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モードの世界でいち早く注目を集め、復活の兆しを見せていたフレアパンツがいよいよストリートに降臨! ある意味、近年のファッション傾向の真逆をいくだけに、はくだけでぐっと新鮮な気分が味わえるアイテム。そのヒストリーや古きよきカルチャー的背景もひもときながら、今買うべき1本を見つけたい。
リバイバル? それとも新たなトレンド!?
「フレアパンツ」を
始めるなら今だ!
LAD MUSICIAN
上品なフレアスラックスを、
ほどよくユルいムードで
ひざ下から裾にかけての美しいフレアシルエットがエレガントさを引き立て、かつ美脚効果をもたらすセンタープレス入りのウールスラックス。ラッド ミュージシャンらしい洗練された1本は、まさにフレアパンツを今の気分ではくのにジャスト。モヘアのアーガイルニットカーディガンで適度にリラックス感を持たせつつ、足もとをスポーティなスニーカーでハズして。
なぜ裾は広がった!?
まずはトレンドの系譜から知ろう。
1970s
1960〜70年代はミュージシャン、俳優、アスリートら当代きってのセレブリティたちもフレアパンツ=ベルボトムを日常的に愛用していた。
GEORGE BEST 1976
英マンチェスター・ユナイテッドで華々しい活躍を見せたサッカー界のレジェンド、ジョージ・ベスト(左)はオフピッチでの洒落(しゃれ)男ぶりも注目の的だった。
GEORGE HARRISON 1969
ヒッピー文化から影響を受けてサイケデリックサウンドに傾倒した同時代のザ・ビートルズ。ベルボトムをさっそうとはきこなすジョージ・ハリスンのスタイルはその象徴でもあった。
ROBERT DE NIRO 1975
映画『タクシードライバー』のスチールから、若き日のロバート・デ・ニーロ。ジャケット+ベルボトムのシックな合わせが今見てもみずみずしい。
THE ROLLING STONES 1975
ツアー移動中も隙のないベルボトムルックで決めていたザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガー(右)とキース・リチャーズ(左)。まさに時代が生んだファッションアイコンだ。
2022
ストリートのトレンド傾向をいち早く感じ取ることができるのがファッションウイーク期間中のパリやミラノの街角。2022-23 A/Wファッションウイークでは、このようにコレクション会場周辺でフレアパンツをはきこなすファッションピープルがずらり。
SNAP ON THE STREET 2022
まるで70年代のベルボトムを彷彿(ほうふつ)させるフレアデニムを鮮やかなイエロートップスに合わせてキャッチーに着こなしている。
武骨になりがちなワークテイストのコーディネートを白ベースの配色とフレアパンツでクリーンにまとめた。
アディダスのベルベットのフレアトラックパンツをツイードジャケットに合わせ、スポーティでリラックス感がありながらもシックに。
ブルーのフレアデニムに白ニット(右)、黒のフレアスラックスに白ジャケット(左)と、ホワイトのトップスで上品にまとめるのもフレアパンツのコーディネートを古めかしく見せない秘けつ!?
フレアパンツの歴史を知れば、コーディネートが
より楽しく、スタイルに深みが増す
「流行は回るもの」。昔からよく言われているその格言(!?)を如実に体現しているのが近年の「フレアパンツ」の再登場。数年前からじわじわとパリやミラノのランウェイで目を引くようになっていたが、この秋冬は日本でも多くのブランドから展開されるなどトレンドが本格化しそうな勢いだ。
そんなフレアパンツの源流をたどると19世紀のアメリカ海軍の制服がもとになっていたり、1950年代にはロックンロールアイコンのエルビス・プレスリーのステージ衣装の定番だったことでも有名だが、初めてファッションアイテムとしてメジャーになったのは60年代後半から70年代にかけて。ヒッピー・ムーブメントの広がりとともに、その象徴である“体制へのアンチテーゼ”の証として当時「ベルボトム」と呼ばれた“裾広がりのパンツ”が世界中で大流行。写真のようにザ・ローリング・ストーンズをはじめ著名人たちもこぞって愛用したことから時代を象徴するベーシックボトムとなったわけだ(日本でも「パンタロン」と呼ばれて一大ブームに)。
その後80年代に入ってから一度影を潜めたフレアパンツだが、90年代後半〜2000年代前半に最初のリバイバルが起こる。70年代ファッションやボヘミアンスタイルの流行とともに、リーバイス®︎でいうところの646や517といったフレアデニムがストリートを席巻した。
そんな流れを経ての現在、である。70年代よりも裾の広がり具合は抑えられ、二十数年前の第一次リバイバルと比べても断然シルエットは今っぽい。加えてデニムやスラックスのみならずトラックパンツなどのイージー系もあったりバリエーションも実に豊富だ。それらをほんの少し、古きよき時代のエッセンスを自分なりに解釈しながらコーディネートしてみると着こなしにぐっと奥行きが出るはずだ。
狙うべきはまず“スラックス”から。
タイプ別はきこなし術
TOGA VIRILIS
側章スラックスは
同系色のスニーカーでスポーティに
タキシードライクな側章付きネイビースラックスならフリースジャケットやパーカとのラフな合わせもぐっとモダンに。スニーカーのトーンをスラックスに合わせるのも着こなしを引き締めるコツ。
【POINT】
Sasquatchfabrix.
ベルベットタイプは
茶系トーンでまとめて艶っぽさを抑える
艶やかなベルベットのフレアスラックスは、5ポケット型に茶系色も相まってコーデュロイパンツ感覚でカジュアルにいける。足もとはゴツめの革靴でやや武骨に。
【POINT】
CMMN SWDN
モードに攻めるならスリット入り。
武骨なアイテムでメリハリを
裾に施された深いスリットが、エレガントな中にもモードやパンクのエッセンスを漂わせているチェックのフレアスラックス。ベルテッドジャケットでクラシックにまとめつつ、ボリュームのあるアイボリーのブーツで足もとの存在感をより際立たせてもイイ。
【POINT】
NEEDLES
より大人っぽくいくなら
ブーツカットをジャストレングスで
広がりを抑えた適度なブーツカットに軽くて強度の高いポリエステルツイル生地。そんな昔ながらのアメリカのプレストパンツを思わせる1本をジャカード柄でよりシックに。ノークッションのジャストレングスが上品だ。
【POINT】
“デニム”こそフレアの王道。リジッドとウォッシュド、どっちでいく!?
(左)BASICKS
(右)Wrangler×F/CE.®
[左]ウォッシュドはストリート気分でいきつつ
レザーで引き締めて
長くはき込んだような自然な色落ちがいい感じのブーツカットデニム。足もとはコンバースで90年代のストリートテイストを意識しつつ、レザーのハーフコートでシックにまとめたい。
[右]クラシックなリジッドデニムを
ジャケットスタイルで端正に
ラングラーの70年代の名作モデルがベースになったセンタープレス入りブーツカットデニム。チェックジャケット+ミリタリー調のコートで渋みのあるオトナなクラシックスタイルを楽しみたい。
“トラックパンツ”も、裾が広がるだけでイージーなのにエレガント
FORSOMEONE
ユルいけどきれいめにはける
レトロトラックパンツ
70年代の海軍トレーニングパンツがもとになったサイドライン入りのレトロなトラックパンツ。ほどよいフレアシルエットとセンタープレスがスエードシューズとの相性を高め、スポーティながらエレガントに着こなせる。
Photos:Tomoaki Shimoyama Hair:KANADA[LAKE TAJO] Stylist:Hiroki Sato Models:Eriya Rintaro Mizusawa[Both are MEN’S NON-NO models] Composition & Text:Kai Tokuhara
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