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森山未來インタビュー 最新映画「アンダードッグ」はどん底から立ち上がるボクサー役

森山未來インタビュー 最新映画「アンダードッグ」はどん底から立ち上がるボクサー役

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幼少時よりさまざまなダンスを学び、15歳のときに本格的に舞台デビューを果たした。以降は、持ち前の身体能力の高さと、類いまれな表現力を生かし、演劇や映像、パフォーミングアーツなど、幅広い分野で活躍している。最新作『アンダードッグ』では、主人公のボクサー役を演じ、鍛えあげられた肉体とともに圧倒的な存在感を見せつけた。ひとつのジャンルにとどまらず、オリジナルの表現活動を追求し続けるこの人にインタビュー。

森山未來さん

ACTOR, PERFORMER

1984年、兵庫県生まれ。5歳からジャズダンスやタップダンス、クラシカルバレエ、ストリートダンスなどを学び、15歳のときに本格的に舞台デビュー。
ドラマ『WATER BOYS』(2003年・CX)への出演で注目され、映画『世界の中心で、愛をさけぶ』(04年)では数多くの映画賞を受賞。
主な映画出演作に、『モテキ』(11年)、『苦役列車』(12年)、『北のカナリアたち』(12年)、『人類資金』(13年)、『怒り』(16年)、『サムライマラソン』(19年)、日本・カザフスタン合作映画『オルジャスの白い馬』(20年)などがある。

前・後編あわせて4時間半の熱きボクシング映画

――主演映画『アンダードッグ』がまもなく公開されます。数々の映画賞を獲得した名作『百円の恋』(2014年)の製作陣が再びボクシングを題材に撮った作品とあって前評判も高いですが、森山さんが出演を決めたきっかけを教えてください。

 『百円の恋』がすごく面白かったので、脚本を読んだとき、あの愚直な感じをやれるのはいいなというか、やりたいなと思いました。ただ、自分が演じる末永晃という役は、無口で、ある意味堕ちるところまで堕ち、ボクシングのリング上でしか感情を発露させることができないという、愚直すぎるぐらい愚直な生き方なので、お客さんは観てどう思うのかなってのはありますけどね。


――どう思う、というのは?

 晃はボクシングを通してしか感情が動かないので、戦いの場面で彼の中にどんな感情が流れているのかといった部分を自分なりに考えて表現したつもりですけど、それが本当に正しいかどうかわからないし、ボクシングをまったく知らずにこの映画に触れた人はどう感じるのかなって。これは別にネガティブなことではなくて、長さも見せ方も含め、すごく挑戦的な映画なので、このじりじりした感じをどこまで今のお客さんは耐えられるのかなっていうのは客観的に思いますね。

――映画だけに限らず、ボクシングを題材にした作品はたくさんあって、名作も多いですが、一瞬のきらめきや燃焼を表現するのにボクシングは最高の素材だと思います。今回の『アンダードッグ』もその部分が見事に描かれていました。

 晃は一度つかみかけたチャンピオンの道から外れ、どん底に堕ちながらも亡者のようにボクシングにしがみついています。最後の試合のときに、「やっぱりこれだよな」みたいなことを晃が言うんですけど、殴って殴られてという、ただそれだけのシンプルな、でも圧倒的に熱量のあるコミュニケーションがそこには間違いなくあるんですよね。そこに何か人生をささげてしまう感じというのは絶対にあるんだろうなって思います。

――北村匠海さんと勝地涼さんもボクサー役で出演しています。それぞれに戦う理由があり、実際にリングで対戦するシーンがありますけど、やってみていかがでした?

 勝地とは長いですからね。お互いのやることをよくわかっているとはいえ、僕は手を出すほうなので自分でテンポが見えるけど、彼はずっと殴られ役でどのタイミングでパンチが飛んでくるのか読みづらいから、そのへんはコミュニケーションを取りながらやりました。匠海くんとは初めての共演でしたけど、音楽をやっているだけあって、リズム感みたいなものが彼の中にあるので、そこに合わせていくのはすごくやりやすかったですし、リング上で会話ができている感じがすごく気持ちよかったです。

それって言ってしまえば詐欺師みたいなもの

――ボクサーを演じるにあたって、プロボクサー並みのストイックなトレーニングを積んだそうですね。

 始まる前はただ絞っていけばいいと思っていたんですけど、直前になって撮り方の順序が変わっていって、2か月の間に体を太らせたり、減らしたりしなきゃいけなかったのがちょっとややこしかったですね。本当だったら最初のほうはたるっとしていたほうがよかったのかなとか、昔のライバルと戦うときはもっとバッキバキのほうがいいのかなとか、そのへんのコントロールはやったつもりですけど、スクリーンではあんまりよくわからない感じでしたね。

――過去にはそれこそ無人島に行ってみたり、役柄と同じ環境に身を置いてみることもあったそうですが、今作は何か特別なことはしましたか?

 いや、してないです。そもそも当時も何かが劇的に変わると思ってやったわけではなくて、あくまでも自分の中での実験として試しただけですけどね。役づくりという意味では練習するのはいいと思うし、その役の設定に沿った生活を送るのもいいと思うんですけど、役に自分自身を埋没させて消していくみたいなことをしなくても、演じる役の背景がちゃんとあって、言うべきセリフがあるのなら、実際にそこに立って動いたり、言葉を発したりするだけで表現として成立するんじゃないのかなって今は思っています。だから、今回はボクサーの役でリング上で戦うシーンがあるので、そのための準備はしましたが、それ以外に何か特別なことはしてないです。

――これまでにさまざまな役を演じてきたと思いますが、森山さんにとって演技をする楽しさって何ですか?

 演技をする楽しさですか。なんだろう。こうやって短期間でも違う職業だったり、違う人の人生をのぞき見ることができる面白さというのはたしかにあると思います。でも、それって言ってしまえば詐欺師みたいなもので、要はどこまでうまくだますことができるかみたいなことなんですよね。別にやっていてつらいわけではないんですけど、自分の周りの人たちは何かを生み出し、表現するにあたって苦しみながらやっている人が多くて、僕自身、身を削ることの痛々しさから生まれる美しさみたいなものに惹かれる部分もあります。ただ、そういう考え方でしか役者をやれない不毛さというのを感じてもいるから、もっとシンプルに楽しめばいいじゃんと思って、今はいろいろな役を演じられる環境に身を置けることの面白さみたいなのを感じながらやっていますね。

個人的に撮ってみたいなと思うものはある

――森山さんは子どもの頃からダンスを学んでいて、俳優としての活動以外に、近年はダンスパフォーマンス作品にも積極的に参加していますし、2013年には文化庁文化交流使として1年間イスラエルのダンスカンパニーで活動した経験もあります。芝居やダンスなどのジャンルに縛られない表現活動をしていますが、自分にできることや自分の役割みたいなことについて考えたりすることはありますか?

 どうなんでしょう。それこそ晃がボクサーでいたいと思ったのと同じで、自分もパフォーマーでいたいという気持ちはとても強くあります。この先もずっとパフォーマンスし続けたいし、そういう意味では自分もパフォーマンスの亡者みたいになっているといえるのかもしれません。ただ、大きな目標とか夢とか、こうなればいいみたいなことをいちいち考えながら何かやっているわけではないので、自分に役割があるかといえばどうなんでしょうね。バタフライエフェクトみたいなすごく抽象的な話に聞こえるかもしれないですけど、自分が何かアクションを起こしたことが誰かしらの何かしらに影響を及ぼすだろうなということについてはもちろん自覚しています。だからといって、誰かのために何かになりたいみたいなことは考えていないかな。それよりも今、目の前にあることで必死です。


「この先もずっと
パフォーマンスし続けたい」

――では、5年後、10年後にこういうことをしていたいと考えることもないんですか?

 そういった計画性は特にないですね。自分の性格的に落ち着きがなくて、ひとつのところにとどまるのは本当に苦手なので。今は自由に何か動けている感じがするから、しばらくはこういう状態でいいのかなって。でも、まぁ、自由であるということはそのぶん責任を伴うことでもあるから逃げ場はないんですけど、それはもう仕方ないですよね。やるべきことをやるということです。

――あと、この映画もそうですけど、森山さんを見ていると、動けるってこんなに説得力があって、表現が豊かになるんだなって思います。

 いつかは、というか今でもそうですけど、身体的にできない表現はどんどん出てきます。でも、代わりにできる表現も増えてきているんです。30代は普通に身体的に考えたら落ちてきているタイミングだと思います。10代や20代の頃と比べて体力的には落ちていくけど、ちゃんと訓練していれば若いときにはなかった技術や経験が身についている。見せる体の表現という点で考えたらより豊かになっていると言えるわけです。

――跳んだりはねたりするだけではなく、指先の繊細な動きで見せる表現もありますからね。

 そうです。だから、ボクサーとしての役はもしかしたらこれが最後になるかもしれないですけど、別にそう決めているわけではなくて、そのときできる体の表現をチョイスしていきたいと思っていますし、体の持つ可能性というのを自分の中でももっと広げていきたいと思っています。でも、それはめっちゃ走るとか、めっちゃ動くとか、筋肉バキバキとかそういうことではないです。

――将来の計画は特にないという話でしたけど、今年の9月に開催された「ショートショートフィルムフェスティバル」では監督作(『Delivery Health』)を発表していました。監督業に関しては今後すごく期待したいところですが、ご本人的にはどうですか?

 あれは本当にたまたまそうやってお声がけをいただいたので、やらせてもらっただけなんですよ。自分自身、それまで監督をやろうともやりたいとも思ったことがなかったので、でも声をかけてもらったことの意味はあるのかもしれないと思って、うまくいくかどうかはわからないけれど、とりあえず撮ってみようということで、知り合いに声をかけて撮りました。いざやってみると、やっぱり面白かったですね。だから、監督としてやりたいかやりたくないかと言われたら個人的に撮ってみたいなと思うものはあるんですけど、これから映画監督として名乗りを上げるぜみたいな気持ちがあるかといったらわからないです。

――ぜひ撮ってみてください!

 そうですね(笑)。機会があればということで。


劇場版『アンダードッグ』

11月27日より、前編・後編同日公開〈R15指定〉
監督:武 正晴
原作・脚本:足立 紳
出演:森山未來、北村匠海、
勝地 涼ほか
©2020「アンダードッグ」製作委員会
配給:東映ビデオ

映画賞を総なめにした『百円の恋』チームが6年ぶりの再集結! 再びボクシングを題材に、どん底から立ち上がろうとする不屈のルーザーたちの姿を描く――。本作は、「劇場版」と「配信版」(ABEMAプレミアムにて来年1月1日から独占配信)が製作され、「劇場版」は【前編】と【後編】があり、3人の男たちのドラマが中心に描かれる。「配信版」は全8話からなり、3人の男たちと彼らを取り巻く登場人物の群像劇になっている。

トップス¥29,000・パンツ¥25,000(ともにラッド ミュージシャン)/ラッド ミュージシャン 原宿 靴(ネプコ フットウェア)¥37,000/ネペンテス

Photos:Takahiro Idenoshita Hair & Make-up:Motoko Suga Stylist:Mayumi Sugiyama
Composition & Text:Masayuki Sawada

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