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【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.4】一人の天才の人生を味わえる! ソウルの神様の伝記映画『Ray』

【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.4】一人の天才の人生を味わえる! ソウルの神様の伝記映画『Ray』

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発表

僕の好きな映画について話すこの連載、今回は、大好きな“音楽映画”から、『Ray/レイ』を選んでみました。


 レイ・チャールズの音楽自体、僕は元々好きでよく聴いていました。それでヘアメイクさんに「彼の映画があるよ。忠実に再現していて、スゴイんだよ」とおススメされて観たんです。本当に再現度が高く、ジェイミー・フォックスのお芝居の凄さにも驚きました。

『Ray/レイ』(2004)
Blu-ray: 2,075 円 (税込) / DVD: 1,572 円 (税込) 
発売元: NBCユニバーサル・エンターテイメント
*2021年11月の情報です。

音楽だけでなく、アメリカの歴史や時代の空気に触れられる作品

 僕が音楽映画に魅せられたのは、『はじまりのうた』という映画がきっかけでした。マルーン5というバンドをよく聴いていて、そのボーカル、アダム・レヴィーンが歌手役で出演していたので観たんです。「音楽映画ってスゴイなぁ~」と感動し『シング・ストリート 未来へのうた』など、いろんな音楽映画を好んで観るようになりました。
 そんな中から『Ray/レイ』を選んだのは、音楽というカルチャー的な側面だけでなく、レイ・チャールズという偉大な音楽家についてはもちろん、黒人差別も含めたアメリカの歴史、そして演技の素晴らしさなど、あらゆる要素が詰まっているからです。いろんなことを知り、体験できるのも、映画の素敵なことの一つですよね。

天才ミュージシャンの弱さと苦しみ

 中盤までは、レイ・チャールズが音楽界で成功していく姿を見て、「すごい天才だな」と思いながら観ているのですが、後半にかけてドラッグの問題や不倫など、彼のダメな部分が出てくるんです。そういう人間ドラマ部分も、とっても深いんです。

(C) 2004 Unchain My Heart Louisiana, LLC. All Rights Reserved.

 レイが幼少期にどんな風に失明するのかなどは、本作で初めて知りました。あるきっかけで“水”に対するトラウマを、ずっと抱えていたことも……。幼くして視力を失ったレイを、お母さんはとても強く育てるんです。「(転んでも)2回までは助けるけれど、それ以上は助けない」と言い渡すのも、“愛”だなぁ、と。このお母さんが、本当にスゴイ。嫌がるレイを(全寮制の)盲学校に入れる際の別れのシーンは、“キツ~ッ”と胸が痛くなりました。でも、そんなお母さんの育て方があったからこそ、レイは一人で音楽の道を目指すことができたんですよね。
 盲学校を卒業したレイが、音楽の道を志してシカゴ行きのバスに乗ろうとするのですが、あわや白人の運転手に断られそうになるんです。その時に「戦争に行って失明した」ととっさに嘘をつくのですが、そういう機転も知恵として、ちゃんと吸収していったんだな、強くなったな、と思いました。

二人にだけわかる夫婦の距離とつながり

 物語としては、実はレイ・チャールズ自身よりも、僕は奥さんの物語に心惹かれました。レイが隠れてドラッグを使用していて奥さんが怒っても、レイはツアーに出てしまったり、奥さんが一人で出産しなければならなかったり。父親のドラッグ問題のせいで子供が学校でイジメられる、なんてこともありました。そういう酷いところのあるレイなのですが、映画の後半、奥さんがレイに息子が野球でMVPを獲ったとトロフィーを渡しながら、「あなたが愛しているのは家族でもない。子供でもない。音楽でしょ」と言うシーンがあるんです。2人の関係を知らない第三者から見たら、「え!? 離婚する気?」と思うかもしれませんが、そうではないんです。ずっと一緒に生きて来たからこその理解というか、この2人にしか分からない関係性や形があって……。奥さんは責めているのではなく、励ましなんですよね。ちゃんと音楽をやりなさい、という。そんな夫婦の会話は、彼の人生でとても大きなものだったと思います。


(C) 2004 Unchain My Heart Louisiana, LLC. All Rights Reserved.

 ゴスペルをピアノに乗せてアップテンポで歌う、新しい音楽を生み出したりしながら、R&B、ソウル、ジャズその他、レイはジャンルを超えて数えきれない名曲を残しているんです。映画でも大切な曲として使われていた「ジョージア・オン・マイ・マインド(わが心のジョージア)」は元々好きでよく聴いていた曲だったので、その場面にも感動しました。
 この曲で故郷のジョージア州についての歌を歌いながら、黒人差別に反対してコンサートを取りやめてしまったため、レイは18年も故郷から追放されてしまったんです。そんな時代があったのか、と驚きました。バスでも黒人は後部の黒人用に座らなければならないなど、差別に関しては割にサラッと描かれているのですが、チラッと目の当たりにするだけでも結構ショックでした。

動画で見ていたレイの姿がそのままに!

 そして、レイを演じたジェイミー・フォックスの演技が本当にスゴイ。レイ本人のライブ映像も色々と観て知っていたので、映画を観て「うわ、本当だ、スゲェ~」となって。演奏中の独特な体の揺すり方や歩き方など、すべての体の動きで、一瞬で“あ、レイ・チャールズだ”と思わせてしまう。演技でそこまで出来るのか、と。すべてのライブ・シーンもすごいですし、この作品は映画館で観るような状況を作って、真っ暗にしてどっぷり浸って観て欲しいです。まずは音楽を――誰もが知る有名な曲がたくさんあるので、聴いてから観ても、観てから聴いても、どっちでも楽しめます。

 どのシーンでも、本当にこの人は音楽が好きなんだなぁ、というのが伝わって来るんです。例えば、気まずくなったコーラスの不倫相手にステージ上で睨まれながらも、本人はニコニコ嬉しそうに歌っているシーンでは、思わず笑ってしまいました(笑)。音楽に向かい合う時に彼には罪悪感がないから、純粋に音楽を楽しんでいるんだなぁ、と。それこそが才能ですよね。一人の天才の人生を映画で観る面白さを、味わってもらえたらいいな、と思います。

中盤あたり、レイがライブを終えて帰ろうとすると、“まだ数分時間があるぞ”と言われ、もう一度、ピアノを弾き始め、歌い出すシーンがあるんです。最初、マイクが遠くの方にあって歌声が小さいのですが、レイが自分の前にマイクを引き寄せると、歌声が大きくなる。マイクとの距離感で音声を変える、その細かい音声の調節がスゴイと思いました(音源が残っているものは、レイ・チャールズ自身の歌声を使用)。何気ないシーンの何気ないところに現れる、そういうこだわりがいいなぁ、と大好きなシーンです。


(C) 2004 Unchain My Heart Louisiana, LLC. All Rights Reserved.

『Ray/レイ]』
2004年、本作完成を待たずに亡くなった、“ソウルの神様”レイ・チャールズの、激動の生涯を描いた伝記映画。6歳の頃に弟を亡くし、7歳で視力を失ったレイは、ピアノの音に魅せられて学びはじめ、盲学校を卒業後、迷わず音楽の道を志す。シアトルに出た彼は、そこでクインシー・ジョーンズに出会う。バンドの一員としてライブハウスに出演するようになり、破格の才能を現わしていく。レイを演じたジェイミー・フォックスが、アカデミー賞主演男優賞受賞。


今、長期撮影に入っています。そんな時も今の僕にとって、夜の時間がとても大切。レイ・チャールズ、アル・グリーン、プリンスetc.…。洒落た音楽を聴きながら、美味しいビールを飲むのにハマっていて。時に珈琲に変わりますが、台本を読んだり、役作りについて考えたり。その一人時間が、とっても楽しくて幸せです。先日、初めてはちみつ入りの台湾ビールを飲みましたが、とても飲みやすくて美味しかったですよ!

Text:Chizuko Orita

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