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オシャレな人のコーディネートに欠かせない小物と言えば、帽子は外せない。人気セレクトショップのプレスやスタッフなど服好き4人の“人生のベストバイ”ともいえる愛用品を、こだわりのコメントとあわせてチェックして。
1.〈Nick Fouquet〉のオーダーハット

「高校の卒業旅行では、アメリカにも行きました。このニックフーケのハットは、そのときにカタコトの英語でオーダーメイドしたもの」

「ずっと憧れでした。ちょうど店舗のあるLAに行くと決まって、行くからには、絶対に作ろうと思って」


「表地から、リボンも裏地もひとつずつぜんぶ選んで。で、フィニッシュの工程でハットに火をつけるんです。そのときに使われたマッチがこうして付属します。後日、出張でパリに行くときの空港で、マッチの存在を忘れていて止められてしまって(笑)。マッチとライターを両方持っていると飛行機に乗れないんですよね。もちろん持っていたライターは諦めて、1回だけ、このマッチを使ってタバコを吸いました」

「じつは昔、祖母が服作りを仕事にしていて、僕も遊び道具感覚でミシンを使ったりしていました。それから文化服装学院に入って、ファッションを勉強しながら、僕もいまだに服作りをずっと続けています。だから、やっぱりオーダーメイドには惹かれるところがある」

「入社してから開催されたイベントでも、ほぼ必ずオーダーしています。オーダーしたものって根本的に自分の好きなものの塊なので、既成服とはぜんぜん違うんですよね。深く考えずオーダーしたものでも、合わせて着てみると、自然とまとまったり。なんだかんだ手放したこともありません。大人になるにつれ、『一生着られる』みたいなところには、より魅力を感じるようになっている気がします」
2.〈Screen Test〉のキャップ

「映画といえばウォン・カーウァイが大好きで、インスタで流れてきたこのキャップは即決でした。スクリーンテストというロンドンのブランドがリリースしたキャップで、監督の名前が刺繍でレタリングされています」

「このキャップのデザイナーは、95年に公開された『FALLEN ANGELS』っていう作品がとくに好きらしくて、そこを起点に、94年公開の『Chungking Express』と2000年の『IN THE MOOD OF LOVE』のそれぞれの年号を並べたそうです」

「もちろん僕も3つとも観ていて、香港の、湿って鬱屈とした都会感がツボです。東京の暑い夏も、なんとなくその映画の雰囲気を思い起こさせるものがあって、夏に被りたいキャップですね」


「自分で着る洋服は、できるだけ自分につながりのあるものにしたいと思っています。適当に選びたくないっていう、反骨精神の表れでもあるかもしれません。でもそういう洋服を身につけていると、『それなに?』って日常的に突っ込まれることも自然と多くなって、そういうのもうれしいんですよね」
3.〈Supreme〉のキャップ

「この春、LAへ出張に行きました。現地のドーバーストリートマーケットの横で、ビームスのポップアップを開催したんです」

「3泊5日、結構スケジュールがパツパツで、リサーチする時間すらないほどで、当然、自分で自由に使える時間もなかったんです。でも、せっかく来たからにはどうしてもなにか買い物したくて、ある日のパーティーの直前に『いましかない!』ってしれっと抜け出て、ドーバーへ行きました」

「そのときに見つけたのが、このキャップ。あまりブランドの主張が強くないのもよかったし、顔周りのハマりがよかったのも決め手でした」

「娘がいま1歳10ヶ月なんですけど、動物にすごくハマっていて、とくにライオンやトラが大好きなんです。で、ある時から、この刺繍を指差して『ガオガオ』言うようになって。ドラゴンなんですけど。そうなってからは、もうほかの帽子を被らせてくれません(笑) 娘のそんな喜ぶ姿を見られたので、それだけでこれはベストバイですね」
4.〈DAISO〉の麦わら帽子

「大学時代、たしかフェスに行こうとしていて、街でも被れる麦わら帽子を探していました。ダイソーで偶然見つけた100円の麦わら帽子がちょうどよくて、それから8年以上使っています」

「帽子メーカーだと平気で1万円以上して、当時の僕にとっては高い買い物だった。それに、正直、何でもよかったんです。去年ダイソーでまた同じのを見つけて、ストック買いしました」

「値段が高いもの、クオリティーの良いものが、自分にとっていいものとは限らないと思っています。いまは27歳ですが、僕がやたらメゾンの洋服ばかりを身につけても、身の丈に合わない感じがする。いいものに甘えて、慣れてしまいたくないんです」

「いつもダイソーでは、日用品を買ったついでに、靴下やベルトとかそういうコーナーを覗いてみるんです。去年ヘッドフォン代わりにイヤーマフを買ったり、最近は帽子に後付けできるアゴ紐を買ったり、あとウーフォスもどきみたいなサンダルも持っていたりします。ドン・キホーテも、同じようにして楽しむ場所ですね」

「だれもファッション目線で見ていないものを、気づかれないようにオシャレに見せたい、みたいな気持ちもつねにあります。正統派ファッション路線では、知識も経験も豊富なベテランの先輩方に絶対敵わないので、そうやってかわしているだけなんですけどね(笑)」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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