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飛行機で軽食を注文すると、高確率で忘れられる私です。
何なんでしょう。「忘れられるタイプの人」なんでしょうね。
でもなんとなくレストランと違うから「すみません、注文入ってますか?」の確認ができずに終わってしまうことが多い。
存在感って大事だなーと思います。
■ 小さな同窓会
さて、卒業シーズンも落ち着きましたが、新しい生活、新しい出会いにワクワクが止まらないかと察します。受験勉強の日々に追われた方はなおさら、遊べなかった日々をそこにぶつけてやろう、と息巻いてるでしょう。ぜひとも、やっちゃってください。ただ、過去を置いて、前へ進むのはすばらしいことなんですが忘れてはいけないのはそれまで苦楽を共にしたクラスメートや部活仲間たちの存在。はたまた叱咤激励してくださった先生たち。そして卒業直前で別れてしまった恋人。など。今までの生活を立体的に彩ってくれた人たちを卒業してからも大切にすること。これはですね、やっぱりめちゃくちゃ大事だなと大人になってから思います。
私でいうと高校卒業してもう17年ほど時がたちましたが、ここ5年ぐらい当時仲よかったやつら5~6人で正月に集まるというのが恒例になっています。小さな同窓会と称していますが、あの頃と同じような感覚、放課後マックで集合していたようなあの感覚で落ち合っています。仕事のこと、新しくできた家族のこと、未来のことなどを報告し合って、「お互いの成長っぷり」「変わってないっぷり」を焼き鳥を食べながら(毎回なぜか鳥よしで開催)確認し合う小さな会。これがとても楽しい。「あーこいつらと友達でよかったなぁ」って思える。そして帰り道には俺も来年いい報告できるように頑張ろうって思えるわけです。もちろん今の生活に直接関わりはないし会うのもよくて年1ぐらいの仲ですが。だからいいんよね。
■ カレー屋
ちょっと昔に笹塚の商店街にとあるカレー屋がありました。「M’sカレー」という名のそのカレー屋は肉屋や八百屋が立ち並ぶ何てことのない商店街にひっそりとありました。店自体はひっそりとあるものの、毎回そこを通るたびに行列ができていたので気にはなっていました。ある日恐る恐る、そのカウンター10席しかなく、マスターひとりで切り盛りするカレー屋に入って、ポークカレーを注文しました。ひと口食べると。もう今まで食べてきたすべてのカレーライスの正解がそこにはありました。
こうだ。カレーライスはこうあるべきなんだ、というカレーライス。もう一瞬でそのポークカレーの虜になりました。味もさることながら、そのマスターのコミカルな動きにも。
それから数年間通い詰めました。大学時代、サラリーマン時代。そして事務所と契約が決まり、我々にとっては来年デビューだという年にマスターが亡くなりました。驚きと悲しみと「涎」が湧き上がりました。人が亡くなったときに涙ではなく、「涎」が出たのはおそらくこれからもない経験でしょう。
あれからもうだいぶ時がたちましたが、いまだにあれを超えるカレーライスは現れていません。絵や音楽は記録媒体に残せるけど、料理だけは残せません。そのとき「料理」ほど儚い芸術はないんだなと痛感しました。
あーいつか息子さんが店開いてくれないかな。
そんなわけで今月はなんとなくそんな感じです。皆さんももしかしたら普段忘れてる忘れちゃいけないもの、ときどき思い出して大事にしてみてください。そして僕のことも忘れないでください。
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