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映画好きの鈴鹿央士さんが愛してやまないベストサマームービーは何? 観ると夏ならではの高揚を感じたり、どこかに行きたくなる、 そんな衝動に駆られる作品を熱い語りとともに紹介してもらった。

文学性と生々しさを表現する
シャラメの才能に思わず嫉妬
夏は太陽が燦々としていて、シャキッとした気分になる季節。そんなイメージから連想した作品が『君の名前で僕を呼んで』でした。自転車で自然の中を走ったり、プールで泳いだり、ひと夏の恋をしたり。僕も一度くらいはそういうバカンスを過ごしてみたいとうらやましくなります。登場人物のセリフが文学的なところがよくて、きれいな表現ばかりなのでスッと頭に入ってくるんですが、よく考えるとすごく深いことを言っている。また、映像的にも日陰がすごく鮮やかにスクリーンに映し出されているんです。そんな洗練された雰囲気がある一方、濃密で生々しいシーンが多いところもこの映画の魅力だと思います。そういうシーンでは役者の素の部分が無意識に出ているような気がしてドキドキしちゃうんですよね。

『君の名前で僕を呼んで』
©Frenesy, La Cinefacture
僕はこの作品で初めてティモシー・シャラメの演技に触れたんですが、それが本当に衝撃的でした。美しくて自分のスタイルを持っていて、演技をしているときとレッドカーペットを歩くときではまったく違う雰囲気を身にまとっている。まさに才能の塊みたいな人だと思います。映画の中で彼がピアノを弾くシーンがあるんですが、そこでも才能の豊かさが垣間見えます。「こんなに上手に弾けるなんて、ずるい!」と思わず嫉妬してしまいました(笑)。

内容としては、夏のひととき愛し合った2人が離れてしまう切ない物語です。恋が終わったことを知り、主人公のエリオが暖炉の前でぼんやりと座り込むラストシーン。ここはワンカットの長回しなのですが、セリフや動きが一切ないので、自分の中で思いを巡らせながら感情を表現しなくてはなりません。最後に名前を呼ばれて振り向く直前、一瞬カメラに目線を向けるんですが、そのときシャラメはいったい何を考えていたんでしょう? 観るたびに新しい発見がある、大好きなサマームービーです。
この作品もおすすめ!

『マイ・ガール』
「子どもたちのピュアな演技にキュンキュンしていたら、切ない展開が待っていました」。発売・販売元:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント DVD¥1,551
メンズノンノモデル
鈴鹿央士
2000年生まれ。メンズノンノモデル。2019年に俳優デビュー。TBSドラマ『スイートモラトリアム』や『18/40』などに出演。
Photos:Kyouhei Yamamoto Text:Kohei Hara Shunsuke Kamigaito
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