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ヒーロー・敵〈ヴィラン〉問わず登場人物が魅力的で、読めば誰かと語りたくなる。ヒロアカを愛するこっちのけんとが熱く語り倒す魅力とは?
あの名シーンをプレイバック
ヒロアカ愛、語らせて!

アルバムをめくるように
何度も読み返せる作品です。

余白と共感を楽しめる、一生ゾッコンなバイブル
「ずっとヒロアカにゾッコンだったんです。特に最後のほうは毎週泣いていました(笑)」
開口一番にあふれる想いを語ってくれたのが、公式スピンオフシリーズ『ヴィジランテ』の主題歌「けっかおーらい」を手がけたこっちのけんとさん。ヒロアカは連載初期から何度も読み返し、さまざまな“考察”をしていたという。
「登場人物の“余白”に注目したくなるんです。例えば、人を洗脳する“個性”を持つ心操(人使)(しんそう(ひとし))。序盤に初登場したときは能力の強さを自覚しながら、自分を信じ切れない未熟さも伝わってきたんです。でも中盤で再登場したときには考えや戦い方が成長している。多くは描かれないけど、悩んでもがいたことはわかるんです。『心操はこの期間、どう過ごしたのか?』と、セリフや設定などから考えるのが楽しかったですね。
そんな深読みをするくらいの“バイブル”的な存在なのでヒロアカの原画展が決まった感想は『本当にありがとう』のひと言でした。自分の内面を形成するシーンが目の前にでっかく現れるって、もはやパワースポットですよね。僕が堀越先生の作画で好きなのは、“泣き笑い”の表情。印象的なのは、最終決戦で敵〈ヴィラン〉連合のトガヒミコが見せた顔。戦いのしんどさと、何かから解放された脱力感が同時に伝わってくるんですよ。あの柔らかくて複雑な表情をどうやったら描けるのか、本当に不思議です」
「けっかおーらい」には、自身の内面を重ね合わせ、圧倒的な熱量を込めたという。
「主題歌を担当させてもらえたときは、これまた泣きそうなほどうれしかった。『ヴィジランテ』の主人公・(灰廻)航一((はいまわり)こういち)は戦いに不向きな、床を滑るという“個性”の持ち主。『自信はないけど、自分なりのやり方で人の役に立ちたい』という彼の気持ちに共感できるんです。『けっかおーらい』は、航一とこっちのけんとをどちらも象徴できる曲をめざしました。例えばサビの頭の『おっと!』で、“頼りになるけど、たまにおっちょこちょい”な感じを表現しています」
最後に、ヒロアカの魅力とは何だろうか?
「年を重ねるごとに共感できる登場人物が変化していくところですね。何度も読み返しながら『何歳頃の僕はこいつみたいだったな』などと、自分のアルバムをめくるような感覚で楽しめる。もしまだ読んでない人がいたら、あの感動をこれから味わえるのが、めちゃめちゃうらやましいです!」

©堀越耕平/集英社

こっちのけんと
アーティスト
1996年生まれ。楽曲や映像などを制作するアーティスト。2022年に「Tiny」でデビュー。「はいよろこんで」などの楽曲でバイラルヒットを記録している。25年にはアニメ『ヴィジランテ』のOP曲「けっかおーらい」をリリース。
Photos:YUKI KAWASHIMA Hair&Make-up:Miho Mizuguchi Stylist:Yoshiaki Komatsu Composition&Text:Koki Yamanashi
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