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「ファッションが考えるべきサステイナブルについて」デザイナー・石川俊介さんに聞く

「ファッションが考えるべきサステイナブルについて」デザイナー・石川俊介さんに聞く

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サステイナブルなブランド「テクスト(TEXT)」デザイナー・石川俊介さんに、これからのファッションが考えるべき“サステイナブル”について聞きました。

石川俊介さん/デザイナー
1969年生まれ。2002年に「マーカ」を立ち上げ、09年に「マーカウェア」をスタートする。11年に東京・中目黒に直営店「PARKING」をオープン。19年秋冬より、サステイナビリティを打ち出したブランド「テクスト」を展開している。

持続可能な未来のために環境と
人権への配慮が大切

2019年の秋冬シーズンから、サステイナビリティを前面に打ち出したブランド、「テクスト(TEXT)」を立ち上げたデザイナーの石川俊介さん。「マーカ(marka)」や「マーカウェア(MARKAWARE)」を手がけるなかで、「テクスト」を構想した理由──その出発点は、趣味である「食」であった。石川さんは、日本のファッションブランドを牽引する存在であり、好きなことに全力を注ぐ趣味人でもある。好きが高じて、コーヒーとチョコレートの店を開くほどだ。そこで、ある疑問が湧き上がったという。

「コーヒーやチョコレートは、生産者や生産地、品質管理、流通が消費者にわかるようになっている、トレーサビリティ(追跡可能性)が世界でしっかり確立されているんです。それらを重んじるサードウエーブコーヒーやビーン・トゥ・バーの人気もあり、背景が見える飲食が私たちの生活に浸透しています。そんな取り組みをすばらしいと思ったときに、私が昔から大好きで、主に関わっている服はどうなんだって考えたんです。調べていくうちに、地球環境への配慮や働き手の人権に関して、かなり遅れていることを知りました。アウトドアブランドの『パタゴニア』が先駆者として取り組んでいる中で、自分は何もできていなかったと危機感を覚えて。

それから、まずは始めやすいオーガニックコットンを使った服を『マーカウェア』でスタートさせ、7年ほどトレーサビリティ、サステイナビリティと向き合ってきました。天然繊維を使うことを基本姿勢とすると、扱いは食べ物と同じ農作物。なのに、業界がファッションになると、商品が完成するまでの加工工程で間に人が入り、中身が見えづらくなってしまう。そこを整理して、地球にも私たちにもよりいいものを追求したかったんです」

その集大成が「テクスト」である。服を構成するtexture(生地)をcontext(情報の背景、文脈)で伝えたいという思いを込めた名前に、石川さんの強い意志が感じ取れる。それと同時に、自分が率先してtexter(メッセージを送る人)になろうという意気込みもあるのだろうと、勝手ながら推測する。

「『マーカウェア』でも長くサステイナブルを考えていましたが、十数年やっているメンズブランドなので、多くの人に伝わりづらいと思っていて。私の思いや掲げるコンセプトを知ってもらうために、メンズもレディースも展開するブランドとして新しいブランド、『テクスト』をスタートさせることにしたんです。そもそもサステイナブルは、sustainable development(持続可能な開発)を指し、現在国連が掲げ、世界で進めている取り組みのこと。経済を守りながら、環境と人権を正しく整えて未来へ進もうという内容です。化石燃料を使わない。化学薬品や染料で川を汚染しない。劣悪な環境で働かせない。私たちは地球のためにも、ひいては自分のためにも、そういう服づくりをしていかないといけません。なので私は、原料の生産背景を確認できるように、自ら生産者を探し、取引をしています。

今は、アルゼンチンからウールを、ペルーからアルパカとコットンを、インドからコットンを仕入れて、テクストの生地を作っています。コットンやアルパカなどの動物の毛は、再生可能な天然の素材です。例えば、アルパカは1頭で良質な毛が取れる時期は7年ほどですが、子を産めば世代をわたって手に入りますし、農作物がほとんど育たないアンデス山脈の標高4000mの草原で暮らしているので、その土地に住む人々の大切な収入源になる。コットンも農薬や化学肥料を使わない人たちから買っています。そういう方たちをサポートしていくことも大切にしています。また、現地の方と直接つながることで、情報も早いし気になることはすぐに聞ける。それが何より楽しいんですよね。また、こういったサステイナビリティに関する取り組みや情報を、より多くの人に知ってほしいので、自分は"ひとりメディア"だという意識を持って、日々の活動の糧にしています」


アルゼンチンのウール

警戒心が強い羊。柵の中でおとなしく過ごしている。

刈り取ったばかりの羊の毛。「自然の中で育つ羊の毛には泥や油がついているので工場内で洗毛します。スライバーと呼ばれる毛の束で繊維の柔らかさ、長さを確認」

「アルゼンチン・パタゴニアの広大な牧場でガウチョたちと、羊毛会社『フルマン』のウィリー(右端)、そして牧羊犬とともに記念撮影」

大きめに作られた衿がクラシックな表情を演出。パンツは両脇の縫い代が外に出ていて、敏感肌の人にもぴったりだ。セットアップで着られる。シャツ¥38,000・パンツ¥40,000(ともにテクスト)/パーキング


ペルーのアルパカ

農業ができない標高4,000mを超える草原で、数百頭のアルパカが自由に育てられている。

「白のイメージが強いアルパカだけど、犬のプードルのようにさまざまな色がいます。天敵がいないエリアに生息しているので好奇心旺盛」

毛刈りが終わったばかりのアルパカ。「体を傷つけないように、毛を1㎝ほど残しながら電動バリカンで刈っていきます。熟練職人が数分できれいに仕上げます」

クリンプ(毛の波打ち)がきれいなベビーアルパカの毛。空気をしっかりと含むので、あたたかい生地ができる。

染色していない白、ブラウン、ブラックのアルパカの毛をそのまま使い、千鳥格子柄を織っている。ブルゾン(テクスト)¥108,000/パーキング


ペルーのコットン

アンデス山脈の東側斜面に広がる、アマゾン川源流域の熱帯雨林で育つワイルドカラーコットン。

「ジャングルの近くの村では家の前に綿花を植えており、手摘みで収穫」

中南米の綿には多様な色があり、濃度の異なるブラウンやグリーンなどは非常に希少だ。

熱帯雨林の村では、手紡ぎした糸で生地を織り、天然の染料で染める。

リブと裏にブラウン×ホワイトのコットンを、表はナチュラルカラーのアルパカを採用した1着。パーカ(テクスト)¥40,000/パーキング


インドのコットン

「現在のオーガニック農法の源流である、ドイツ人のシュタイナーがまとめたバイオダイナミック農法を採用」。

「動物との共生や化学肥料の不使用が特徴のバイオダイナミック農法では、牛が畑を耕し、フンから堆肥を作ります」。

害虫対策にニームの実やニンニクを使用。

収穫したコットンから種を取り除く工場で働く民族衣装を着た女性たち。

インドの超長綿を日本のシャトル織機で高密度で織った生地。ハリがあって上品な表情。シャツ¥35,000(テクスト)/パーキング

本藍で染めた生地を、ほとんど水を使わないオゾンウォッシュで脱色。パンツ¥30,000(テクスト)/パーキング

石川さんが記録用に各国で撮影した写真やムービーは、生産者や生産地のありのままを映すと同時に、服の裏側にある文脈をダイレクトに伝えてくれる。人によってはそれが、身につけるものに対しての「安心」になるし、趣味としての服の「うんちく」になる。地球と人に配慮しながら、大好きな服を楽しむことができ、こうして石川さんの思いは広くつながっていく。

※価格は全て税別です。
Photos:Yuichi Sugita[POLYVALENT]
Composition&Text:Hisamoto Chikaraishi

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