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世界的ヒットシリーズ『ストレンジャー・シングス』と、〈ZOZO〉によるコラボレーション。そのクリエイティブの中心に立ったのが、同作のファンとしても知られる堂本 剛だ。作品への深い愛情と距離感を保った冷静な視点で作り上げられたアイテムたちのクオリティは圧巻。ファンとクリエイター、その両極を行き来しながら生み出された今回のコレクションには、“いきすぎない愛”という静かな哲学が息づいている。今回は制作に至った経緯からアイテムの詳細まで、多岐にわたって深掘っていく。
『ストレンジャー・シングス』
との出会いは?

――まずは、『ストレンジャー・シングス』との出会い、そして作品への想いを教えてください。
堂本 最初は、バンド仲間や音楽仲間から「剛くん、絶対好きやと思うから観たほうがいいよ」と言われたのがきっかけでした。忙しくてしばらく観ていなかったんですけど、時間ができたときにふと思い出して1話を観たら、そこから一気に扉が開いた感じで。オンタイムで追っていたわけではなく、「今さらハマってるの?」と言われるタイミングでした(笑)。ストーリーが面白いのはもちろんですけど、僕の世代にドンピシャなオマージュが多い。僕が好きなファンクミュージックの歴史も、リスペクトを込めたオマージュの積み重ねなので、すごく親和性があったんです。主役が1人じゃないところも好きで。エルという中心人物はいるけど、誰もが主役になれる。何度も観ることで視点が変わって、1回目では気づけなかったことが2回目で回収できる。その探究心が、何度も観たくなる理由ですね。
――魅力的なキャラクターはたくさん登場しますが、お気に入りのシーンやキャラクターというと?
堂本 正直、ありすぎて選ぶのが難しいんですけど......王道で言えばホッパーの手紙をエルが読むシーンですね。痛みをネガティブに伝えず、「痛みはいいものだ」と語る感覚は、日本人的な繊細さを感じて、すごくグッときました。監督・脚本を務めるショーランナーのダファー兄弟が日本文化に影響を受けたと語っているのも、すごく納得できます。


――『ストレンジャー・シングス』×ZOZOの三者コラボが実現した心境はいかがでしたか?
堂本 もちろんすごく嬉しかったんですけど、好きすぎるがゆえに距離感は悩みました。だから、ファンとしてどれくらい関わるか、クリエイターとしてどれくらい関わるかのパワーバランスを自分の中ですごく意識して。ZOZOチームと服を作るのは本当に楽しいですし、それが『ストシン』の世界観とミックスされていく過程は、ずっとワクワクしていましたね。
コレクションのテーマは
“いきすぎない愛”

――ディレクター、そしてクリエイターとして特に意識したポイントはなんでしょう?
堂本 テーマが“いきすぎた愛”だったので、僕の中では裏テーマとして“いきすぎない愛”を置いていました。ファンには喜んでもらえても、ファンじゃない人には届かない可能性がある。だからこそ、そのバランスをものすごく考えました。表と裏、その両軸で走らせた感覚です。
――完成したアイテムの中で、特に思い入れのあるものはありますか?
堂本 全部好きなんですけど、思い出で言うとスカジャンですね。ダファー兄弟のマットさんがファンイベントでサプライズで着てくれたり、取材前にたまたま居合わせたダスティン役のゲイテン・マタラッツォさんに「そのスカジャンいいね」と声を掛けてもらったり。会話のきっかけをくれたアイテムなので、特別ですね。
――「音楽とファッションの親和性」という感覚は、長年、音楽に携わってきた堂本さんだからこそお持ちなのだと思います。
堂本 昔は、音楽もファッションもヘアもフードも全部がもっともっと連動していた時代だったと思うんです。この服を着て映画を観に行く、とか、この格好でご飯を食べに行く、みたいなことが当たり前にあった気がします。でも今は便利になった分、失敗も減るし、効率的。その結果、好きなものが細かく分かれてしまった気がするんです。そういった時代の変化を感じる中で、作品とファッションが連動する時間を、もう一度作りたかったんです。この服を着て、そのシーンを観る、みたいな体験。名シーンごとに服を着替えたりして、物語に没入してもらえたら面白いなと。忙しそうですけど(笑)。ファンにとってはもちろん、ファンではない人にとっても、その世界へ出入りする“ゲート”になるような存在を目指したいんですよね。コラボ感が強すぎると、どうしてもファン以外は入りづらくなる。でも、作品に惹かれたきっかけの感情をファッションに落とし込めたら、自然と輪は広がっていくと思ったんです。ぜひアイテムを着用して、シーズン1から最後まで一気に駆け抜けてほしいですね。
『メンズノンノ』読者におすすめのアイテムは?

──最後に、『メンズノンノ』読者に向けたおすすめアイテムを教えてください!
堂本 すべてのアイテムに愛情がこもっているので、選ぶのは難しいですが......。このプリントデニムは年代問わず、いろんな人に好評ですね。表と裏、ふたつの世界を表現したデニムで、若い世代の反応もすごくいい。スウェットやプリントアイテムも、洗いを重ねることで生まれる経年変化まで楽しんでほしいです。今回のコレクションでは日本文化の要素も随所に散りばめられて。漢字の当て字だったり、墨絵のモチーフだったり。海外の人から見たときに、“自分の国にはない”と感じてもらえるものを入れたくて。僕が奈良出身というルーツも、日本文化への意識を強めた理由の1つです。日本の古(いにしえ)の文化には、ファッションに転用できる要素がたくさんあって。全部を出すのではなく、スパイスとして振りかける。その感覚はずっと大事にしています。


堂本 剛
クリエイティブ・プロジェクト『.ENDRECHERI.』を通して、ジャパンカルチャーをスパイスに、音楽、ファッション、アートを横断するクリエイティブプロデューサーとして、新たな概念と体験を発信し続けている。Pファンクの創始者ジョージ・クリントンに感銘を受けながら、ファンクミュージックを軸にしたジャンルレスな音楽を世の中へとアウトプットしている。2022年には、ファンク専門の米音楽メディア「Funkatopia」が選ぶ「2021年ベストファンクアルバム20」に、アルバム『GO TO FUNK』がプリンスやシルク・ソニックらの作品と並んで選出され話題となった。 ジョージ・クリントンのバンド、パーラメント・ファンカデリックのメンバーとしてライブ出演し、その後「雑味 feat. George Clinton」をリリース。2025年、ミニアルバム『END RE』をリリースし全国9箇所約3万人を動員する全国ツアーを開催。世界的IPである「パックマン」やNetflixシリーズ「ストレンジャー・シングス 未知の世界」とのファッションコラボアイテムをプロデュースしている。2026年4月にはバースデーライブ「47」を、5月〜6月にかけて全国6箇所10公演を巡る全国ツアー「NEW CHAPTER」を開催予定。
Photos:Yuiko Yasukawa
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