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【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.1】『ペパーミント・キャンディー』イチ推し俳優ソル・ギョングの演技と、時間を紡ぐ表現が圧巻!

【鈴鹿央士の偏愛映画喫茶vol.1】『ペパーミント・キャンディー』イチ推し俳優ソル・ギョングの演技と、時間を紡ぐ表現が圧巻!

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今月から、僕が大好きな映画を紹介していく新連載が始まります!

 僕が映画好きになったのは、実は1年くらい前のこと。ステイホーム中に色々観始めたのですが、その頃、韓国ドラマがまたブームになっていたこともあり、はまったら止まらなくなって……。今では毎日、最低でも1本は観ないと眠れなくなってしまいました。僕が出会って「これすげぇ」となった作品を紹介していくのでおつきあいください!

 記念すべき最初の作品は、先輩俳優さんから勧められて観た『ペパーミント・キャンディー』という韓国映画です。

発売・販売:ツイン/1999年/韓国・日本合作/130分

「とりあえず観てみて!」と勧めてます。

 友だちに勧めるときには、「とりあえず観てみて!」としか言えない(笑)。何も知らずに、まず観て欲しい作品なんです。

 冒頭の、主人公のキム・ヨンホという男が川原のピクニックに乱入して場を荒らすシーンでは、“なんじゃこの男~!?”って引いてしまいました。その直後、彼が線路に立ち、向かってくる電車に「わ~っ」と叫ぶ衝撃的なシーンのあと、線路脇で散った花びらが元に戻っていく映像を目にして、画が逆再生していることに気づきます。

 逆再生、つまり時間をさかのぼっていくのですが――ヨンホの人生の転機、転機をレールで繋いでいく、その映像に“スゲ~ッ”と、もう目が釘付けになってしまいました。時間をさかのぼっていくそれぞれの場面で、常に必ず電車や線路の存在がある。ヨンホの車の横を電車が走り去ったり、線路内で事件が起きたり、初恋の人と駅で別れたり……。その映像や表現、作品の構造やそれが意味する含みに、衝撃を受けました。

 さかのぼって描かれる約20年の人生、主演ソル・ギョングさんのスゴイこと!! 本当に20年若返ったとしか思えないリアルさに、ビックリしました。もちろん髪型や服装もありますが、それだけじゃない。まるで別人のように変わってしまうのに、でもやっぱり同じ人だとリアルに感じさせる。だからこそ“人間ってこんなに変わってしまうものなのか”という衝撃も大きいんですよね。しかも、“あんな悪そうで怖い顔になったのは、こんな出来事があった上でのことだったのか”と後から納得させられてしまう。

 まだ若く、究極無垢だった頃のエピソードで、兵士として市街地に出たヨンホが、銃弾に倒れた少女を抱きかかえて泣き叫ぶシーンがあるのですが、そのソル・ギョングさんの表情に、僕はものすごく胸を打たれました。「あ、ここで、この男の人生は決定的に変わったな」と思う瞬間でもあるのですが、とにかく圧倒されました。

 ドラマ『MIU404』で、ソル・ギョングさんのその場面の表情を撮影前に何度も見て気合を入れたシーンもあるんです。エグイくらいに役そのものとして生きているギョングさんは、俳優としてバカ高い壁でしかないですね。

「愛」について考える今日この頃

 この取材の前に見直して、1年前には気づかなかったのに、妙に引っかかった場面がありました。ヨンホが新聞を読みながら朝ご飯を食べていて、妊娠中の奥さんが読んじゃダメと新聞を取るのに、全然、奥さんの話を聞いていないんです。なんで監督はこんなシーンをわざわざ入れたんだろう、このシーンは何を意味しているのだろう、と考えてしまって……。その数年後のシーンや数年前のシーンからも、僕には多分、奥さんに対する愛情がヨンホからほとんど感じられず、それが妙に引っ掛かっているんだな、と思いました。

 序盤で初恋の人を見舞ったヨンホが、ペパーミント・キャンディーを渡して「ごめん」と謝る場面に始まり、時間をさかのぼるにつれて初恋相手をずっと好きだったのは、すごくよく分かるんです。でも奥さんに対しては、果たして愛情があったのだろうか、と。最近『愛するということ』という愛についての本を読んだのもあって、子供が生まれる前の父親と母親の姿として気になってしまいました。この1年、本当に色んなことを考えて、僕なりに変化したんだなとも思います。

今を大事に生きていきたい

 この映画はすごく時間のことを考えさせますが、今、僕はあまり過去や未来にとらわれずに生きていこうと思ってます。“数年後にこうなりたい”とか、明るい将来を夢見るのはいいことだけど、“あの頃は楽しかったのに”とか、心ここにあらずの状態で浸り過ぎるのはよくないな、と。今はコロナもあってあまり楽しくない時期でもあるけれど、“3年後にコロナが収束したらきっと楽しい”と考えるのは、違うな、と。せっかく僕は今21歳という時期なんだから、今の時間をちゃんと楽しみたい。外ではまだ動けないかもしれないけれど、こういう映画との出会いがあったりもするから。この映画も、“もしあの時こうしていたら別の人生があったのに”と、各転機で思わず考えてもしまうけれど、振り返ってみたら、たどってきた道は1本だけ。それならもう、今を大事に生きるしかないですよね。

車中でヨンホが拳銃を自分のこめかみに当てたり、口にくわえたりする姿に、カメラが外から寄っていく、そのカットがなんか妙に好きなんです。雨の中、車のフロントガラスも曇っていて、よく見えないのもいい味で。同じカット/構図が、ヨンホを訪ねる見知らぬ男(実は初恋相手の旦那さん)を車の正面から映し出す場面でも使われています。日本映画であまり見たことのない画で、すごく心に残っています。

『ペパーミント・キャンディー』1999年、春。別人のように変わり果てたキム・ヨンホが、旧友たちとのピクニックに場違いなスーツ姿で現れた。そこは、20年前に初恋の女性スニムと言葉を交わした、思い出の場所でもあった。鉄橋の上に立ったヨンホが、電車に向かって「帰りたい!」と叫ぶと、彼の人生が過去へと巻き戻されていく――。初恋相手を『オアシス』でもヒロインを演じたムン・ソリ。監督は『オアシス』、『バーニング 劇場版』などのイ・チャンドン。韓国のアカデミー賞、大鐘賞で最優秀作品賞を含む主要5部門を受賞し、世界の映画祭でも高く評価された。

現在ドラマを2本撮影中。「ドラゴン桜」とはまた一味違った責任感を感じる役なので、色々考えながらお芝居しています。次の『MEN‘S NON-NO(10月号)』は初めての合併号明けの号となります!そんな色んな変化を、楽しみながら生きていきたいです。

Text:Chizuko Orita

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