドシルエットまで幅広い。

「最近の若いコはスタイルがよく見えることを重視しすぎているのが残念。僕がカッコいいと思う男性は背が低い方が多いですし、内面的な自信を持ってファッションと向き合ってほしい」と、新井さんは熱く語る。

ひと通りパンツをチェックした後、竹前さんは壁にかかっていたシャツを試着したいと伝える。「これは50~60年代くらいのドレスシャツです」(新井)「すごくいい生地ですね」(竹前)。現代では見ない凝ったパターンのジャカード生地で、光沢感も美しい。パルプ ヴィンテージはグレーとシルバー系のアイテムにも注力しているのだとか。


ひとしきり愛でてから羽織ってみる。「裾からこういうボロが出ているのもいいですね」(竹前)「古着で残っていなかったら交わることのないアイテム同士」(新井)と、しみじみ語り合う。

店内の回遊を続け、中央のラックからリラックス感のあるライトブラウンのイージーパンツを見つけた。試着すると「これからの季節、重たくならないようにするには、これぐらい軽い生地のゆるっとしたパンツが最高です」(竹前)「太めのパンツはもうトレンドではなく」(新井)「スタンダードですよね」(ふたり)と意気投合。

引き算でコーディネートしてみる

右手の棚のコーナーに差しかかると竹前さんがベージュのニットに目を留める。すると新井さんが「カシミヤのニットソーですが、ネックのラウンド具合もよくて。タンクトップと合わせたり、素肌に着てもいいかもしれない」とアドバイス。着替えると、試着していたイージーパンツとも見事にマッチ。

「漠然とコーディネートを組んでもらっていますが、うちの肩肘張らない雰囲気を体現してくれていますね」と、新井さん。


「最近は引き算でコーディネートをするようになった」という竹前さん。シンプルなワントーンスタイルにマッチするワイズのコートをピックアップする。新井さんもワイズが好きなようで「世界に誇れるブランド」と前置きしながらコートの解説をしてくれた。

最後はジャケット類をチェック。「もともとクラシックなジャケットが好きだから、こういうタキシードジャケットにもつい手が伸びます。タキシードなのにフワッと着られますね」(竹前)「シャツ×ジャケットという“カッチリ提案”はしていないので、ニットやカットソーでリラックスして着られるソフトなジャケットが中心です」(新井)。

店内をくまなく見て、気になるものをひと通り試着し、満足げな竹前さん。新井さんも竹前さんが選ぶアイテムやスタイリングに、終始うれしそうな表情を浮かべていた。

 

スタイリスト 竹前さんが
「パルプ ヴィンテージ」で
選んだ古着5選

ジャケット主体のクラシックなスタイルが原点にある竹前さん。最近はミニマルでそぎ落とされたスタイルにシフト中。今回の回遊中もエッジィなアイテムに目を留めつつ、試着したのはミニマル寄りのアイテムが多かった。気になった5選にはそんな変化が反映されている。 


1_ショールカラーのジャケット

90’s ショールカラージャケット¥15,900

カーディガン感覚で着られる、一枚仕立てのウィメンズジャケット。「ショールカラーが好きで、試着したらサイズもぴったりでした。両サイドにスリットが入っているのも涼しげでいい。薄手のポリエステル素材だから、夏も重ね着が楽しめそうです」(竹前)。

2_カシミヤのニットソー

2000’s カシミヤニットソー¥12,900

こちらもアメリカのメーカーのウィメンズアイテム。「素肌に着てもまったくチクチクせず、上質さが体感できました。最近はシンプルなデザインだけでなく、素材のよさで選ぶことも増えています。衿ぐりが大きく開いているので、初夏も着られそう。これは買います!」(竹前)。


3_カットオフ仕様の
ヴィンテージスウェット

80’s USMAのヴィンテージスウェット¥72,600

フードが付いていたら40万円はするという超ヴィンテージ。「どこで見ても高いのは知っていたので、フードがカットオフされているとはいえ、お買い得だと思いました。もともとダメージ系も好きだから、やっぱり“ボロ”には反応してしまいます。きれいなアイテムと合わせて着こなしたいです」(竹前)。

4_ウエスタンディテールのパンツ

70’s センタークリースパンツ¥18,900

パルプ ヴィンテージの振り幅を象徴するウエスタンディテールのパンツ。「いろんなモノが見つかるパルプですが、ウエスタンデザインのアイテムをちょこちょこ目にしていたので、今回選びました。ウエスタンはトレンドでもあるし、シンプルなコーディネートにワンアクセント加えるにはちょうどいい気がします」(竹前)。


ベルトループとヒップポケットのフラップにはオーストリッチ風のレザーを使用。フラップには当時らしいジュエルスタッズもあしらわれている。

5_ワイズのコート

2000’s ワイズのコート¥48,400

衿元がオープンスタイルのウィメンズらしいデザイン。「春から初夏もアウターを着たい派です。コートはビッグシルエットばかりで、ここまで細身のものは持っていなかったので新鮮でした。ウィメンズということもあり、サラッと羽織れるやわらかい仕立て。新しいアウターのジャンルが、自分の中で生まれそうな予感です」(竹前)。


【古着でコーディネート】
細身のシンプルなコートを
リラックスしたムードで着こなす

試着時に、“新たな可能性”を感じたワイズのコートをコーディネートの主役に。パルプ ヴィンテージが提案する“リラックスムード”もさりげなく取り入れている。


2000’s ワイズのコート¥48,400・80’s プリントTシャツ¥14,900・ノーカラーシャツ¥12,900・2010’s ア ニュー デイ(A New Day)のワイドパンツ¥13,900

コートを試着したときにはいていた、リラックス感のあるリネンレーヨンのワイドパンツを活かしたスタイリング。「初夏を意識して、中にはTシャツと、襟元が開いた透け感のある軽いシャツを合わせました。コートとパンツのトーンになじむ白をベースにしつつ、Tシャツは無地でなくダメージ感のあるプリントもので遊び心を入れています」(竹前)。

コートを脱ぐと、かなりリラックスした印象に。「普段はシャツやTシャツをタックインすることが多いのですが、新井さんならきっとアウトで着るだろうなと思ってアウトにしてみました。最近は仕事でもコーディネートを考えるときに、チームの誰かのテイストを取り入れたりして楽しんでいます」(竹前)。

 

取材を終えて

じっくり古着を見て、新井さんとの会話も弾んだ2時間。「本当にバラエティに富んだセレクトで、コーディネートを組むのが楽しくなるお店です。きれいなコートや上質な素材のアイテム、僕好みの“いいボロ”もあって、新井さんとおしゃべりしながら、あっという間に時間が過ぎました。買いたい古着もあるので、僕はもう少し見て行きます! ジャンルレスに古着を見たい人はぜひ!」(竹前)

 

【動画公開中】
スタイリストの感性が響き合う
ふたりの会話を動画でチェック!

年齢は違えど、好みや感覚がどこか似ているふたり。竹前さんのコーディネートに目を細め「竹前君のようなお客さんが増えてほしい」と語る新井さん。ヴィンテージからデザイナーズまで縦横無尽なセレクトに、静かにテンションを上げる竹前さん。スタイリスト同士の軽快な会話はもちろん、パルプ ヴィンテージの魅力が詰まった動画も必見だ。


SHOP DATA

Photos : Kaho Yanagi
Movie : Yumi Yamasaki
Movie Edit : Yuki Hayashi
Composition & Text : Hisami Kotakemori

小竹森久美

小竹森久美

エディター

「デザイナーINTERVIEW」や「僕らの永久定番ファイル」などファッションテーマを幅広く執筆。

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