ZINEの魅力って？モデル＆アーティスト髙橋義明さんに聞いた「おすすめの６冊」メンズノンノウェブ

2023.06.23

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先日、自身が企画したアートブックフェアが大好評を博した髙橋さん。イベントを通してさらにZINEの面白さに気づいたという彼に、その奥深い世界を教えてもらった！

その人の推し活を見ているような
ワクワクがある

新しい“何か”を生み出す、
発明に似たアウトプット

　ZINEを集めたアートブックフェアを開催しようと思ったきっかけは、髙橋さんが拠点とする東東京で活動するアーティストやイベントスペースをつなげ、盛り上げたいと思ったから。
「ZINEってめちゃくちゃ“軽い”んですよ。僕は立体作品をつくっているのですが、造形物となると物理的にも精神的にも“重さ”が生まれて、ある程度縛りも生まれる。けど、作品から漏れちゃう形にならない感覚や感性も、ZINEという形にすることで、その作品の世界を表現できる。一方で、スマホのカメラで撮っておいた好きなものをZINEにすることで、何かの作品になる可能性も出てきたりする。その軽さが好きというのもあって、いろいろなアーティストたちがつくるZINEを集めてみようと思ったんです」
　自ら中心となってイベントを開いたことで、いわゆる書籍とは違うZINEならではの魅力を再認識したという。
「改めて、ZINEって自由だなって。形も大きさも紙も内容も。個性のあるさまざまなZINEを触ってみると、逆に自分がどれだけ規格化された本に触れてきたのかを感じました。文庫本など決まった形の小説が並ぶ光景も好きですが、ひとつひとつ感触が違う本をフィジカルに体験できることを、僕も含めみんな面白がっていると思うんです。かつてパンク・カルチャーの中で興ったファンがつくる『FANZINE』みたいな、熱量のある推し活を横で見ているような感覚に似ている気がします。また、作り手も読み手も、コミュニケーションを取りたいんじゃないかなと。ZINEは私的な内容が多いので、書店でジャンル別に探すのではなく、偶然手に取るしかない。いい意味で、狙っていけない。だから、イベントやショップを巡って、店員や作者とじっくり話をする。ZINEをつくる人、読む人はきっと、自分と違うものに対して強い興味や好奇心を持って、他人との交流が好きだから、その姿勢はすごく尊敬できますね」
　少しでも興味がある人はZINEをつくってほしい、と髙橋さんは言う。
「学生時代に、旅行で撮りためた写真を、コンビニでA3にカラー印刷してZINEをつくりました。それだけで発明した感じがしてワクワクして、その感覚がまた新しいものを生み出すきっかけになる感覚があった。今サンフランシスコにいる友人と写真のやりとりをしていて、それをZINEにまとめられたらいいななんて考えています」

アートブックフェア「じ〜ん」を開催！

髙橋さんが大学時代の同期生とともに立ち上げたアーティストランスペース「東葛西1-11-6 A倉庫」で、アートブックフェアを開催。出展者は60名以上に上り、会期の2日間はたくさんのZINEファンであふれていた。「ZINEを並べる什器じゅうきは僕たちが製作しました。作家一人ひとりに合う特性を持たせられるように、ブースのデザインや材料を変えながら会場レイアウトを決めました」。来年のアートブックフェアの開催も構想中とのこと！

髙橋さんオススメの
6冊のZINE

これまで個人的に集めてきたアーカイブの中から、髙橋さんが特にグッときた6冊を厳選して紹介！

1.　NEW SHIT PRESIDENT SP

「彫刻家の根本祐杜による男女のセラミック彫像でとじられたZINE。作家自身の手によって根気強く製本され、過去の展示風景に加えて膨大な量の制作過程写真やドローイングが収められた贅沢ぜいたくな内容になっている」
Instagram：@yutonemoto_

2.　Pink Noise Dance Zine

「写真家・川島小鳥、画家・小橋陽介、デザイナー・藤田裕美によるDIY感あふれる一冊。収められた写真と絵もさることながら、ギザギザな小口、モール、スーパーボールに金魚袋と手のひらサイズにアイデア満載！」
Instagram：@kotori_kawashima、@yosuke_kobashi、@fjt.tokyo