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鈴木仁と押田岳がW主演を務めるBLドラマ『お前のほうからキスしてくれよ』。過去の恋愛にトラウマを持つ堅物会社員で経理の上野と、明るく人懐っこい営業マンエースの神田。友人として親しい関係にありながら、お互いへの想いを素直に伝えられず、すれ違いを重ねていく二人の“両片想い”を描いた大人のラブストーリーだ。初共演ながら、撮影を通して自然と距離を縮めたという二人。役づくりの裏側から、撮影現場で育まれた関係性、印象的なキスシーンの舞台裏まで、息ぴったりの掛け合いで語ってもらった。
「真面目」と「不器用」。
役と向き合って見えた魅力

――人懐っこい神田とクールな上野。それぞれ演じた役にはどんな印象を持ちましたか?
押田 神田は、一見すると明るくてかわいらしいキャラクターなんですけど、僕はその奥にある部分がすごく気になっていました。きっと家庭環境だったり、それまで生きてきた経験だったり、そういうものがあって、人の顔色や周りの空気を見ながら、その場その場で「どうしたらいいんだろう」と考えて行動してきた子なんじゃないかなって。だから、ただ明るいだけじゃなくて、意外と真面目な一面がある。その空気が出せたらいいなと思いながら演じていました。
―――原作ファンも多い作品ですが、神田を演じるうえで、原作から大切にした部分はありますか?
押田 原作には印象に残るシーンが本当にたくさんあるので、自分の中で「ここは大事にしたい」という場面をいくつかピックアップしていました。そういうシーンは、原作で描かれている神田の表情や佇まいを意識しながら演じていましたね。
――鈴木さんは、上野という役をどう捉えていましたか?
鈴木 上野は、本当に真面目な人なんですよね。堅物というか、失敗をしないようにちゃんと生きてきた人だから、根っこの部分はすごくいいやつなんだろうなって思っていました。
押田 いいやつだよ。本当に(笑)。
鈴木 だよね(笑)。そんな上野が神田と関わることで、少しずつ崩れていくというか、本音だったり、それまで見せてこなかった魅力が少しずつ出てくる。そこがこの作品の素敵なところだと思っています。だから、一気に変わるんじゃなくて、「少しずつ解放されていく」という流れはすごく大切にしていました。監督とも相談しながら、「ここはまだ抑えよう」「ここはもう少し出してみよう」と、一歩ずつ丁寧に積み重ねていきました。

――お互いを見ていて、本人と演じている役が重なると感じた部分はありますか?
押田 鈴木くんは、自分の世界をしっかり持っている人なんです。でも、それを人に押し付けることはなくて、自分の中でちゃんと誇りを持って生きている。そういうところは、上野の真面目さや芯の強さとすごく重なるなと思っていました。
鈴木 ありがとうございます(笑)。僕は押田くんを見ていて、神田と重なる部分をすごく感じていました。何事も自分の中で一度しっかり考えて、悩んで、それでも必要なときはちゃんと人を頼れる。そういうかわいらしい部分は神田そのものだなって思っていました。あと......やっぱりビジュアル(笑)。
押田 ビジュアルは二人とも似てるよね(笑)。
鈴木 うん。身長差も含めて、原作のイメージに近かったと思います。
――では、役づくりで意識したことや、こだわったことを教えてください。
押田 全部を変えるというよりは、自分の要素を使いながら、少しずつ神田に寄せていくような感覚でした。神田らしさだけを作るというより、自分の中にあるものをうまく使いながら演じていた感じですね。
鈴木 僕も、バチッとスイッチを切り替えるような役づくりではなかったです。もちろん、声のトーンだったり姿勢だったりは少し意識しましたけど、それ以外は「作る」というより、撮影が始まってから自然に生まれてくるものを大事にしていました。
「気づいたら仲良くなっていた」。
自然と縮まった二人の距離

――劇中のお二人の距離感がとても自然でした。現場で作っていったものなんですか?
押田 特別に「距離を縮めよう」と意識したことは何もなかったですね。現場で一緒に過ごす時間が増えていく中で、気づいたら自然と今の距離感になっていたという感じです。だから、お芝居も無理に作ったというより、そのときの二人の空気感がそのまま作品にも出ていたのかなと思います。
鈴木 そうだね。本当に無理なく。「話しかけなきゃ」とか、「仲良くならなきゃ」と思ったことは一度もなくて、最初から友達と一緒にいるような感覚でした。作品のことももちろん話していましたし、それ以外のプライベートな話も自然とするようになっていましたね。
――どんな話をすることが多かったんですか?
鈴木 「撮休、何してた?」とか、「今日のお昼ご飯なんだろうね」とか。本当にたわいもない話ばかりでした。
押田 「お腹すいたね」とか、「今度の中空き何する?」とかね。あとは、「最近休みの日に何をしたらいいか分からないんだけど、おすすめある?」って聞いて、映画やドラマを教えてもらったり。作品の話ももちろんしていましたけど、それ以外の会話もすごく多かったです。
鈴木 メイク中も結構しゃべってたよね。その日に流す音楽を決めたり。K-POPの日もあれば、ブルーノ・マーズの日もあったし。
押田 昭和歌謡の日もあったよね。
キスシーンも“二人で作る”。
現場で完成させた印象的なシーン

――タイトルに”キス”が入っていますが、キスシーンが印象的でした。どのように作り上げていったのでしょうか?
押田 事前に「こうしよう」って話し合うことはなかったよね。
鈴木 うん。実際に現場へ行って、「ここのソファなんだ」とか、「この距離感なんだ」と分かってから、一つずつ決めていく感じでした。
押田 コーディネーターの方が、「この角度のほうがきれいに見えるよ」とか、「この動きのほうがかっこいいよ」とアドバイスをくださって。それを取り入れながら、一緒に作っていきました。
鈴木 僕たちも「右手はどこに置こう」とか、「こっちの角度のほうがやりやすいかな」とか、その場で一つひとつ確認しながら進めていました。写真を一枚ずつ撮るような感覚というか、「ここで止まるときれいに見えるね」って話しながら、そこまでの動きも含めて二人で組み立てていった感じですね。
押田 だから、事前に決め込むというより、その場でみんなと相談しながら完成させていきました。
――そんなキスシーンもありつつ、撮影の中で、照れてしまったシーンや印象に残っている場面はありますか?
押田 ラブシーン自体は、意外とノリノリだったんですよ(笑)。でも、オフィスで上野とすれ違いながらニコッて笑うシーンだけは、本当に恥ずかしかったです......。「これ何!?」って(笑)。神田らしいかわいさではあるんですけど、自分としてはすごく照れました。
鈴木 照れちゃった?(笑)
押田 オフィスのあのシーンは恥ずかしかった(笑)。
鈴木 僕は逆でしたね。あのシーン、カメラの外にいたので、押田くんがいつ笑顔を向けてくるんだろうって、監督や音声さんと一緒に見ていたんです。「もうちょっとスマホを離してもいいんじゃない?」なんて話しながら(笑)。「そういう感じで来たか!」とか。ずっと楽しんでいました。
押田 めっちゃニヤニヤしてたもんね(笑)。

鈴木 照れたというより、僕は楽しんでいました。撮影中はもちろん役として受け止めているんですけど、「カット!」って声がかかった瞬間に、なんだか面白くなっちゃうんですよね。あの時間も含めて、すごく印象に残っています。
――今回、W主演として一緒に作品を作る中で、お互いから刺激を受けたことはありましたか?
押田 僕は、人としても役者としても、「座長とはこうあるべきなんだな」という姿を見せてもらった気がしています。
鈴木 え! ちょっと待ってくれよ(笑)。
押田 本当に、本当に! これはマジで思ってる。仁はすごく柔軟なんですけど、その一方で「ここは譲らない」というところもしっかり持っている。そのバランスがすごいなと思っていました。あとは、自分自身と自分の仕事にちゃんと自信と誇りを持っているところ。もちろん役者としての技術もそうですけど、そういう姿勢を近くで見ていて、すごく尊敬しました。
鈴木 えー......(恥)。
押田 照れちゃった?(笑)
鈴木 うん。照れと迷いがこんがらがってる(笑)。
押田 でも、これは本当に思ってることだから!
鈴木 ありがとう(笑)。僕は押田くんを見ていて、ここまで本気で悩みながら作品に向き合っている姿を近くで見られることって、意外とないなと思ったんです。いろいろなシーンで監督と真剣に話している姿を何度も見ていましたし、一つひとつのお芝居に対して「どうしたらもっとよくなるんだろう」と考えているのが伝わってきた。その姿を見て、作品への向き合い方がすごく素敵だなと思いましたし、「自分ももっと熱を持って、作品にぶつかっていかないといけないな」と思いました。近くで一緒にお芝居をしていて、学ぶことはすごく多かったですね。
押田 僕は本当に、相手が仁じゃなかったらキツかったなと思います。それくらい、この作品を一緒にできてよかったです。
「この人で本当によかった」。
撮影を終えて感じたこと

――撮影に入る前と、すべてを終えた今とで、お互いの印象は変わりましたか?
押田 印象が変わったというより、「本当にこの人でよかったな」と思っています。撮影を重ねる中で何かが大きく変わったというより、一緒にやればやるほど「仁でよかった」という気持ちが強くなっていった感じですね。
鈴木 僕も「印象が変わった」という感じではないですね。僕は共演するからといって、共通の知り合いに「あの人ってどんな人?」って聞くタイプでもないので、ほとんど何も知らない状態で現場に入ったんです。でも、初日で「あ、分かった」っていう感じがありました。すぐに安心できたというか、「この人となら大丈夫だな」と思えたんですよね。
――もともとお二人には共通の知り合いが多かったんですか?
鈴木 多かったですね。
押田 実は......、周りから「お前さ、仁くんと仲良くしてるの?」ってめちゃくちゃ聞かれたんですよ。しかも、「二人って合わなそうだよね」って(笑)。
鈴木 え!? 合わなそう?(笑)
押田 めっちゃ言われた。でも僕は毎回、「そんなことないよ。めっちゃ仲いいよ」って答えていて。だから、「なんでそんなふうに思うんだろう?」ってずっと不思議だった。
鈴木 何? 俺たちってそんなに合わなそうに見えるの?(笑)
押田 今度言ってやろうぜ。「俺たち、めっちゃ合うから!」って(笑)。
鈴木 ね(笑)。普通にプライベートでも会ってるしね。周りからはそう見えるんだなあ。不思議。


『お前のほうからキスしてくれよ』
原作:やまやで
出演:鈴木仁、押田岳、木津つばさ、川瀬莉子、松大航也、園田あいか、富本惣昭、金丸尭暉、山崎潤、雨宮翔(GENIC)
STORY
クールで真面目な経理部の上野と、明るく社交的な営業部エースの神田。社内では正反対に見える二人だが、実は神田が上野の家に入り浸るほど親しい間柄だった。ゲイであることを明かしても変わらず距離を詰めてくる神田に、複雑な想いを抱く上野。一方の神田も、かつて上野から「お前とは何も起こらない」と告げられたことが心に引っかかっていて......。友人として過ごすうちに、互いの存在は次第に大きくなっていく。想い合っているのに一歩を踏み出せない、不器用な大人たちの“両片想い”ラブストーリー。
『お前のほうからキスしてくれよ』
10月19日(月)深夜24:45~フジテレビ(関東ローカル)で放送&FODで独占見放題配信開始
放送終了後、TVerにて1週間見逃し配信
ドラマ公式サイト:https://www.nbcuni.co.jp/jcon/omakiss/
Ⓒやまやで/シュークリームPOP/NBCユニバーサル・エンターテイメント
押田 岳|GAKU OSHIDA
1997年4月9日生まれ。俳優。『仮面ライダージオウ』で明光院ゲイツ/仮面ライダーゲイツ役を演じ注目を集める。近年はドラマ『コスメティック・プレイラバー』シリーズ、『未婚詐欺 私の知らない彼の顔』、映画『DEAD END〜羅刹の刻印〜』など幅広い作品に出演。ドラマ『お前のほうからキスしてくれよ』では、明るく社交的な営業部のエース・神田役を演じ、鈴木仁とW主演を務める。
【左/鈴木仁】:ジャケット¥86,900、ネクタイ¥16,500、シャツ¥42,900、パンツ¥57,200/全てCOGNOMEN (サカス ピーアール03-6447-2762)、リング¥63,800 MATSUO Toshihiko™︎(マツオ トシヒコ075-314-5188)
【右/押田岳】:ウールJK ¥77,000、ウールパンツ¥48,400、全てANTOK、その他スタイリスト私物
Photos:Yuko Yasukawa Hair&Make-up:Karen Suzuki(for Mr.Suzuki) Taaki Azumi(for Mr.Oshida) Stylist:Yusuke Sasaki(for Mr.Suzuki) Kei Sera(for Mr.Oshida) Interview&Text:Mayu Yamamoto

山本真由
エディター
出版社の編集を経て2018年に独立。ライフスタイル、カルチャー、ファッションなど、ジャンル問わずにさまざまな紙媒体、WEB媒体で執筆・編集を行う。
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