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REVIEW
BOOK

『ぼくらに噓がひとつだけ』
綾崎 隼
文藝春秋/¥1,760
祖父の代から棋士の家系に育った京介と、元女流棋士の母と2人暮らしの千明。奨励会でしのぎを削る2人に、赤ん坊の頃に取り違えられたかもしれないという疑惑が。千明は順調に勝ち進み、京介はスランプに陥る。将棋に必要なのは才能か環境か。少年2人と彼らの親世代の物語が重なり、熱い感動に包まれるヒューマン・ミステリ。

『まず牛を球とします。』
柞刈湯葉
河出書房新社/¥1,980
大豆のDNAに牛由来の遺伝子を加え、球形の肉の塊をつくる工場。そこに勤める男が主人公の表題作ほか、AIが普及し人に残された仕事が「責任を取る」ことだけになった世界、人間ではなさそうな妻との日常など14編。一編一編は短い時間で読めるが、奇妙な味が後を引く。読み終えたときに、見慣れた景色がほんの少し違って見えるかも。

『ビバリウムで朝食を』1巻
道満晴明
秋田書店/¥792
オバケが現れるちょっと変わった町ビバリウム。夏休みの自由課題で町の七不思議を集めている小学6年生のヨキ、ミコト、キクリ。彼女たちが出会ったノッポマンは未来から来た探偵だった。彼は不思議な科学道具を使い、同じ時代からやってきた逃亡者を捕まえようとしていた。シンプルな線で紡ぎ出されるクールなファンタジー。
Text:Kenji Takazawa
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