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映画『愚か者の身分』で大注目、林裕太さんにインタビュー! 北村匠海さん、綾野剛さんとともに釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞

映画『愚か者の身分』で大注目、林裕太さんにインタビュー! 北村匠海さん、綾野剛さんとともに釜山国際映画祭で最優秀俳優賞を受賞

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北村匠海、綾野剛、
二人の先輩と
堂々と演技で渡り合う!

先の釜山国際映画祭で、俳優3人が揃って最優秀俳優賞を受賞したことでも大きな話題となった『愚か者の身分』。北村匠海、綾野剛と並び、その栄誉に浴したのが、現在めきめきと頭角を現している若手俳優の林裕太だ。

映画『愚か者の身分』場面写真1
©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

裏社会に身を落とした若者たちが、唯一“信じるもの”を頼りに、そこから抜け出そうともがく姿を描いた同作で、林は北村演じるタクヤを兄のように慕うマモルを演じた。日本映画界の中心で活躍する2人を相手に、林が彼らと現場でどう対峙し、そこから何を得たのか。また、現場でマモルとしてどう生き切ったかを聞いた。


俳優の林裕太さんインタビュー写真1

まず日本映画が海外で披露され、受け入れられること自体がとても嬉しかったです。今回、ワールドプレミアで僕も一緒に鑑賞したのですが、観客の笑い声や鼻をすする音が聞こえて来て、直接その反応を楽しめたのも格別でした。

2人とも、とても尊敬する大先輩なので、最初は“食らいついていかなければ”という感覚でした。でも途中から、お2人が“一緒に楽しもうよ”という空気を作ってくれたのを感じて、とても助けられて。

剛さんとは現場でも2、3度程度しかお会い出来ませんでしたが、最初の本読み(監督や共演者が揃って台本を声に出して読み合う)の際に“すごくいいと思う。そのままで大丈夫だよ”と言って下さって少しホッとしました。剛さんは、その後も現場で会う度に“大丈夫だよ”と握手して、常に安心させてくださいました。

俳優の林裕太さんインタビュー写真2

最初に脚本を読んだ時、あんなに家庭環境が良くない中で育ち、遂に1人になってしまっても、「生きていればそれでいい」と言えるマモルを、本当に強い子だなと思ったんです。そんな状態でタクヤに出会うわけですが、タクヤから愛情や施しを受けて、自分も幸せになっていいんだな、と思えるようになる。でもある意味、逆にそれが弱さに繋がってしまう面もあると感じて。大切な存在が出来てしまうと、それが失われてしまうことへの恐怖や不安が生まれるんだな、と。

でも、誰かが居なくなってしまうことを「怖い」とか「悲しい」と思えること自体が、マモルの成長と言えるとも思いました。初めて甘えられる人、初めて愛情をかけてくれる人に出会い、そういう気持ちが膨らんでいって、自分の中でもマモルという人物像が変わっていくのを感じました。


     

(北村)匠海君とは
初めてお会いした時からどこか
空気感が似ている気がしました

俳優の林裕太さんインタビュー写真3

匠海君との撮影は、初めてシェアハウスで出会うシーンから始まりました。そこから関係を築いていった感じですが、初日で既に2人の距離が縮まっていくのを感じられて、僕から「ご飯に行きましょう」と言い出して、それを匠海君が快く受け入れてくれました。そこから何度か匠海君とご飯に行くようになりましたが、思い出すとマモルとタクヤが絆を育んでいく関係性が、そのまま林裕太と北村匠海の関係に反映されていった気がします。

映画『愚か者の身分』場面写真2
©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

いえ、普段は「どんな人なんだろう?」と躊躇しちゃうことの方が圧倒的に多いです。でも匠海君とは初めてお会いした時から、どことなく空気感が似ている気がしましたし、とても程よい距離感を持ってくれる人で、それでいてとても温かいことが分かったので、この人なら、と最初から思えたんです。


映画『愚か者の身分』場面写真3
©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

深夜の撮影が多かったですが、当然ながら街にはエキストラ以外の方がたくさんいらっしゃる。そんな中での撮影は、なかなか刺激的な経験でした。もちろん、きちんと許可を取ってはいましたが、ゆったり時間を掛けて撮ることはできないので、匠海君と僕は別の場所で待機して、現場が整ったら呼ばれてすぐに本番に入る、という感じでした。ゲリラ撮影ではないのに、ゲリラ撮影のような印象で、どことなく“やっちゃいけないことをやってる感”があって、それがなんか楽しくて(笑)。歌舞伎町で、あんなに暴れられるなんて役者じゃないと出来ないよな、と思って。

     

誰かの優しさを受け取った人は
悪にはなりきれない。
誰かに優しくしたいと思うものだなと

俳優の林裕太さんインタビュー写真4

マモルには選択肢がありませんでした。それが、とても悲しいし、生きるのが難しいなと思いました。でも今の時代って、マモルのように家庭環境が悲惨なわけでも選択肢がないわけでもなく、意外と何不自由なく暮らしてきた人が、つい闇バイトに手を出してしまう若者が昔に比べて格段に多くいるらしくて。言うまでもなくSNSの影響だと思いますが、色んな生き方が出来る時代なのに、「こうしなければ」「こうした方が生きやすい」と提示されて、そういう勝手に決められた価値観にこだわって、お金が足りなくなって闇バイトに繋がってしまう気もするんですよね。だからこそマモルたちが陥った状況を、色んな人にこの映画を観て知って欲しいです。


映画『愚か者の身分』場面写真4
©2025映画「愚か者の身分」製作委員会

やっぱり(綾野が演じる)梶谷から始まったという気がします。タクヤは梶谷から受け取ったものを、今度はマモルに施しているというか。誰かの優しさを受け取った人って、悪になり切れないというか、やっぱり誰かに優しくしたいと思うものだなと。受け取った優しさを、別の誰かに受け渡す。それこそが本作の物語の根幹だと僕は思っています。

僕が本作を通して伝えたいのは、「生きる」ということ。とにかく「生きていて欲しい」ということです。大層な理由がなくても、自分の周りに支えてくれる人が1人でもいるのなら、それは十分に「生きる」理由になる。それが、この映画から僕が受け取った最も重要なことです。

俳優の林裕太さんインタビュー写真5

あの煮つけ、実際にメチャクチャ美味しかったんですよ(笑)! あのアジの存在は、とても大切だと僕も思いました。だって、食べるって生きることに直結していますから。それこそ朝ドラの『あんぱん』じゃないですが、「逆転しない正義」って誰かに食べ物を分け与えることにも繋がる。それは、「生きろ」という強いメッセージになりますから。また終盤、今度はタクヤと梶谷がアジの煮つけを食べるシーンがありますが、そこにもとても重要な意味があると思いました。


     

高校までは一歩を踏み出せず
大学で演劇学を先行。
自分を追い込んだはずが…?

俳優の林裕太さんインタビュー写真6

アクションシーンって他の映画を観ても、いくらでもバイオレンスにできると思うんですよ。でも本作はそんなアクションシーンにも、永田琴監督ならではの感情や感性をとても大切にされているな、と感じました。もちろん目を覆いたくなるシーンも登場しますが、ハートフルな味わいも感じられる。監督は現場でもお母さんみたいな存在で、僕が緊張しているのを見ると、「大丈夫か?」と大らかに気にかけてくれて、それがユーモラスでもあって、とても助けられました。やっぱり作品には、監督の「生き方」みたいなものが映りこむものだと思います。

ラストシーンは最後までどうするか、監督とずっと相談していました。僕からは、マモルはもう生きる希望を見出せないんじゃないか、と話したんです。そうしたら監督が、「私は阪神淡路大震災を経て、大切な誰かを失ったから死にたくなるというより、失った命の分を自分が生きなきゃいけないと思った」とおっしゃられて。その話にすごく納得がいって、ラストシーンのあの表情になりました。

俳優の林裕太さんインタビュー写真7

高校までは、ごくごく普通の高校生でした。ただ、昔から役者になってみたいという気持ちは強かったんです。きっかけは学芸会。元から目立つのが好きな子どもでしたが、小6の学芸会で大きな役をもらって、歌を歌ったり演技をしたりした舞台を、周りからとても褒められて。それが嬉しくて、自分には才能あると勝手に思っちゃったんです(笑)。そう思いながらもなかなか踏み出せなかったので、大学に進学するタイミングで、むしろ自分を追い込みたくて、それ以外の選択肢を捨てるために専攻を決めました。

ところが大学に入ってみたら、ほぼ座学で西洋演劇史や日本の演劇史を学ぶ日々で、正直「失敗した!」と思いました(笑)。でも、既に俳優をしていた同級生が今の事務所の養成所を紹介してくれました。養成所では、実践的な授業やレッスンすべてが新鮮で、とにかく楽しくて。それが今に繋がっています。


     

映画『愚か者の身分』作品情報

映画『愚か者の身分』メインビジュアル

ある犯罪組織の手先として、兄貴分のタクヤ(北村匠海)と弟分のマモル(林裕太)は戸籍売買のビジネスに手を染めている。しかし歌舞伎町で大金が消えた事件を機に命を狙われる事態に陥ったタクヤは、かつて自分をこの世界に引き込んだ兄貴的存在の梶谷(綾野剛)の手を借り、マモルとともに裏社会から抜け出そうとするが……。運命に翻弄されながらも生き抜こうともがく“3日間”の逃走劇を、3人それぞれの視点を交差させてサスペンスフルに描き出す。第2回大藪春彦新人賞を受賞した西尾潤の同名小説を、長く岩井俊二の助監督を務めて来た、『Little DJ 小さな恋の物語』(07)の永田琴が映画化。2025年10月24日(金)より全国ロードショー

作品公式サイト:http://orokamono-movie.jp/

2025年/日本/130分/配給:THE SEVEN、ショウゲート/©2025 映画「愚か者の身分」製作委員会

Photos:Yumi Yamasaki
Hair&Make-up: Mariko Sasaki
Interview&Text: Chizuko Orita

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