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タイBLブームを皮切りに次々と世界規模のヒット作品を輩出し、近年ますます注目度が高まっているタイのエンタメシーン。俳優やアーティストが続々と日本進出する中で、ついにタイが誇るスーパースター、Jeff Satur(ジェフ・サター)が来日! 8月に開催された「SUMMER SONIC 2025」のステージで、日本初のパフォーマンスを行なった。
演技でも美声でも世界を虜に。
ジェフ・サターを東京でキャッチ!
アーティストとしてデビューした彼のブレイクのきっかけは、2022年に放送され今も熱狂的なファンに支持されるドラマ『KinnPorsche The Series』。同作でアーティスト役を演じ、自ら作詞作曲したドラマ挿入歌を熱唱。唯一無二の美声で視聴者を虜にし、瞬く間にスターダムを駆け登った。
2024年には1stアルバムを引っ提げたワールドツアーをアジアからスタートさせ、今年7月にはラテンアメリカを巡行。また、主演映画『いばらの楽園』が国内外で大ヒットするなど、アーティストと俳優それぞれの分野で第一線を走り続けている。
海外からも多くのファンが駆けつけ、大歓声が沸き起こった「SUMMER SONIC」の数日後、東京で開催されたソロコンサートの会場でJeffのインタビューが実現! 特典の写真撮影会から開演までのわずかな時間を縫って、敬愛するX JAPANとの出会い、ブレイクまでの道のり、曲のインスピレーション源などを、たっぷり語ってくれた。
初めての日本でのステージ。
2日間は素晴らしい経験に

――「SUMMER SONIC」に初出演を果たしたJeffさん。初めて立った日本のステージは、いかがでしたか?
大阪から始まって東京で終えた2日間は、素晴らしい経験になりました。僕にとって日本は、これまで友人や家族と何度も訪れてきた特別な国。大好きな日本を旅しながらステージに立つことができて、最高の気分です!
――Jeffさんの来日を心待ちにしていたファンの熱気は感じられましたか?
はい、とても! 大阪でも東京でも多くのファンに会えて、胸が熱くなりました。先ほどコンサートの特典の写真撮影会を終えたのですが、日本のファンの皆さんは、とても礼儀正しいですね。皆さんの嬉しそうな笑顔を見られて、幸せな気持ちになりました。
――他のアーティストのパフォーマンスは見られましたか?
Official髭男dism! とてもエネルギッシュなパフォーマンスでした。もともと彼らの曲をよく聴いていたので、ステージを見られて嬉しかった。『Pretender』という曲が大好きなんです。
――「SUMMER SONIC」では米津玄師さんの『Lemon』をカバーし、大きな話題を呼びました。さらに今夜のステージでは、藤井風さんの曲を披露されるとか。
二人とも、とてもリスペクトするアーティストです。藤井風さんは、バンコクでのパフォーマンスも素晴らしかった! いつか日本のアーティストとコラボレートできたら嬉しいです。
デビュー後の苦しい時期も
決して音楽を諦められなかった

――10歳の頃に音楽に興味を持ち始め、以降、アコースティックギター、ドラム、エレキギター、ピアノなど様々な楽器を習得したというJeffさん。当時は、X JAPANに影響を受けていたそうですね。
子どもの頃に初めて『紅』を聴いた時の衝撃は、今でも忘れられません。美しく繊細なバラードかと思ったら、途中から激しいメタルサウンドに切り替わる。初めて聴く新しいサウンドの虜になりました。
彼らの音楽はもちろんですが、ファッションも大きく影響を受けています。ジェンダーレスなファッションが主流ではなかった当時、スリムなスーツやクロップド丈のトップスなど、フェミニンさのあるステージ衣装が新鮮で。X JAPANへの憧れから、髪を伸ばしたり、丈の短いTシャツを探して買ったり、ネイルを塗ったりしていました。
実は一度、コンサートで『ENDLESS RAIN』をカバーしたことがあって。ファンの方が、その動画をSNSにアップしてYOSHIKIさんをメンションしてくれたところ、YOSHIKIさんご本人が「ありがとう!」と反応してくださったんです! 見た瞬間、WOW!!!!!と叫びました。
――その後、2013年にデビュー。しかしなかなか知名度が伸びず、音楽を辞めようと思ったこともあったとか。
タイは音楽業界の規模が小さく、アーティスト活動だけで食べていくためには、すごく成功しなければいけないんです。ブレイクにつながるようなヒット曲に恵まれないまま7、8年ほどが経ち、音楽を続けるための資金が尽きてしまって。25歳になっていた僕は、“いい歳だし、そろそろ将来のために別の生き方を考えなければいけないな…”と思い始めました。
でも結局、諦められなかった。僕は音楽を愛し、音楽こそが人生をかけてやりたいことだったので。新曲を作ろうにもプロデューサーに払うお金がなかったから、自分のギターやピアノなどを売って自宅にスタジオを作り、自分で曲を作り始めました。苦しくはあったけれど、作詞、作曲をできるようになったのは、この時期のおかげ。ある作品のOST(オリジナル・サウンドトラック)が売れたのを機に、ドラマ『KinnPorsche The Series』への出演が決まり、今に至ります。
ドラマ『KinnPorsche』で
チャンスを掴み大ブレイク!
――Jeffさんが作詞・作曲を手がけた『KinnPorsche The Series』の挿入歌『Why Don’t You Stay』は、世界各国で大ヒットしました。ドラマの楽曲を作る際のプロセスとして、大切にしていることは?
ドラマの楽曲は作品とのマッチングが大切なので、脚本をしっかり読み込んでストーリーや作品が伝えようとするメッセージ、登場人物の気持ちをしっかり理解し、感じたことを曲に投影します。テーマがすでに用意された状態で曲作りをするので、自分のオリジナル曲を作る過程よりもスムーズなんですよ。オリジナル曲は、テーマを決めるところから始めなければいけないから…記憶を辿ったり、その時々の自分の感情と向き合ったりと、時間がかかります。
――俳優として活動することで、音楽の捉え方や、パフォーマーとしての意識は変化しましたか?
いい影響をたくさん受けていると思います。俳優をしていると、演じる役によって、自分の人生には起こり得ないことを体験しますよね? 例えば、殺し屋になったり、逆に誰かから命を狙われたり。そういった非日常の経験をする中で生まれる感情を曲作りに生かせることが、一番大きいかな。

アジアツアーも主演映画も大成功!
ジェフ・サター、次に目指す場所
――曲作りをする際には、静かな場所に一人でこもって集中するそうですね。曲のインスピレーションは、どうやって探していますか?
僕が曲作りを行うのは、自宅にあるスタジオ。とても静かでピースフルな環境です。スタジオにこもる時は仕事のスケジュールを調整して、できるだけまとまった時間を過ごすようにしています。本を読んだり、ボーッとしたり、思い出に浸ってみたり…思い思いに過ごしていると、自然とインスピレーションが湧いてくるんです。
曲作りをする作業では、つねに新しさを模索することを大切にしています。自分がコンフォートゾーンに留まっていると感じたら、そこから飛び出してチャレンジをする。自分の中にあるネガティブな感情もポジティブな感情も全て吐き出して、真っ新な気持ちで曲作りに挑みます。その作業が、すごく楽しいんです!
――昨年、タイ人として初めてメゾン・ヴァレンティノのブランドアンバサダーに就任されました。ファッションシーンでもご活躍されるJeffさんが今、特に好きなスタイルは?
昔から今も変わらず好きなのは、ロックなエッセンスの効いたファッション。それをベースに、ボヘミアンやフェミニンなど、異なるテイストのアイテムをミックスすることが多いです。音楽と同じくファッションも、あえてこだわりは持たずに、新しいスタイルに挑戦し続けることを意識しています。ファッションの仕事をするようになってから、衣装のアイデアがどんどん湧くようになって、スタイリングの幅が広くなりました。
――昨年はデビューアルバムのリリース、初のアジアツアーの成功、主演映画『いばらの楽園』の大ヒットなど、さらなる躍進を遂げました。今後の目標を教えてください。
一番の目標は、「Red Giant Tour」で全ての大陸を巡ること。昨年はアジア、今年はラテンアメリカでコンサートができたので、次はヨーロッパを目指しています。もう一つは、ドラマのプロデュース。実は今、共同でドラマの脚本を書いているんです。完成の目処は立っていないのですが、できるだけ早くご報告できるように頑張ります!

Jeff Satur(ジェフ・サター)
本名ウォラカモン・サター。1995年3月6日生まれ、タイ・バンコク出身。2013年、1stシングル『Broken World』をリリースしデビュー。2019年、短編映画に出演し俳優デビューを飾るとともに、同作のOSTを作曲。2022年に出演したドラマ『KinnPorsche The Series』、作詞・作曲を担当した同作の挿入歌『Why Don’t You Stay』がともに大ヒット。2024年には1stアルバム『Space Shuttle No.8』をリリースし、初のアジアツアーを遂行。さらに主演映画『いばらの楽園』が国内外で高い評価を受ける。今後は主演ドラマ『Vamp』の放送を控える。
Composition & Text: Ayano Nakanishi
取材協力: Warner Music Japan
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