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10年来の担当編集者が明かす、鬼才の漫画家・藤本タツキの才能の正体。

10年来の担当編集者が明かす、鬼才の漫画家・藤本タツキの才能の正体。

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『ジャンプSQ.』に作品を投稿していた17歳の藤本タツキと出会い、それ以来担当する漫画編集者・林士平。約10年一緒に作品を作り続け、支えてきた彼だからわかる、謎に包まれた鬼才の正体に迫る!

『少年ジャンプ+(プラス)』編集部
林 士平さん

現在、『チェンソーマン』のほか、『SPY×FAMILY』『HEART GEAR』『ダンダダン』『神のまにまに』を担当する。過去立ち上げた作品に『青の祓魔師(エクソシスト)』『地獄楽』『怪物事変』などがある。

「予想どおり」を避けて進む独特な展開とセリフが魅力

――藤本先生の作品を初めて見たとき、どんな印象を持ちましたか?

短編集『17-21』に彼の1本目の投稿作『庭には二羽ニワトリがいた。』が載っていますが、17歳で変なことを考える子だなぁと思いました。当時は秋田に住む高校生だったので、お電話をして担当編集としてコミュニケーションを始めました。美大に進学されるというお話を聞いて、学生生活と並行して一緒に作品を作っていきましょうという会話をしたことを覚えています。

――それから、どんなコミュニケーションを取っていっているのですか?

最初は絵が安定していなくて、ひとつの課題だったので、たくさん描いて画力を伸ばしていきましょう、とお話しして。『ファイアパンチ』のときは、さまざまなアイデアや感想、意見を交換しつつ、『チェンソーマン』のときは、週刊少年ジャンプで連載するにあたり、主人公のモチベーションやゴールの設定など、過去作品をかなり研究してくださいました。今は直接的なテクニックのお話は全部終わって、それより手前にある価値観を取り込むことをお手伝いしている感じです。私が面白いと思った小説やドキュメンタリーやニュースをお伝えして、それを介して時代の空気を一緒に読み解いていく感覚でしょうか。それに加えてもちろん藤本さん自身もたくさん吸収されていると思います。

――約10年間、林さんがともに作品作りを重ねていく中で感じた、藤本先生らしさは何ですか?

初めの頃、創作スピードが他の新人作家より速く、作品をたくさん描こうとしてくださっていて、すばらしいと思いました。たくさん描けばその分成長するのも早いですから。あと、いろいろとやりたいことをいっぱい持っているんですけど、ご自身のアイデアにこだわりすぎず、ダメなら次に進むという方。その点においては、デビューをして連載を持ってからも変わりません。あと、予想したとおりにいくことがそんなに面白いと思わないタイプの方ですね。ネームを読んで物語の展開について「普通だったらこうなりますよね」という話をすると、「だったら」とそこから議論を始めていますね。打ち合わせの翌日にネームが来ると、全然違う方向のボールを投げてきたなって。でも結局昨日の話があったから、こうなったんだなと。初読の感想を大事にしてくださっているんですね。

――そうして藤本先生ならではの表現が生まれているんですね。

そうだと思います。藤本さんの感性を通して生まれる、他にはないネーム運びとセリフのシャープさは多くの方を惹きつける大きな魅力だと思っています。

やりたいことにあふれていて絵を描くことを楽しんでいる

――林さんが好きなシーンや表現を教えてください。

私は、藤本さんのコマで遊ぼうとしている表現が好きなんです。『チェンソーマン』の初めての戦いのシーンで、コマは割れているけど演出上腕がつながって見える。

なりふりかまわず圧倒的な強さで敵に切り込んでいく様を、迫力のある見開きで見せた。(『チェンソーマン』1巻48〜49ページ)


また、アキの刀を呪いの悪魔が枠の外からはじいたり、窓枠をそのままコマに置き換えたりするなど、映像やアニメではできない実に漫画的であり、あまり見たことがない表現がすばらしいです。

呪いの悪魔がこの世の外から力を行使していると感じられる大胆な表現。(『チェンソーマン』3巻150ページ)

外から窓を通して部屋をのぞく視点にし、一歩引いて客観的に登場人物をとらえる演出にしている。(『チェンソーマン』7巻121ページ)

『ファイアパンチ』の主人公であるアグニが、物語の中で主人公に仕立てあげられていくメタ的な話も、直前の打ち合わせで「いわゆる作品の枠組みやラインを越えてくるって面白いね」という話をしたから、この演出になったのだろうと思いました。

自ら復讐を果たすため、トガタの映画の主人公になると宣言する。(『ファイアパンチ』2巻104〜105ページ)

――林さんが藤本先生の担当をしていて、楽しかったこと、うれしかったことはなんですか?

週刊の連載はスケジュールが本当にシビアなのですが、打ち合わせからも、ネームや絵からも、やりたいこと、表現したいことを楽しそうに描いていることが伝わってくるので、私もコミュニケーションを取ることが楽しいですね。少年ジャンプで表現できることを模索しながらたくさん議論を重ねて生み出した結果、作品を発表するたびに読者の皆さんのアツい反応がすぐに返ってきたことがうれしかったです。


――藤本作品を読みたくて、作品の更新や本誌の発売が待ち遠しいという声をたくさん聞きました。

ありがとうございます。かなり個人的ですが、『ファイアパンチ』の連載のときに、背景スタッフやメインアシスタントに、私が担当していた『地獄楽』の作者の賀来(ゆうじ)さんや『ダンダダン』作者の龍(幸伸)さんたちに入っていただいて、現在は藤本さんを中心に仲がいいんです。そして、切磋琢磨(せっさたくま)してみんなが成長している。こんなうれしいことはないですよね。すばらしい漫画家だと認識しながらも、たまに親戚の子のように感じることもあるんです(笑)。

 

©藤本タツキ/集英社

Photo:Takahiro Idenoshita Composition & Text:Hisamoto Chikaraishi

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