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メンズノンノのヘア企画をけん引している美容師たちが一堂に会し、2019年のヘアトレンドについてディスカッション!おしゃれな髪型を探しているなら、賢者たちの意見をじっくり読み込め!
あえての野暮ったさ、ダサさが次のおしゃれヘアのヒントに
最近のキーワードはずばり「いなたい」感じ。ダサいけどカッコいいという、アンバランスさがイイなと思って。そんな雰囲気のほうが、本人の内面がにじみ出て、キャラクターも立つと思うんですよ。
OLTA
後藤 泰さん
ヘアモード発信の中心的存在。情報収集のため全国行脚も惜しまず。
HEAVENS
世良田奏大さん
街から広がるヘアトレンドを素早くキャッチ。拡散力の高い美容師。
「いなたい」って言葉、ヘア業界で2019 S/Sのホットワードかも。【HAIR JOURNAL 2019①】の”眉上バング”も、【HAIR JOURNAL 2019②】で紹介されていた”セイムレイヤー”や”刈り上げないベリショ”とかも、一見カッコ悪そうなんだけど、こなれ感があってかえってカッコいい感じ、がキテますよね。
わかります! 若いお客さんからもそういうリクエスト多いです。ファッションもそんな傾向ですし。
BRIDGE
並木一樹さん
トレンドと扱いやすさのバランスのいいヘア提案で男子から支持。
美容師
中島和弥さん
今年からフリーの美容師として活動を開始。若い男性から人気。
ベリショって、以前だったらグリースやジェルをしっかりつけて、がっつり固めて、ってスタイリングをしていたけれど、今はあえてパサッとした感じに仕上げる人も増えてますね。
自分たちのオヤジ世代がハマっていたカルチャーを参考にしている男子も多いなって。
ANDREY
NOBUKIYOさん
ヘア&メイクとしてメンズノンノでも大活躍中。モデルも多数担当。
darlin.
沖永大暉さん
ヘア&メイクとしても活躍。レトロな髪型を今っぽく昇華できる。
大人っぽいヘアスタイルを、あえて若い男性がトライして、楽しんでいる感覚は伝わってきます。僕自身、もともと70~80年代のミュージシャンのヘアスタイルをすごく参考にしているんですけど、その感覚と時代が合ってきていてうれしいなと個人的には思ってる(笑)。
NOBUKIYO
メンズノンノモデルの成田くんはその代表。彼とヘアスタイルの話をすると、昭和の文豪みたいな髪型にしたいって言うんですよ!
後藤
例えばどんな人?
NOBUKIYO
太宰治とか、芥川龍之介とか。本気だよね。
OOO YY
Ryutaroさん
注目のUNDER28美容師としても数多くの支持が集まる実力派。
さすが(笑)。昨年の夏くらいにウルフヘアがすごく流行ったじゃないですか。そこからの流れなのかな? この「いなたい」感じって。僕のお客さんだと、すでにウルフには飽きている人もいて。衿足を短くして、フロントを重くしたいっていう反動も。
並木
やっぱりメンズノンノの影響は大きくて、昨年、ウルフヘアの特集をしたら、そのスタイルをオーダーする男子が増えたんです。でもおしゃれな子は常に新しいものを求めてるので、挑戦した人もしなかった人も、次のスタイルに目が向くようになっているのかも。
NOBUKIYO
僕のお客さんには”サロンに行ってきました”って髪型にならないよう気をつけてる。微妙に耳にかかる長さだったり、もみあげもすっきりしすぎなかったり、ちょっとしたハンパ感がしっくりくるんですよね。
後藤
伸びている途中がゴール、的な。
いつくし
才田とおるさん
トレンド分析に長け、髪型とライフスタイルとの調和が絶妙。
とすると2019年の傾向って、「○○ヘア」っていう定義がなくて、みんなが話している野暮ったさとか、独特な雰囲気がトレンドなのかもね。Ryutaroくんも言っているように、短くカットし始めている人がいる一方で、長めのスタイルも定着してきていると思うんです。メンズノンノのヘアカタログ特集でも、必ずロングカテゴリーがあるじゃないですか。ヘアスタイルがジェンダーレスになってきているっていうのも、ひとつのトレンドかなと感じてます。
並木
確かに中性的なスタイルは多いですよね。僕は俳優のティモシー・シャラメに注目していて。彼の中性的な雰囲気やヘアスタイルは、いつもチェックしちゃいます。
traffic
秋月庸佑さん
ヘア&メイクとしても活躍中。服とのマッチングが得意。
僕は上品なスタイルが好きなんですけど、その中性的ってキーワードは少し当てはまる気がする。
才田
メンズヘアの王道が「束」でつくるスタイルから、「面」でつくるスタイルに変わってきたのは大きい。それと個人的には、昨年の下半期にシャネルやTHREEからメンズ用のコスメが登場したのも大ニュース。スキンケアじゃなく、メイクアイテムが。これってかなり画期的。柔軟で若いメンズノンノ世代から、どんどん新しい美容カルチャーが広がっていく期待感があります。
カラーリング、パーマ、質感チェンジ
実は手をかけている髪質が人気
世良田
「いなたい」とか「野暮ったさ」というキーワードで誤解されたくないのが、決して何もしないヘアスタイルではないってこと。
後藤
そうだね。素髪風の質感もトレンドにはなってきているけど、あくまで「ふう」なんであって、ブローやヘアケアをして、キレイな髪があってこそ、おしゃれな素髪風質感になれるからね。
秋月
才田さんが言ってた「面」のスタイルが増えたってことも、質感で遊べるようになった一因だと思うんです。
中島
ウエット質感はヘアオイルを最後につけていたけれど、ドライ前にヘアオイルをつけて乾かせば、キレイな素髪風になる。ヘアオイルが万能なことにも、男子は気づいてきたのでは?
NOBUKIYO
そうだね。ちょっと前にスタイリング剤としてバームが大流行したけれど、今やヘアオイルも双璧かな。
Ryutaro
ヘアオイルでつくる質感は、ナチュラルでカッコいいと素直に思えますよね。
並木
一世風靡したウエットやマットという質感がひと回りして、その間の中途半端な質感が面白くなってきた。
世良田
ウエット質感がトレンドのど真ん中にいるから、先を行きたい男子は逆方向で面白いスタイルを見つけるよね。
Ryutaro
それともうひとつの流れとして、カラーリングのオーダーも増えてませんか? ブリーチをする人がすごく増えたり、はっきりしない絶妙な色味をリクエストされたり。
才田
僕もオリーブとかカーキとか、曖昧な黒髪をメンズには推してるな。
世良田
かなり先取りなお客さんなのかもしれないけど、最近は6~7トーンの落ち着いた茶髪をオーダーされることが増えてきたんです。
中島
すごくおしゃれだけど、全体の雰囲気、センスがよくないと……。
世良田
そう、難しい。でも今後の新提案としては、美容師としてもっと誰もがチャレンジしやすいカラーに落とし込んでいけたらな、とは思ってる。
並木
昨年のウルフ人気を経て思うのが、5~6年くらい前からマッシュヘアが広がって、男子のど定番となってますよね。みんなパーマをかけたり、カラーに挑戦したりするのは、どこかで変化を求めているのかなって。
NOBUKIYO
強めパーマは確かに増えたね。ダサめでカッコいいけど、女子ウケするギリギリのラインを狙ってくる学生さん、多いです(笑)。
中島
それこそ、ベリショでもパーマスタイルの提案が当たり前に。
世良田
エディ・スリマンの新「セリーヌ」のメンズコレクションでも、パーマっぽいヘアアレンジはよく見かけたね。
沖永
美容師として、いろんな提案がしやすくなってきたのはいい傾向だと思ってます。「○○ヘア」といった髪型としての流行ではなく、雰囲気重視ってことは、その男性のキャラクター、ファッションに合わせて、いろんなヘアスタイルが楽しめるってこと。もっとおしゃれな男性が増えると思うし、もっとメンズヘアのバリエも広がりそう。
秋月
僕も同じこと思ってた!
全員
ずるっ!(笑)
Photos:Arata Suzuki[go relax E more] Hair & Make-up:NOBUKIYO Stylist:Izumi Makabe Composition & Text:Michiyo Matsui
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