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上白石萌音さんが悪意の虜!? 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」で見せる新しいヒールの顔

上白石萌音さんが悪意の虜!? 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」で見せる新しいヒールの顔

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12月13日に公開する映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」に出演する上白石萌音さん。役どころは、主人公である銭天堂の店主、紅子(天海祐希)をライバル視している、謎の駄菓子屋・たたりめ堂の店主のよどみ。本誌の連載企画で、世界の料理を幸せそうに“ガブリ”している彼女だが、本作では駄菓子を使い、人々を惑わせ悪意を集めているという…。

そんな、萌音さんの新しい&怖い一面が見られる、気になる物語、そしてよどみという役について、話を聞いた!

人の悪意を集める「よどみ」という役は
中田秀夫ワールドにこそ生きる


──今回萌音さんが演じているたたりめ堂の店主、よどみは、これまで見たことがないヒール的な役ですね。撮影に臨むにあたり、準備したことは?

「アニメでよどみを演じている榊原良子さんの声と同じような印象を、自分の声でも抱いてもらうにはどうしたらいいか、家で黙々と研究をしました。駄菓子を通して人に幸せを与えようとする主人公の紅子さんに対して、よどみは好んで人の悪意を集めるという、いわゆるダークサイドにいる女の子。そんな彼女の中にも、ちゃんとした目的やヒールなりの正義があるということをすごく考えていて。演じるにあたり、よどみの理解者になろうと準備をしました」

──キャラクターの解像度を上げる中で、どんな“よどみ像”にたどり着きましたか?

紅子さんに「なんでこんな商売をやっているのか」と聞かれたときに、よどみは「楽しいからだよ!」と答えるんです。このセリフが彼女のすべてを表していると感じて、彼女の振る舞いのつじつまが合いだしました。あと、これは私の考えですが、よどみの行動の根底には、寂しさがあるんじゃないかなと思ったんです。もちろん、これまで彼女がどんなことを経験してきたかとか、どんなことが彼女の身に起きたのかはわからないけれど、“悪意にすがる”ことが、よどみが生きる最後の砦になっているのかもしれないな。と…。演じながら、そんなことを考えていました。


──実際、どんな役づくりをしたのでしょうか?

よどみは、見た目は子供で、中身が大人という──こう言うと、まるであの有名な名探偵みたいですが(笑)──イメージとしては、体の成長が子供のまま止まり、中身だけ成熟していった感じです。原作でも「見た目は7歳くらいだけど、しわがれた声をしている」と説明されています。考え方や発言は大人でありながら、仕草や立ち振る舞いを子供っぽくすることで、よどみ自身がどこか浮世離れした存在に見えるようにしたいなって。首から上と下が全く違う年齢の状態を表現することで、人の悪意を集める不気味な行動が楽しそうに見えるようにできたら、と思っていました。中田(秀夫)監督とも、「心と体が分離した、ちょっとちぐはぐな子にしたいですね」と話し合いました。


──確かに、よどみを見ていて“怖い無邪気さ”を感じました。中田秀夫監督からはどんなお話や演出がありましたか?

中田監督からは「振り切ってほしい」「舞台っぽくやってほしい」「(よどみの)ポジションを楽しんでほしい」という言葉をいただきました。舞台っぽくというのは作品全体への演出でもあったのですが、ファンタジックな要素がある物語から乖離しないように、リアルにというよりは少し大げさに演じようと心掛けました。

中田監督は数字で演出なさるんです。「さっきのテイクの3.6倍でお願いします」とか。多くの場合、2.7倍とか3.6倍とか、細かく倍率を刻んで演出していただきました。初めての経験でしたが、感覚を掴むと、「2.7倍ですね」と、速くアウトプットできるようになりました。

「さっきの何倍」という演出は、それまでのお芝居も肯定してくださっているということなので、「この方向性で、もうちょっといけばいいんだな」と安心して演技に挑戦できる。監督が撮りたい画や感情にどうやって近づけるかを考える日々だったので、演じれば演じるほど監督のイメージに到達する速度は速くなったと思います。


──なかでも、よどみに対してはどんな演出はありましたか?

よどみに関しては、遠くにいる人からもわかるような、“わかりやすい悪”をやってほしいとも言われました。よどみは、そういった監督の演出を存分に発揮できるキャラクターだったので、演じていてとても楽しかったです。

──最初は、児童小説が原作の『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』と、多くの名作ホラーを手掛けている中田監督の組み合わせを見て、不思議に思いました。でも特に、よどみのシーンを見て…。

そうですよね! 本当に怖いんですよ。よどみは、悩みを抱えている人に、悪意が宿る駄菓子を渡して、願いを叶えようと食べた代償として嫉妬など、人の悪意を集めているんです。映画では、その代償を払うときに“よどみの世界”が現れるんですが、幻想的でありながら、おどろおどろしい。これは中田監督しかつくれない世界観だなって。


──確かにあのシーンはこわい…。それまでは、ワクワクする駄菓子が出てきて、絵本の中のような心踊る銭天堂の物語が描かれますが、“よどみの世界”に来て、ぐっとホラーのギアが入ります。

現場ではグリーンバックの前で撮影していたのですが、出来上がった映像を観たら「こわっ!」ってなりました。中田ワールドが冴え渡っています。


集中が途切れない、つくり込まれた
撮影現場で安心して暴れることができた

──主役である、銭天堂の店主、紅子を演じる天海祐希さんとの共演はいかがでしたか?

本当に気配りが細やかな方で、目が前後左右にあるって言われないと理解できないくらい視野が広く、周りで起きていることを把握して、みんなのために動いていらっしゃるんです。天海さんがいらっしゃるシーンでは、空気が引き締まる感じがありながら、みんなが安心して現場に集中できます。「こういう座長が真ん中にいてくださると、これほど安心できるんだ」と、心の支えでした。天海さんは、憧れの存在です!

──紅子を演じる天海さんと共演したことで、よどみのお芝居に影響はありましたか?

よどみは相手から悪意を引き出すために、自身も悪意のある言葉を選んでいる子だと思うのですが、どれだけ嫌なことを言っても、天海さんがつくり出す貫禄と器の大きさで、紅子さんはまったく揺らがないんです。よどみが紅子さんをライバル視して取る言動も全部すり抜けていってしまう感覚を得て、人物像としてよどみの苛立ちも理解できました。こっちはブンブン腕を振り回しているのに、全部片手で止められているみたいな(笑)。その歯がゆさ、でも絶対にいつか倒してやるみたいな気持ちを、天海さん演じる紅子さんの佇まいを見て感じました。

そこから、よどみは、なぜここまで紅子さんを憎いと思うのかを考えました。商売敵だからという理由だけではなくて、全然相手にされない、取り合ってもらえないという、行き場のないモヤモヤを抱えているから──もしかしたら、心の底に寂しさを抱えていて、そのために人の悪意にすがっているのかもしれない。これは私の想像ですが、そう考えることで、よどみを演じやすくなりました。

──俳優の皆さんが演じる役はもちろんのこと、画面に溢れる『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』のリアルな世界観が、観る人を物語にぐっと引き込みます。現場の雰囲気はいかがでしたか?

撮影セットはつくり込みがすばらしくて、美術さんやスタッフの皆さんのこだわりを感じました。お菓子は原作の廣嶋玲子先生、jyajya先生も監修に入ってくださっています。どこを見ても信じられる空間が広がっていて、俳優として集中が途切れないので、安心して暴れることができました(笑)。

お店だけでなく、お店に至る道も、例えば換気扇の上に空き瓶が置いてあるなど、隅々までリアリティや生活感が詰まっているんです。その中に、ポンって非現実感のある銭天堂が建っている。そのバランスが絶妙で、「私もいつか銭天堂に行けるかもしれない」「たたりめ堂ってどこかにあるのかもしれない」と思える現場でした。人の夢を広げる作品って、こういうものを言うんだよな、と改めて思いました。黒猫を見かけたら、ついていっちゃうかも(笑)。

──黒猫の墨丸の演技も見事でした。

墨丸役は、カールという天才猫です! 現場でも噂になっていました。もしかしたらカールが一番NG少なかったかも……なんて(笑)。

──伊原六花さんが演じるファッション誌編集者の相田陽子をはじめ、銭天堂やたたりめ堂を訪れる登場人物は、多くの人が共感できる悩みを持っていて、感情移入できます。

悩みを抱えるみんなに対して、「わかるよ〜、わかるよ〜」っていう気持ちでした。銭天堂のお客さんは、みんな人間らしくて、観ている方は誰かに自分を重ね、投影できると思います。駄菓子をもらってどうなるかは、自分の行い次第、運次第でもありますが、お店に行ったときに、なんて言うかがすごく大事だと思うんです。

紅子さんに「あなたの願いは何ですか?」と聞かれて、自分の悩みや願いをどう表現するかで、未来が変わる。ふだんの生活でも、どうやって人に協力を求めるか、どんなふうに思いや願いを言い表すかが、すごく大切なんだなと思って。だから、もし私が銭天堂に行って「願いはなんですか?」と聞かれたら、「なんて言うのがいちばんいいんだろう」…って、よどみを演じながらですが、すごく考えました。

──萌音さんのお話を聞いて、自分の願いを叶えるために、言葉の選び方や表現の仕方って大事だなと思いました。

大人は「どうすればいちばん元が取れるか」みたいなことを、絶対考えちゃうじゃないですか(笑)。「すごく幸せになりたくて」みたいな、自分の願いを包括的に叶える方法を。でも、子供たちは自分の気持ちに純粋に向き合って、ピュアな言葉を紅子さんに伝えている。それがすてきなんです。いろいろな年代の登場人物が出てくるので、「多感な時期にいる高校生は何を願うのか」「がんばって働いている大人はどう願うのか」に注目していただけると楽しいと思います。そして、教師役をやられたシソンヌのじろうさんは、どんな言葉を使ったんですかねぇ(笑)。

──それぞれの願いと出てくる駄菓子と、それを食べてどんな未来を描くのかを見届けられるのがおもしろいです。ちなみに、萌音さんは駄菓子屋にいったことありますか?

ないんです…。身の回りになかったんですよね。ただ、スーパーの駄菓子コーナーにはよく行っていました。「ポテトフライ」と「いかそうめん」が好きです。

──けっこう渋いですね! もし銭天堂に行けたらどんな願いをして、どんな駄菓子をもらいたい?

ん〜、健康第一でお仕事をしていきたいですしラムネのお菓子も好きなので…風邪を引かないラムネでお願いします!(笑)

──すごく現実的!(笑) 自分の気持ちに純粋に向き合っているまっすぐな願い! 最後に、本作の見どころや、注目してほしいポイントを教えてください。

世代を問わず心が躍る駄菓子のような映画です。登場人物や美術など、細かいところまでワクワクする世界が広がっているので、原作がお好きな方も、原作を知らないけれど、かつて駄菓子が好きだった大人の方も、『ふしぎ駄菓子屋 銭天堂』の物語を楽しんでいただけると思います。大人の方は、ぜひ子供心に帰って楽しんでください。


上白石萌音
MONE KAMISHIRAISHI

1998年1月27日生まれ、鹿児島県出身。2011年のデビュー。女優、歌手としても活動。近年の主演作に、映画『夜明けのすべて』や舞台『千と千尋の神隠し』などがある。現在、情報バラエティ「世界くらべてみたら」のレギュラーMCを務める。また、最新アルバム『kibi』をとともに全国10都市をめぐるツアー「“yattokosa”Tour 2024-25《kibi》」が開催中。2025年3月7日公開の映画『35年目のラブレター』が控えている。

公式HP:https://kamishiraishimone.com/
公式Instagram:https://www.instagram.com/mone_kamishiraishi/
公式X:https://x.com/mone_tohoent

映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」

原作:作・廣嶋玲子 絵・jyajya(偕成社刊)
監督:中田秀夫
出演:天海祐希、上白石萌音、大橋和也、伊原六花、他
●12月13日(金)より、全国公開
©2024 映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」製作委員会

新米教師の小太郎(大橋和也)は、赴任した小学校でふしぎな駄菓子屋の噂を生徒たちから聞く。お店の名前は「銭天堂」。そこには店主・紅子(天海祐希)がいて、願いを叶えてくれる駄菓子を選んでくれるという。やがて、銭天堂の駄菓子を買ったらしい周囲の人々の様子がおかしくなり、小太郎が密かに想う友人・陽子(伊原六花)までもが、「もっと認められたい!」という気持ちが止められなくなり、暴走してしまう。銭天堂とは別に、たたりめ堂という駄菓子屋の存在に気づいた小太郎。その店では、人の悪意を集めるよどみ(上白石萌音)が、悩みを抱える人たちに駄菓子を渡していた。

映画「ふしぎ駄菓子屋 銭天堂」公式HP:https://zenitendo-movie.jp/

ハイネックトップ(ニアー ニッポン)¥20,900/ニアー ジャケット¥66,000・ベルト¥30,800(ともにラインヴァンド)/ラインヴァンド カスタマーサポート パンツ(ボニーウーブン)¥26,400/クローバーズ イヤーカフ(マリア ブラック × チノ フォー デミルクス ビームス)¥26,400/モールド シューズ(アシックスランウォーク)¥34,100/アシックス商事株式会社お客様相談室 ソックス/スタイリスト私物

Photos:Jun Imajo Hair & Make-up:Kanae Yamada Stylist:Lisa Sato(BE NATURAL) Interview & Text:Hisamoto Chikaraishi[S/T/D/Y]

力石恒元

力石恒元

エディター

ファッションからインタビューテーマまで幅広く執筆。音楽、映画、カルチャー、ガジェットなどに精通。

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