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ピンチはチャンス、
と言うけれど…
“代打、オレ!”
そのときどうする?
コロナで番組をお休みした司会者の代打で登場し、モノマネをきっかけに大ブレイク中の芸人・JPさん。もはや代打のプロともいえるこの人に、そのコツを聞いた!
松本人志さんのモノマネで話題沸騰中!JPさんに聞く
代打の心得
DAIDA NO KOKOROE
JPさん(モノマネ芸人)
1983年生まれ。ダウンタウン・松本人志、麒麟・川島明、EXIT・兼近大樹など様々なモノマネレパートリーを武器にTV出演多数。
来るはずのないボールが
回ってきたときどうするか
コロナ禍の中、数々の大物芸能人の“代打”として、モノマネでテレビ番組に出演し、人気者になったJPさん。特に松本人志さんのモノマネでの『ワイドナショー』出演は、大成功のピンチヒッターとして世間の話題になった。とてつもない代打を前に、JPさんはどう感じていたのだろうか。
「代打とは急なものですが、あまりにも突然のことでびっくりしましたね。松本さんが僕を代わりに……とツイートしたときは、芸人同士のボケのやりとりだと思っていたんですよ。そしたら本当に出演することが決定して……。その十数時間後には本番で、松本さんの席に座っていました。すさまじいですよね(笑)。観客としてサッカーの試合を観ていたら、選手から突然コートに引っ張り込まれて“入れてくれよ!”とパスが回ってきた感じ(笑)。ありえない話でした。さらに、腹をくくってエイッ!っとシュートを打ったら、たまたま決まった。この大成功は奇跡だと思っています(笑)」
そんな状況の中、落ち着いていられたのは「代打はそのときだけ成果を出せばいい」という考え方があったから。
「視聴者は、僕が松本人志さんじゃないなんてわかってるじゃないですか。代打って、その場をどうにか乗り切るためのロキソニンみたいなもの。時間制限がきっちりある中で、そのときだけ役割を果たせばいい。会社に勤めている方も、学生さんも同じだと思います。代打を頼まれたら、ロキソニンらしく、そのときを乗り切れる効果を、その時間だけ発揮すればいいだけ」
それでも、失敗したらどうしよう、という不安がつきまとうもの。どのような考え方で挑めばいいのだろう。
「自分が代打を頼む立場だったら、“この人には無理だろうな”という相手に急なお願いなんてできませんよね。お仕事でもプライベートでも、代打を頼まれる人って、普段の行いを評価されているはずなんです。できると思われているから、頼まれる。それならば、“できなかったらどうしよう”と悩みすぎる必要はないんじゃないかな。評価してもらっている“普段の自分”でやれば大丈夫なはずなんですよ。僕もそう思ってました。僕のモノマネを見てくれている方から、代打を頼んでいただけた。それなら、いつもどおりやれば大丈夫だろう、と」
欲張らず、謙虚に。
結果はひとつあれば十分
そんなJPさんが代打出演のときに気をつけていたこと。それは、結果に対して謙虚でいること。
「まず、“呼ばれているのは俺ではなく、俺のモノマネ技術だ”ときちんと自覚して、謙虚でいることを心がけていました。とはいえ僕は芸人だし、結果は欲しい。その両立のため、『チームのいちピースとして結果を出す』『それ以上は出しゃばらない』というような気持ちでいた気がします」
代打で失敗しそうなときに
メンタルを救ってくれるものは…
「そもそも代打で失敗しても、そんなに落ち込まなくていいと思うんですよ。頼んだ側の責任もありますから。……なんて言われても、落ち込みますよね(笑)。なので、僕がやっているマインドのコントロール法をおすすめしておきます。それは、感謝の言葉を口に出しておくこと。特に根拠はないんですけど、お礼の言葉を言っておくと、状況がよくなることが多いんです。むちゃすぎる代打でイライラしていたとしても、とにかく“ありがとうございます”と言っておく。それだけでかなり精神が保たれますよ。嫌なことがあっても、マスクの中で“感謝感謝感謝”と唱えて自分に言い聞かせる。ありがとうをひたすら言っていると、ネガティブになりすぎないです」
さらに、代打は周りの状況も味方してくれることが多いと話すJPさん。
「例えば仕事の打ち合わせなどの代打で、上司が相手に“うちの○○が行けなくなったので、代わりに××が行きます”と連絡してくれたとしましょう。それが急であればあるほど、相手も協力的になってくれるはず。逆の立場だったら“大変だね!”とウエルカムな気持ちになるでしょ?」
代打は勝ち戦だ、とJPさんは言う。
「そもそも、代打をお願いしている時点で相手は困っている。相手としては引き受けてもらえたら成功、うまくいけば大成功、という感じなんじゃないかな。だから、引き受けた時点で、実は代打は成功してるんです。ありえないようなミスさえしなければ(笑)、その場にいるだけで成功です!」
代打の鉄則
代打はロキソニン、その数時間だけ効けばいい
代打はずっと続くものではない! 任されたその時間だけを乗り切れる準備と心構えさえあればなんとかなる。
結果を欲張りすぎない
自分はあくまでも「代わりの人」。結果が欲しい代打でも、あれもこれもと出しゃばりすぎるのは問題のもとになるかも……?
代打には成功と大成功しかない
代打は、受けた時点でもう成功している。つまり、もし現場で0点でも、すでに及第点が取れているということ。気楽にいこう!
Photos:Takahiro Idenoshita Composition & Text:Miki Higashi
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