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考察ブームで人気爆発!新感覚ミステリーアニメ、オッドタクシー はいかにして生まれたのか[P.I.C.S. 平賀大介×木下麦スペシャル対談]

考察ブームで人気爆発!新感覚ミステリーアニメ、オッドタクシー はいかにして生まれたのか[P.I.C.S. 平賀大介×木下麦スペシャル対談]

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テレビシリーズだけでなく、新要素を加えた映画でも多くのアニメ&ドラマ&ミステリーファンを惹きつけた本作の魅力について、2人のキーパーソンから話を聞いた!

視聴者を夢中にさせた
考察ブームで人気爆発!

かわいらしい動物のキャラクターの日常を追うポップな物語……という先入観をぶち破り、いきなり女子高生の失踪という物騒な事件で幕を開ける。ひと筋縄ではいかないクセのある登場人物と回を追うごとに深まる謎が絡み合う秀逸な展開に、テレビシリーズを観ていたファンが考察を始めるにはそう時間がかからなかった。さらに、劇伴音楽を手がけた、ラッパーのPUNPEEをはじめとするヒップホップ・レーベル「SUMMIT」の協力のもと、ヒップホップ界隈の人々や音楽好きが反応してしまう小ネタを随所にちりばめ、その答え合わせがネット上でじわじわと波及(街の看板、Twitterの画面にも要注目!)。そして、本編を補完するYouTubeのオーディオドラマやラジオ、関係者が登壇するイベントなどを次々に投下することで、自分の考察を誰かに話したくなる流れを見事に作りあげたのだ!

P.I.C.S.
平賀大介×木下 麦が語る、制作秘話

 

動物×ハードボイルドの
斬新なギャップに名作の予感

──『映画 オッドタクシー イン・ザ・ウッズ』は、あらゆる謎と伏線を回収したテレビシリーズの結末の“さらに先”を描いた作品です。もともと映画化は決まっていたのでしょうか?

平賀 テレビシリーズが放映していたときは決まっていなくて、世の中の反響を知ってくださった配給会社のアスミック・エースさんから「映画はやらないんですか?」とご連絡をいただいて、「決まってないですけど、やります?」ってお返事をして始まりました(笑)。

──テレビシリーズの人気あっての映画化ということですね。そもそもアニメはいつから制作が進められていたのですか?

木下 5、6年前に僕が動物を登場人物にして、ほのぼのとしたドラマを作りたいと思い、プロデューサーの平賀さんに提出したのが本当の最初ですね。

平賀 その時点で、今のキャラクターのベースになるものができていました。そこで、かわいい動物とギャップが生まれるような、人の生々しい日常を描くほうが新しいものができると思い、ブラッシュアップしていきました。その後に此元(和津也)さんに脚本への参加のオファーをしたんです。

木下 キャラクターデザインや年齢や職業などの設定を資料としてお渡しして、物語に組み込んでいただくようお願いしました。

平賀 完全に自由に書いてもらったわけでもなく、全部こちらで決めたわけでもない珍しいやり方です。今のハードボイルドなテイストや現代社会の負の部分を描いた魅力的な世界観は、此元さんが当初のコンセプトを飛躍させて、肉づけしてくれました。

──そして、あの緻密な展開と衝撃的なラストが生まれたのですね。

芥川龍之介から着想を得た
ミステリーを研ぎ澄ます展開

──映画版は、テレビシリーズの物語を17人の登場人物の視点で再構築しています。本編を知っていますが改めて引き込まれました。

木下 映画化にあたり、まず考えたのは、物語の最初と最後に探偵役のキャラクターを出して、その間に総集編を挟む構成。ただ、編集を進めていくうちに、想定していた尺を超えてしまったので、平賀さんと打開策を話し合いました。

平賀 物語を余すことなく伝えたいと考えながらも、すでにテレビシリーズを観た人には物足りないのではないかというモヤモヤもあったんです。

木下 方向性を決めていく中で、最終的に此元さんに構成について相談したところ、芥川龍之介の『藪の中』を例に挙げて、証言者へのインタビューという形で登場人物に語らせることで、テンポよく物語を解説しながら、話を進めていくアイデアをいただきました。

平賀 この作品が本来持っているミステリー要素との親和性もあるアイデアで、此元さんの発想力や想像力はすごいなと感心しました。

──証言を並べることで、個々のキャラクターの内心がより浮き彫りになって、またテレビシリーズを見返したくなりました。

平賀 結果、新しい見え方になりますし、すでに観てくださった方も答え合わせするような楽しさを感じられるかと思います。

©P.I.C.S. / 映画小戸川交通パートナーズ

自由な社風が生んだ作品
新セクションにも期待大!

──これまでお話を聞いてきて、制作過程が迅速、かつ柔軟に進められていると感じました。

平賀 実は、私も木下監督も此元さんもP.I.C.S.というクリエイティブカンパニーの一員で、縦割りではない社風だからこそ、『オッドタクシー』のような規格外の作品を自由に作ることができたと思っています。所属するさまざまなクリエイターの才能をうまく組み合わせることで、どんどん新しいコンテンツを発信していきたい。ジャンルにとらわれず、オリジナルの企画を作っていくために「P.I.C.S. ST」というセクションも新たに設けました。

──今後はどんなコンテンツを作っていきたいですか?

木下 ビジネスに逆行してしまうのですが…商業的になりすぎず、人の心に残るパワーのある作品を作ってみたいと思っています。

平賀 人に言いたくなるような圧倒的な面白さと衝撃を与えるものを作り続けていきたいです!

DAISUKE HIRAGA / PRODUCER

法政大学を卒業後、TVCM制作会社に入社。2000年P.I.C.S.の創業に参加する。現在、オリジナルコンテンツの企画開発、制作を中心にプロデュースを行う。

BAKU KINOSHITA / DIRECTOR

多摩美術大学在籍時からイラストレーター、アニメーターとして活動。その後監督補佐を経て、『オッドタクシー』で自身初の監督、キャラクターデザインを担当。

Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

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