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河村康輔「好きなことをやって、好きなものに囲まれる。ずっと遊んでいるような感じ」【コラージュアーティスト 河村康輔オリジナルインタビュー】

河村康輔「好きなことをやって、好きなものに囲まれる。ずっと遊んでいるような感じ」【コラージュアーティスト 河村康輔オリジナルインタビュー】

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中学時代に裏原宿のカルチャーに憧れ、高校を卒業すると上京し、グラフィックデザイナーとしてキャリアをスタート。2000年代前半よりアーティストとしての活動も開始し、シュレッダーを使ったシリーズやアナログコラージュ、デジタルコラージュなど、多彩な表現によって生まれる独創的な作品は国内外から高く評価されている。そして今年、新たに「UT」のクリエイティブディレクターに就任。ジャンルの垣根を越え、圧倒的なクリエイションを生み出し続ける、このポップカルチャーの最重要人物にインタビュー。

河村康輔さん

COLLAGE ARTIST / KOSUKE KAWAMURA

1979年、広島県生まれ。コラージュアーティスト、グラフィックデザイナー、アートディレクター。さまざまなブランドやクリエイターとのコラボレーションをはじめ、書籍の装丁、ライヴやイベントのフライヤー、DVD・CDのジャケットなど、多岐にわたって活躍。代表的な仕事は、「大友克洋GENGA展」メインビジュアル、「AKIRA ART OF WALL」など。作品集に『2ND』『MIX-UP』『1q7q LOVE AND PEACE』『T//SHIRT Graphic Archives』『KOSUKE KAWAMURA ARCHIVES』などがある。


カルチャーへの目覚めと刺激的な出会い

――河村さんのクリエイションは、音楽や映画、ファッションなど、さまざまなカルチャーが参照されています。そういったものに興味を持ったのはいつ頃からだったんですか?

中学生のときに洋服とか音楽に興味を持つようになって、洋服に関してはたしか中3のときだったと思いますけど、裏原宿のカルチャーが出てきて、そういうものを雑誌で見て、かっこいいなと思ったのが始まりですね。それで高1のときかな、バウンティハンターの(岩永)ヒカルさんが、当時やっていた連載ページでスケシンさん(スケートシング。現C.Eデザイナー)と対談していて、そのときのスケシンさんの肩書がグラフィックデザイナーだったんです。それがレコードのジャケットとか、Tシャツのグラフィックとかをデザインする仕事なんだと知って、楽しそうだし、自分もやりたいなって。

――実際に何かをつくったりしていたんですか?

まったくしてなかったです。パンクとかハードコアが好きだったからライヴを観に行ったり、たまに友達とスケボーしたり、高校時代はそんな感じで毎日遊んでました。どうしても観たいライヴがあって、初めて東京に行ったのもその頃で、とにかくぶっ飛びましたね。裏原宿はあるし、レコード屋もあるし、何でもある。卒業したら絶対に東京に行くと決めたんですけど、親からは特に目的もないのに行かせられないと言われて。自分の中で大学という選択肢はなかったので、とりあえず高校の先生にグラフィック系の専門学校を探してもらって、そこに行くことにしたんです。ただ、学校は全然面白くなくて2回だけ行ってやめちゃいました。毎日ふらふらとしていたら今もつながっているような原宿の先輩たちと出会うようになって、その界隈(かいわい)が楽しくて、気づいたら何か仕事をしていた感じですね。

――初めてやった仕事って何だったんですか?

当時よく遊んでいた友達の大学時代の先輩が映画の配給会社にいて、そこでホラー系のレーベルをつくることになったらしく、でも予算もないし、デザイナーの知り合いもいないから、僕に声がかかって。本当に独学でPhotoshopが使えるぐらいでしたけど、「じゃあ、やってみましょう」って感じで、DVDのジャケットを無理やりつくったのがたぶん初めての仕事だと思います。22歳のときだったかな。

――そこから一気に広がったという感じなんですか?

いや、全然ですよ。全然食べられないからバイトをしてましたし、そもそも仕事という感覚もなかったですね。そんな感じで適当にやりながら遊ぶ毎日でした。その頃にしょっちゅう入り浸っていたのが、ヴァンダライズというお店で。ある日、デザイナーの一之瀬弘法さんが「一緒にTシャツつくろうよ」と言ってくれて、それでTシャツをつくったのが最初のアパレル絡みの仕事ですね。そこからも全然食べられなかったですけど、いろいろな人がちょこちょこ頼んでくれて1万円ぐらいもらう、みたいなことを26歳ぐらいまでやっていましたね。

UTOPIE : YOSHIROTTEN × KOSUKE KAWAMURA

全然飽きない。ずっと楽しいだけ

――転機はどこだったんですか?

やっぱり劇的に変わったのは、大友克洋さんと出会ったことですね。31歳くらいのときで、僕は知り合いのデザイン事務所で飲んでいたんです。その知り合いが大友さんと仕事をしたことがある人で、夜中に突然大友さんから連絡があって、ふらっとやって来たんです。僕はもちろん初対面で、話の流れで「何やってるの?」と聞かれて、「コラージュやってます」と言ったら面白がってくれて。ケータイに入っていた作品の写真を見せたりしているうちに、「俺の絵を使って作品ってつくれるの?」と言われて、「全然できますよ」って言ったら「連絡先教えてよ」となって。そうしたら次の日にいきなり大友さんの担当編集をしている人から連絡が来て、「大友克洋GENGA展」のメインビジュアルをやってほしいと(笑)。

――すごいですね!

これがきっかけで本当にいろいろなことが変わりました。一番大きく変わったのは仕事の幅が100%自由になったってことですね。それまでも好きなことしかしていなかったし、仕事という認識もないんですけど、やりたいなと思ったことができるようになったり、別にやりたいと口に出さなくても向こうからお話をいただくことが増えたりして、仕事の自由度がぐんと上がりました。それが一番ありがたかったです。

――創作のモチベーションというのはどこにあるんですか? 抱えている案件がたくさんあるので、キツイなと思ったりすることはないんですか?

つくるのはまったく苦じゃないですね。締め切りはあるけど、そこまでの配分って自分でできますし、僕の場合、10個仕事があったら10個同時進行するんですよ。1個だけ根詰めてやっているとどうしても飽きるじゃないですか。でも、このやり方だと全然飽きない。もしやっていてどんどんアイデアが出てくるときは無理にやめずに、ほかの9個を後回しにしてやることもあります。そのときの気分で自由にやっているから、一切苦痛にならないんですよ。ずっと楽しいだけ。

UTOPIE : YOSHIROTTEN × KOSUKE KAWAMURA

枠はいっぱいあるし、増やすこともできる

――河村さんは今年、ユニクロのTシャツブランドである「UT」のクリエイティブディレクターに就任しました。どういう経緯で引き受けることになったのですか?

最初はUTにおけるクリエイティブディレクターというものが何なのかわかっていなくて、何百とあるグラフィックを自分がつくるのだとすればもう100%無理だと思っていたんですけど、あくまでも全体を見る立場で、PRとかマーケティングにも関われるということを聞いて、それは面白そうだなと思ったんです。今までビジュアルしかつくっていなかったのが、それを売るためのアイデアや仕組みまで考えられるわけですから。周りからは「大変だよ」と言われたんですけど、僕の中では大変というより、興味とか楽しみのほうが大きかったですね。野球しかやってなかったのに、急にサッカーとかバスケが入ってきたみたいな。「うわ、超楽しいじゃん!」と思って、それで引き受けさせてもらいました。ありえない数を見なきゃいけないし、1型100万点とか売らなきゃいけない世界なので、責任もすごく大きいですけど、これまでのクリエイティブとはまた違う種類の楽しさがあって、すごく面白いですね。

――どういうものにしていこうと思っているんですか?

僕に話が来たのは、やっぱりカルチャー面での強化だと思うので、そこは今まで以上にやっていきたいなと思っています。カルチャーってつながっているものだし、それぞれにちゃんと層があって、その層から信頼を得ないと入り込めないというのがあるので、そこの橋渡しみたいなことが自分の役割なのかなと。まだ知らないものに触れる入り口や、より知識を広げるきっかけとなるブランドにしていきたいですね。


「好きなことをやって、好きなものに囲まれて、
自分としたらずっと遊んでいるような感じ」

――就任時に発表したコメントでは、「国内外の若手アーティストの方々へも積極的に声をかけ、次世代を担うアーティストのプラットフォームにもしていけたら」ということも言っていました。すばらしいことだと思います!

かつての自分がそうだったので。ずっと悶々(もんもん)としていたし、「何で有名人ばかりしか出ないの?」って20代のときは思っていましたから。どこを見ても同じメンツだし、「何で俺が出る枠ないの?」「俺のほうが面白いことをやってるじゃん」って。若いときはトガっていたからっていうのもありますけど、今になってみると別に隙間をつくることはいくらでもできると思うんですよ。上が全員いなくならなきゃいけないわけじゃなくて、枠って実はいっぱいあって、増やすこともできる。で、自分が年齢的にも上の立場になって、そういう枠を与えられたらいいなと思ったんです。若手に限らず、フックアップのタイミングがないだけの人っていっぱいいると思うんですよ。例えばストリートカルチャーの中ではボスみたいな人なのに、マスに行くと知られていないとか。

――メジャーとインディーみたいなことですよね。

そうです。どっちが上でどっちが下ってことは全然ないんですよ。ビジネスで考えるとマスにどれだけアプローチできているかってことがすごく重要になってくると思うんですけど、そればかりだと結局メジャーなマンガとかアニメだけやっておけばパイは取れるでしょって考えにしかならなくて。そういうところには絶対に文化は育たないと思います。なので、自分としては「えっ、この人とコラボしたの!?」みたいな、今までだったらありえなかったことをどんどんやっていきたいですね。

――河村さん個人としては、この先どうしたいとか、何か目標みたいなものはあるんですか?

特にないんですよ。好きなことをやって、好きなものに囲まれて、自分としたらずっと遊んでいるような感じなので、こういうものをやりたいなというよりは、行き当たりばったりのほうが楽しいんですよね。UTの話もそうでしたけど、想像もしていなかったものが出てきたときはやっぱりワクワクしますし、そうした出会いを楽しみながらやっていけたらいいなって思っています。

 

Photos:Kyouhei Yamamoto Composition & Text:Masayuki Sawada

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