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【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶 vol.9】『さらば青春の光』~若者たちの社会への怒りやあがきを描いた青春映画

【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶 vol.9】『さらば青春の光』~若者たちの社会への怒りやあがきを描いた青春映画

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鈴鹿央士 連載 鈴鹿央士の偏愛映画喫茶 
発表

 今回紹介する『さらば青春の光』は、 作品に漂う“思春期感”みたいなものが、とても好きでした。若者たちがバカ騒ぎをしている感じもくだらなくは見えるけれど、本人たちはすごく楽しそうで、ステキだし、音楽を口ずさみながら踊り出すシーンとか、すごくイイんですよ。そのシーンだけでも、時代と場所――1960年代(初期)の、若者カルチャーが生まれたロンドン――をすごく感じました。

鈴鹿央士 おすすめ 映画
さらば青春の光 映画 Blu-ray

『さらば青春の光』(’79)
Blu-ray: 2,075 円 (税込) / DVD: 1,572 円 (税込)
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント (2022年4月時点の情報)

リアル“モッズ”が最高におしゃれ

 僕が真っ先に注目したのは、やっぱりファッション!  もう、本当にスタイリッシュでおしゃれ。主人公のジミーたちのグループ“モッズ”の着こなしは、まさにモッズ・ファッションの教科書ですよね。敵対しているグループ“ロッカーズ”は、革ジャン系のファッション。違うファッションや音楽――つまり異なるカルチャーを信奉している彼ら“モッズ”と“ロッカーズ”は、町の中でも常に敵対していて、中盤では、それがブライトンという街での大きな抗争につながっていきます。

映画 さらば青春の光 場面写真 バイク

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.

思春期の孤独と連帯感、そして恋

 欧米の映画ではよく、親がどこかへ行っている間に、家にみんなを呼んでパーティーしているような場面を見かけますよね。序盤はそんなパーティーのシーンで、ジミーは、女の子とキスしながらも、別の片思いの相手ステフを意識している。ステフと恋人が踊っている曲のレコードをいきなり変えてしまったり(笑)。ジミーはその後も、ずっとステフのことが大好きなんです。

映画 さらば青春の光 ジミー ステフ

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.


 ジミーは年齢的に僕の少し下くらいだと思うのですが、好きなものは好き、嫌いなものは嫌い、という主張や生き方がハッキリしていて、親や周囲の大人に対してすごく反発しているんです。会社でもそう。でも当時のイギリスは今以上に階級が根強く存在しているらしく、労働者階級出のジミーがどれだけ頑張っても、決してそこから抜け出せないという、彼が“孤独”や“疎外感”を強く抱いているのも感じました。

ジミーが感じた“青春の光”とは

 そんなジミーは“モッズ”の一員であることにのめり込み、嬉々としてブライトンでの抗争に参加します。片思いのステフとも、瞬間的にうまくいくんです。その後、憧れのエースと共に警察に捕まったことすら、“エースと一緒に裁判を受けちゃった”と自慢げで(笑)。ジミーは誰よりも本気で“モッズ”として生きていて、だから本気でブライトンに行ったし、そこでケンカ相手を殴ったり、店を壊したりしたことも、華々しい伝説を作ったみたいに捉えて有頂天になっていた。でも、客観的にはそれは遊びでしかなく、町に戻ったらステフは別の人と付き合っていて「(ブライトンでの抗争は)ただの遊びじゃない!」と言われてしまう。周りと自分のその落差に、ジミーは愕然とするんです。彼だけ大人になれないというか、その孤独感が悲しいんですよね。

映画 さらば青春の光 ジミー バイク

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.

 それからジミーはドラッグに溺れていって、どんどん正常な判断が出来なくなっていってしまうんです。家を飛び出して、会社まで辞めちゃって、楽しかったブライトンに一人で行ってみても、もうそこは味気ない風景になっている。ステフとの思い出の場所に行っても、何の痕跡も残っていない、ただの場所で。しかも途中で自慢のスクーターも壊れてしまうし、もう、見事なまでに転げ落ちていくんです。その辺りから、みるみる“青春の光”は失われていく。

“大人”になれない、なりたくない

 最後にエースに会いに行くのですが、ホテルのベルボーイとして普通に働いている姿を見て失望します。愕然としたジミーは、エースに向かって「ベルボーイ!!」と、それはもう、すべてを込めたように渾身の力で叫んでました(笑)。ジミーは大人になれないというか、なりたくないんですよね。他のみんなのように、自然の流れで無軌道な青春を終わらせられない。その姿は痛いけれど、すごく純粋ともいえると思うんです。何者にもなれずにあがいてる姿は、やっぱり青春だな、と思いました。

映画 さらば青春の光 モッズ スーツ バイク ロンドン 場面写真

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.


最後の選択を表す印象的なシーン

 ラストシーンは、映画のファーストカットと重なっていて、ジミーが自ら青春にバイバイするのですが、よくある青春映画の決着のつけ方とは違って、自ら青春と決別するというのが面白いというか、僕が好きな点でもあります。最初のシーンは、何かが爆発して燃えているようなメラメラした印象を受けたんです。それがラストのシーンで、見事にジミーが何をしたのかが明かされて、“あぁ、あの燃えたぎっていた青春と決別したんだな”と。いやぁ、この邦題をつけた人、天才だと思いました!

原題は「Quadrophenia(四重人格)」で、ザ・フーというバンドのアルバム名でもあるそうですが、その邦題が『さらば青春の光』だなんて、本当に痺れますね。僕は、ザ・フーの音楽を聴いたことはないし、ジミーが憧れるエースを演じているスティングさんの曲も聴いたことがなくて。確か僕の父が、ポリス(スティング所属のバンド)のことが好きだったと思うのですが……。この作品、音楽的にもまだまだ深掘りできそうです。ただ僕自身は、モッズの人たちが聴く曲よりも、スローで落ち着いた曲でダンスするロッカーズたちの音楽の方が好きだったかな(笑)。

今まさに、大人になりかかっている僕

僕自身も、大人になりたくない、という気持ちはまだすごくある。社会人になると色んなことを我慢しなければならないし、何かに従わなければいけなくなる。でも、それで人生が制限されてしまうのなら、大人になんてならなくていいよ、とも思うし……。でも、それじゃ生きていけないから、上手く折り合いをつけて生きていくのが大人になるってことなんだよね、なんて話を、つい最近も友達としたばかりなんです(笑)。

本当なら、何かに制限されることなく、純粋に楽しんでいたいし、素直に生きていたい。ただ自分たちの好きなように生きるために、ずっとつっぱり続けていたいですよね。でも、それじゃダメなんだと気付くのも、大人になるということで、そこに抗い続けると、ジミーのようになってしまう(笑)。どこで折り合いをつけるかも世代によっても変わってくるから、これからの時代を作っていく僕たちの世代で、何かをみんなで変えていこうね、と友だちと話しました。

つっぱることと折り合うこと

 僕の同級生は、この4月から社会人になったんです。まだ働き出したばかりですが、きっと“大人にならなければいけない”場面に、職場でいろいろ出くわしているんじゃないかな。もし相談されたら、とりあえず『さらば青春の光』を観て、って言いますね。僕自身は一足先に仕事を始めましたが、もちろん、自分が考えたり、思ったりしたことと違うことを言われたことがあります。監督さんに“こうしてみて”と言われて、“あれ!?”となったことはありますが、僕は自分の役しか見ていないけれど、監督は作品全体を見ているのだから、すべて従ってやってみよう、というところからスタートしました。


でも仕事を始めた頃、何も知らないからこそ、ぶつかっていける強さみたいなものはあったかもしれない。何をやっても怖くないというか(笑)。最初だけ持っていた強みだったのかな。今は少し、感覚的に掴めることは増えました。意見を言い合うことも大事だしステキだけど、自分の意見をすべて通そうとするより、全体を通して分かっている人の言うことを聞いた方がいい、ということを理解したというか。この仕事を始めて、まだ約3~4年ですが、既に感慨深い! いつの間にか、大人になってしまってい……ますかね(笑)!?

鈴鹿央士 映画 個人的なツボ

なんと言っても、まずファッションに目が行きました。モッズコート、M51。アメリカ軍の制服がイギリスで流行っていて、もはや制服のように“モッズ”の人たち、みんなが着ているんです。その中は、ジャストサイズのスリムなジャケットに、ピタピタのリーバイスを履いて。ジャケットの中はフレッド・ペリーのポロシャツで、その外し具合がオシャレなんですよ。またはシャツに、メチャクチャ細く結んだネクタイ。なんてスタイリッシュなんだ~って。
オアシスのリアム・ギャラガーがこの映画を好きらしく、いつもモッズコート的なものを着ているでんですよ。僕自身は、これまでモッズ・ファッションを取り入れたことはなかったのですが、実は今、放送が始まったドラマ「クロステイル~探偵教室~」で、ちょうど青島さん(「踊る大捜査線」シリーズの)的な、モッズコートっぽい緑のフード付きのコートを着ているんです。元からミリタリー系は好きだったので、似合ってるよと言われて、嬉しかったです!

·Original Title: MY BLUEBERRY NIGHTS ·English Title: MY BLUEBERRY NIGHTS ·Film Director: KAR WAI WONG ·Year: 2007

Film (C) 1979 Who Films, Inc. All Rights Reserved.

『さらば青春の光』(1979/イギリス映画)
1960年代、イギリス。ある会社で郵便係として働くジミーは、夜な夜な“モッズ”仲間たちと改造した派手なスクーターで街に繰り出し、ダンスパーティーに興じ、ドラッグでハイになり、敵対する“ロッカーズ”たちとの小競り合いに明け暮れていた。ところがある日、仲間がロッカーズの襲撃に遭い、両グループの報復合戦が激しくなっていく。そして海沿いのリゾートの町へ、両者が集結する。大乱闘の最中、ジミーは片思いをしてきたステフと居合わせ、一緒に路地裏へ逃げ込んで愛し合うが――。イギリスのバンド“ザ・フー”による、73年のロックオペラアルバム「四重人格」をモチーフにした青春映画。本作により“モッズ”が大ムーブメントとなった。


最近、ラジオをよく聞いていて、野村訓一さんや、永積崇さんのをよく聴いています。
台本を読んでいる時や、休みの日にリラックスしたい時、いろんな時に聞くようにしています。
僕もいつかラジオしてみたいなぁと思ったり思わなかったり…。

Text:Chizuko Orita

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