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メゾンのヘリテージから着想するディオールの特別なフレグランスコレクション「ラ コレクシオン プリヴェ」に新たな香水「ディオール パラダイス」が登場。香りを調香したディオールのパフューム クリエイション ディレクターを務めるフランシス・クルジャン氏へ行われた、エクスクルーシヴ インタビューを公開。

クリスチャン ディオールの記憶をひも解く
春に輝くアーモンドの花の香り

「今回のキーノートであり、ムッシュ・ディオールの幼少期の楽園への扉を開ける感覚的な“鍵”として選んだアーモンドの香りは、日差しを受けて輝く春の花々を象徴します。甘くかぐわしく、ぬくもりを感じるやわらかさ。クリーミーなビターアーモンドが香水の主役になるのは稀なんです。
この香りを軸にしながら、マンダリンやオレンジ、ライムなどの陽気なシトラスのエネルギーとプロヴァンス的なフレッシュなウッディーニュアンスを加えることで、アーモンドの花の白さが持つ澄んだ喜びや自然の生命力が持つポジティブな心地よさを表現しました」(クルジャン氏)。

クリエーションに大事なことは
いかにいいアイデアが浮かぶかということ
「ラ コル ノワール城をモチーフにしていますが、香りを作るにあたったきっかけはそれだけではありません。ディオールの仕事につき、ムッシュについて色々な情報を得ていく中で、彼が南仏という土地にどれほど焦がれていたか、アーモンドの花へどれだけの愛着を持っていたか、そしてこの土地特有の光を愛していたかなどを知りました。それら全てや春の初めの美しさ、そういったことを思い浮かべながら調香の紙と向き合うと、“あぁ、こんな香水が作りたい”という気持ちになっていくんです。
創作において何がいちばん難しいかというと、どのような香りを作るかというアイデアが浮かぶかどうかです。テクニック的なことはこの数十年で習得しノウハウとして身につけているのですが、そもそもいいアイデアがないと結果としていいものはできない。だから、何より大事なものはアイデアです」(クルジャン氏)。


記憶をメランコリックではなく
ポジティブな活力として香りに宿す
「ディオール パラダイス」に漂う甘いアーモンドの香りは、ムッシュ ディオールにとってマルセル・プルーストの小説「失われた時を求めて」で描かれた回想の意味を持つと語る。
「この香りは失われた庭園への記憶と紐づいていますが、メランコリーに鬱々としたものにしたくなかったんです。なぜならムッシュは記憶から活力をもらい、ポジティブなインスピレーションを得ていたからです。クリエーションも同様で、もちろん簡単な作業ではないのですが決してメランコリックなものではなく、未知の世界に繋がっていくとても前向きなものです。
入れるべき香料を定めレシピを決めていく理性的な部分や難しい部分はあれど、私にとってそれは辛い作業ではなく、もっと軽やかで幸せで楽しみに満ちたこと。『ソヴァージュ』など他の香りを作る時も同じで、背景となる物語は違っても、同じように楽しみながらクリエイトしています」(クルジャン氏)。
「ディオール パラダイス」はその名の通り、手にした者にとってのパラダイスを呼び起こす、ポジティブで多幸感に満ちた香りだ。最後に、ムッシュにおけるアーモンドの花のようにクルジャン氏にとって感覚を開く“鍵”となる香りを尋ねると、しばらく考え「いくつかあるけど、まず思い浮かぶのはミモザです。祖母が愛していて、よく飾っていたんです」とはにかみながら答えたのが印象的だった。

ラ コル ノワール城に咲き誇る甘美なアーモンドの花々の香りに、南仏のまばゆさをまとったシトラスの輝きが交差。センシュアルな暖かみをもたらすウッディアコードとローストトンカビーンのビスケットのような温もりへと変遷し、心地よい甘さで包み込む。
問い合わせ先
パルファン・クリスチャン・ディオール
03-3239-0618
Photos: JEAN-MARIE BINET Interview & Text:Atsuko Watanabe
©︎DIOR
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