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世界の美食を探求する萌音さんの大人気連載は今回でフィナーレ。27の国と地域の料理と出会ってきた約2年半の旅の締めくくりは、韓国・ソウル! 大好きな韓国料理を、本場で食べ尽くす!
最終回Special!
final Korea

エプロントップ¥44,000・エプロンショーツ¥62,700(ともにオロヒー)/オン・トーキョー ショールーム ニットポロシャツ¥13,200/ジャーナル スタンダード 自由が丘店
親しい料理の知らない味を求めて
萌音さんにとって親しみのある美食、韓国料理を楽しむために2泊3日でソウルへ。金浦空港に降り立った瞬間から、笑顔が輝き出していた。「韓国は、毎号撮影の後に開く“次の国どうする?会議”でよく出ていたけど、なんとなく取っておいたんです。もしかしたら『現地に行くかも?』って(笑)。そうしたら卒業…。この悲しさを、本場のおいしいごはんで吹き飛ばす! 撮影のテーマを“まだ知らない韓国料理と出会おう!”にして、街の活気を感じる広蔵市場の食べ歩きに始まり、カムジャタンやカルグクス、韓定食、チュクミ、カムジャパンといった、私が気になっていた料理を存分に楽しみました。最初は店員さんとのやりとりにモジモジしちゃったけど、皆さん優しくて、心からもてなしてくださっていると感じてうれしかった。また来たい!」
口の中でとろけるじゃがいもに夢中!
豚の背骨とじゃがいもを、唐辛子やにんにくとともに煮込んだ辛味の効いたカムジャタンをローカル専門店で。40年以上、地元の人に愛される味にうっとり。

ケープ・ベアトップセット¥31,900・パンツ¥29,700/アモーメント 中に着たトップス/スタイリスト私物
「ほろほろと口の中でほどける背骨のお肉とほくほくしたじゃがいもは、ほぼ飲みもの(笑)。韓国産の新鮮なお肉を使用していると聞いて、そのおいしさにすごく納得。一緒に煮込むえごまの葉やウゴジ(白菜の外側の葉や茎)などの野菜の香りと歯応えが加わって、満足感も高い! スープはクセになるちょうどいい辛さで、最後にキムチや韓国海苔をたっぷり混ぜ込む、締めのチャーハン(₩2,000)は、うま味が凝縮していて絶品です!」

감자탕(소)
カムジャタン(小・2人前)
W29,000
締めにチャーハンを投入してもいける!
가나안 뼈해장탕(カナアン・ピョヘジャンタン)
서울특별시 중구 다산로 131
ソウル特別市中区タサン路131
営業時間:3:00〜15:00、16:00〜22:00 無休
えごまとそばの香りに優しく包まれます
韓国では代表的な麺料理の「カルグクス」。最近のトレンドとなっているそば粉を使った麺とえごまをベースにしたスープのひと皿をいただく。

ブラウス¥25,300・パンツ¥19,800・ニット帽¥12,650(すべてグリーンバター)/ジャック・オブ・オール・トレーズ プレスルーム
「最初のひと口で、えごまの清涼感を香りと味わいとして感じられる。つゆはクリーミーだけど、いわしなどの魚からとった出汁を使っていて、口当たりはすごく軽い。寝起きでも夜寝る直前でも、どんな時間帯でもスルスルッと食べられちゃう(笑)。麺はそばとうどんの間のような食感で大好き。追加で食べたそばチヂミは、セリとニンジン、古漬けキムチがたっぷり入っていて、そば粉のさっぱりした味とシャキシャキした食感が最高」

메밀들깨칼국수(えごまのカルグクス)
W14,000

메밀전(そばチヂミ)
W12,000

메밀란(メミルラン)
서울특별시 종로구 인사동11길 16-4
ソウル特別市鍾路区仁寺洞11ギル16の4
営業時間:11:00〜21:30 無休
豊かな伝統の高級味覚に心が整う
精進料理をもとにした伝統料理を、たくさんのおかずが並ぶ韓定食スタイルで。前菜となる「初朝飯(초조반)」、地水火風の四元素を表す「水刺(수라)」、デザートの「飯果床(반과상)」の6皿のコースに癒される。

ドレス¥44,000(オロヒー)/オン・トーキョー ショールーム
「四季を感じる韓国の食材と自家製の伝統的なジャン(発酵調味料)を使ったお料理はどれも繊細で、豊かな味わい。食材にはにんにくやニラといった刺激となる“五辛”やお肉、お魚を使わないとあって、まさにヴィーガンの精進料理。韓定食のように小さく盛りつけられた見た目は控えめで美しく、ふと心が落ち着くんです。ひと皿ひと皿、味を変えながら食事を進めていくと心身が健康に整っていく感じがする。今回はランチ(₩160,000)を食べたけど、今度は友達とディナー(₩280,000)にも来てみたい」

수라「지」(水刺「地」)

반과상「한국의 계절 다과상」(飯果床「季節のお茶菓子」)

비움(ビウム)
서울특별시 강남구 학동로97길 41, 1층
ソウル特別市江南区学洞路97ギル41・1F
営業時間:火〜土曜12:00〜15:00、18:00〜22:00 日・月曜休
刺激的な辛さの奥に、タコ見つけた!
日本で人気を集めたチュクミ(イイダコ)料理を本場で体験! 初めて食べるサムギョプサルとのコンビネーションに笑顔で舌鼓!

トップス¥52,800・中に着たトップス¥28,600(ともにオロヒー)/オン・トーキョー ショールーム
쭈꾸미철판(鉄板チュクミ)
※2人分から注文可能
W16,000
「タレは確かに辛めだけど、隠し味として入れているという果物の甘味と、噛むほどに感じるチュクミの甘味が重なって、コクが広がってくるんです。だからサムギョプサルとばっちり合うし、さらにつけ合わせのえごまの葉に巻いて食べたら感動! こちらも締めのチャーハンは絶対におすすめ。キムチや韓国海苔に加えてとびっこが入っていて、プチプチとはじける食感が楽しくて、食欲復活。気づいたら食べ切ってました(笑)」

철판 후식 볶음밥(鉄板チャーハン)
W4,000
서래쭈꾸미(ソレチュクミ)
서울특별시 서초구 서래로5길 6
ソウル特別市瑞草区瑞来路5ギル6
営業時間:11:00〜15:00、17:00〜21:00 無休
憧れのカムジャパンは
新鮮でどこか懐かしい
ソウル市から認められた製菓・製パン名人が作るカムジャパンをテイクアウト。マッシュポテトを使った今人気のパンの魅力を知った。

「米粉で作る生地の柔らかい食感は、トングでつかんだ瞬間にもうわかりました(笑)。食べてみると、想像以上にモッチモチでおいしい! 中身はマッシュしたじゃがいもとピザチーズで、塩味もちょうどいい。あとでご主人に聞いたら、つぶしたじゃがいもとごまを表面につけて、香ばしさと食感をプラスしているとのこと。シンプルだけど、おいしくなるこだわりがしっかり詰まっています」

감자빵(カムジャパン)
W2,800
샹도르(シャンドール)
서울특별시 성동구 뚝섬로 400
ソウル特別市城東区突島路400
営業時間:月〜土曜8:30〜23:00 日曜、第2月曜休
器のお店にも足を運んでみたよ!

シャツ¥23,100・ベスト¥28,600・ショーツ¥25,300/アモーメント
「『日常的工芸』をテーマにしている、器をはじめライフスタイルアイテムを扱っているお店で、『私、ここ絶対好き!』ってずっと気になっていたんです。実際、棚に並ぶもの一つ一つが気になってまったく先に進めない(笑)。商品の8割が韓国の作家さんの作品で、どれも日常生活の中で使いたくなるデザインばかりで…食器などたくさんお迎えしました! 日本への配送もできると聞いたから、今度来たときはさらに爆買いしちゃいそう…」

테이블 오브 크래프트(テーブル・オブ・クラフト)
서울특별시 강남구 언주로173길 16, 4층
ソウル特別市江南区彦州路173ギル16・4F
営業時間:月〜金曜11:00〜19:00、土曜12:00〜19:00、日曜12:00〜17:00 火曜休

食べ比べ………文・上白石萌音
一軒目のお店で撮影を終えて、膨らんだお腹を幸せにさすりながら店の隅に佇んでいたら、店員さんが二人やってきてテキパキと卓の片付けを始めた。撮影クルー全員合わせて九人分の食べたあとが、みるみるうちに片付けられていく。残り汁を集めてお皿を重ねてカトラリーを束ねて。ポットに残っていた水を少しこぼして卓上を拭いて。ものの一分で入店した時と同じピカピカの状態になった。阿吽の呼吸と職人技に見入りながら私は「ああ、今外国にいる」と実感した。二泊三日の中で一番強い実感だった。食べている時より、市場を歩いている時より、観光地を歩いている時よりも。この町で、この方々はこうやってずっと誰かの食事の世話をして、食文化をつないできたのだな、と。
東京で世界を食べ歩いて、その都度目が向いたのも同じことだった。その土地で長く育まれてきた文化に触れて、「こんなに違うのか」と思ったり「あ、同じだ」と思ったり。食とその周辺に滲むユニークな生活と、そこを貫く「食べて蓄える」という人類皆が持つ共通点。
食べることは前に進むことだ。どんなに絶望していても、とりあえず生きようと人は食べ物を口に入れる。そして美味しく食べることは希望を持って生きることだ。世界中でなされてきた希望のための工夫が、料理には詰まっている。
訪れたお店でお世話になった店員さんたちの、温かくて少しはにかんだような笑顔が脳裏に浮かんでいる。美味しいご飯と尊い学びに感謝を。ご馳走様でした!
近日中にこの連載についての重大発表があります!
PROFILE
1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。俳優・歌手。近年の出演作に、映画『夜明けのすべて』『35年目のラブレター』、ドラマ『ちはやふる―めぐり―』、舞台『千と千尋の神隠し』『ナイツ・テイル ―騎士物語―』など。10月には、歌手デビュー10年を迎える。エッセイの執筆やナレーターとしても活動。
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Photos:Sodai Yokoyama Hair&Make-up:Tomoko Tominaga Stylist:Lisa Sato[BE NATURAL] Coordination&Translation:Sumin Seo[TANO international] Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]
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