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服好きたちの私物のなかでも、とくに思い入れの強い「人生のベストバイ」を教えてもらう連載。ひとつには絞りきれないって? なら、3つ教えてください!
人生のベストバイ、3つ教えて!

今回の服好きゲストは、ビームスでプレスを務める岡村拓哉さん。
1.〈Alden×BEAMS PLUS〉の革靴

「ビームスには2019年にアルバイト入社しました。前職は金融系だったので、まったく違う業界からの転職でした。その頃は、普通に働いて、普通に稼いで、普通に家族ができて……って、将来もなんとなく見えてきていて、それがなんとなく面白くなかったんです。一回やりたいことやってみようかなって」

「やっぱり、好きなことを仕事にするのが一番幸せだろうな、とも感じていて、そんなとき、『努力は夢中に勝てない』っていううちの(社長の)設楽の言葉を見かけたんです。そこで、自分のなかで結構バチっと繋がったというか。いまでも、転職して本当によかったなと思ってます」

「このオールデンは、そうして入社してすぐくらいに買ったもの。ビームス プラス別注の『マンソンオックスフォード』ですね。当時先輩が履いていて、それがめっちゃ格好良かった」

「それこそ前職時代はスーツなので、『もうスーツは着たくない。革靴もイヤだ』と思っていたくらいなんです。でも、“制服の一部”みたいな感覚で、とくにこだわりを持たずに革靴を履いていたその頃と比べて、とくにカジュアルの世界にいると、革靴はむしろ“あえて”選ぶもので。着こなしの細かいところにこだわりを注ぐことの大事さにも、改めて気づきました」

「びっくりしたのは、マジで靴擦れしなかったこと。ミリタリーラストと僕の足の相性もあると思うんですけど、とにかく感動しましたね。これから何十年も履いていける靴だと思います」
2.〈Supreme〉のキャップ

「この春、LAへ出張に行きました。現地のドーバーストリートマーケットの横で、ビームスのポップアップを開催したんです」

「3泊5日、結構スケジュールがパツパツで、リサーチする時間すらないほどで、当然、自分で自由に使える時間もなかったんです。でも、せっかく来たからにはどうしてもなにか買い物したくて、ある日のパーティーの直前に『いましかない!』ってしれっと抜け出て、ドーバーへ行きました」

「そのときに見つけたのが、このキャップ。あまりブランドの主張が強くないのもよかったし、顔周りのハマりがよかったのも決め手でした」

「娘がいま1歳10ヶ月なんですけど、動物にすごくハマっていて、とくにライオンやトラが大好きなんです。で、ある時から、この刺繍を指差して『ガオガオ』言うようになって。ドラゴンなんですけど。そうなってからは、もうほかの帽子を被らせてくれません(笑) 娘のそんな喜ぶ姿を見られたので、それだけでこれはベストバイですね」
3.〈BOWWOW×BEAMS〉のジップパーカ

「これは、去年の秋冬シーズンに買ってから本当によく着ています。黒のこういうフーディって、あればあるだけいいですし、裏サーマルっていうところもいまの気分にぴったり。ラフに着られるものが、基本的に好きなんです」



「バウワウの特徴のひとつがダメージや色の加工なのですが、このフーディもまさに、全体にダメージ加工がほどこされています。娘と公園なんかで遊ぶときにも、これだけダメージ感があるとラクなんです。どうなってもいいと思って着られる。でもオシャレを楽しみたいっていう気持ちもあるから、そういう意味では、すごくいいバランスなんです」

「バウワウは、プレスになりたての頃から、別注のプロモーションを担当させてもらっています。『ビームスと言えば、別注』っていうイメージもあると思いますが、そうした仕事に就いてから、その魅力により触れるようになりました」

「ものづくりに近いところで、それが生まれる過程や、作り手の想いにじかに接していると、『当たり前じゃないな』って感じるんです。そしてそれを選んで身につけると、ならではの愛着も湧いてきます」

「実際、そういうモノのほうが、長く使っているかもしれません。なにかを長く使うとか、生産背景を大事にするとか、そういう時代でもあるじゃないですか。僕が洋服を選ぶ理由も、最近はそっち寄りになっている気がします」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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