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人気連載『服好きたちの人生のベストバイ3』より、今回は愛用シャツをピックアップ。人気セレクトショップのプレスなどオシャレな3人が本気で買ってよかった“運命のシャツ”とは?
1.〈Wrangler〉のチェックシャツ

「最後に、ラングラーの古着のチェックシャツ。ある古着屋のインスタで見かけて気になって、その日にすぐに買いに行ったものです。お店のひと曰く、50sとかそれくらいの年代のもの」

「ライトフランネルの生地も、配色も、チェック柄も、どこを見ても完璧。たぶん、もともともう少し大きかったのが、縮んで丈長のシルエットになったんじゃないかと思います」


「あと、前の持ち主によるリペア跡がかなりあるんですが、そのリペアがかなり高いレベルでデザインとして成立しています。無造作なんだけど、整えるべきところは整えてある。あるとき着ていたら、デザイナーの友人から『N.ハリウッドがいいシャツつくってるな〜と思ったら、古着なんだ⁉︎』って驚かれたくらい」

「これまで、古着をはじめいろんな洋服を買ってきて、もちろん手放しちゃうものとか、いつまでも長く着続けるものとかいろいろあるなかで、このシャツは、そのどこにも属さない存在」

「『(洗濯が怖くて)着ることはほとんどないけど、手放したくない』。そういう心持ちになる洋服って、自分のなかでは初めてで、だから、人生のベストバイに選びました」
2.〈Cale〉のシャツ

「シャツはとくに好きな洋服です。このカルのシャツは、縫製などのつくりがドレスシャツみたいにものすごく綺麗なのに、身幅はゆったりしていたり、ボタンパーツもいわゆるドレスのものとはちょっと違ったりして、“ファッションしすぎていない”バランス」

「『ドビー』と呼ばれる、少しハリのある生地が使われています。いまはシップスのカジュアル部門にいますが、店舗に立っていた頃はドレス担当で、正直、その頃はちょっと敬遠していた素材なんです。いわゆるなサラリーマンが着ているような“ワイシャツ”に使われることが多い生地なので」


「このシャツを最初にパッと見たときも、『ああなるほど、ドビーね』って。でも、触って、着てみたら、その印象がガラッと崩されました。『こういうアプローチなら、むしろ着たいな』と、納得して。良質な素材がどういうアプローチで洋服のかたちに仕立てられるか、みたいなところは、洋服を見るときに特別気にするところかもしれません」

「僕のなかで、カルはめちゃくちゃ東京っぽいと思うブランド。ついこのあいだ展示会に伺ったとき、デザイナーの佐藤さんと初めてお会いしたのですが、ものすごく素敵な方で、ファンになっちゃいました。モノやルックの世界観でブランドを好きになることはあっても、そうやってデザイナーさん込みでファンになるなんて、僕にとっては初めての体験なんです」
3.〈MARNI〉のウールシャツ

「このマルニのウールシャツは、丸の内店の販売員だった頃の2018年に買ったもの。シャツといっても、ルーズフィットで、生地もしっかりして上品なので、アウター感覚で着ることもできます。レセプションとか会社の行事とか、そういう、スーツでかしこまるほどではないけど特別な日にも、かなり頼りになるんです」

「春とか秋とか、そういう中間の時期にいかに長く着られるかは、買い物のときに気になるポイント。そういう洋服の方が、自分のワードローブになっていきますし」


「色はブラックを選んだのも同じような理由からですね。やっぱりベーシックなほうが長く着回せます。買い物のときは、わりと先のことも考えて、慎重に行くタイプかもしれません」


「そもそもは、広告か雑誌かで、誰かがこのシャツを着ているのを見たんですよ。それで影響を受けて買ったんです。当時もいまも、結構ミーハーで(笑)。でも、だからこそ、お客さんの目線にも立てるというか。そういうところも、自分の個性として大事にしていきたいと思っています」
Photos: Shintaro Yoshimatsu Composition&Text: Masahiro Kosaka[CORNELL]
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