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おしゃれプロが推しの古着屋を紹介する連載。今回はタレントや広告のスタイリングで活躍するスタイリストの八木啓紀さんが、専門学校時代の同級生がマネージャーを務めるLIMBO(リンボー)へ連れていってくれた。意外な陳列の仕方に目からウロコが!
学芸大学 LIMBO(リンボー)
今回のお店を訪ねたのは…
【どんな店?】
ジャンルや年代にこだわらない
実在の人物をオマージュした陳列

実は古着店が多く、古着通の間では通う人も多い「学芸大学」エリア。リンボーは2024年1月にオープンした新参店だ。駅近ではなく、学芸大学駅西口から徒歩10分ほどの駒沢通り沿いにある。ガラス張りで見通しがよく、路面店だから入りやすい。

床はコンクリートむき出しだが、壁は白く随所にウッドが配され、あたたかみがある。約65㎡と広めの店内に、古着がゆったりとディスプレイされていて見やすい。
リンボーを立ち上げたのは八木さんのバンタンデザイン研究所時代の同級生で、原宿の人気古着店出身の安部博志さん。卒業後、スタイリストのアシスタントを経て古着店に就職し、14年間勤め上げて独立。リンボーのマネージャーに就任し、店舗デザインからバイイングまでを行う。

LIMBO(リンボー)という店名は“宙ぶらりんのどっちつかずな状態”を意味するin limboに由来する。「何でもありな商品構成にしようと思って、この名前にしました」と安部さんが語る通り、ジャンルや年代にとらわれず、ノリを重視して古着をピックアップする。
とはいえ、リアルなストリートを体感し、15年以上バイヤーをしてきた経験から“ブレない軸”はしっかりとある。買い付けは年に3回ほどアメリカで安部さんが行い、ポロ ラルフ ローレンやリーバイス、パタゴニアといったおなじみブランドやバンドTなど、古着好きにうれしいアイテムもがっちりラインナップ。

リンボーがほかの古着店と大きく異なるのは、その陳列方法だ。店内に入ると、商品がジャンルや色別に並んでいないことに気づく。実はラックごとにファッション感度の高い実在の人物をモチーフにして、その人のワードローブにありそうなアイテムをまとめて並べているのだとか。
「おしゃれな人って、いろいろな服を着るじゃないですか? トラッドが好きな人でもアウトドアブランドを取り入れたり、スポーツウェアをMIXしたりします。何でもありなリンボーらしいディスプレイを考えて、人物別にしました」と安部さん。

言われてみればラックごとにキャラクターが異なるのがわかる。最近取り入れた入口のガラステーブルのディスプレイも然り。俯瞰するとひとつの人物像が浮かび上がってくる。

陳列はラックが中心で棚は店の奥のコーナーだけ。ここには帽子やバッグの古着のほか、神戸の靴職人が手がけるビスポークシューズブランド、OLDMAN(オールドマン)の革靴が並ぶ。「とても履きやすくて僕が愛用していることもあり、唯一新品で仕入れています」(安部)。

店内の素敵なアクセントになっているウッドの椅子の上にも古着が並ぶ。このときはドッグプリントのTシャツ、無地のカラーTシャツとトラッドベースのアイテムがコーディネートでセレクトされていた。
【スタッフはどんな人?】
ほどよい距離感で接客してくれる
セレクトショップ出身のナイスガイ
安部さんとともに店を切り盛りするのは小坂太一さん。小坂さんは大学時代から安部さんが勤めていた原宿の古着屋さんの常連で、大学卒業後はセレクトショップに勤務していた。もともと古着好きだったこともあり、安部さんが独立するタイミングで転職。

リンボーの立ち上げスタッフとして準備期間から安部さんをサポート。この物件にしたのも小坂さんに背中を押されたからだとか。ヒゲのせいでちょっとこわもてに見えるが、絶妙なタイミングで立ち回ってくれるナイスガイ。
「駅から離れた住宅街という立地ならではのご近所の方との出会いもあって、この空気感で接客できるのがとても楽しい」とやさしい口調で語ってくれた。
学芸大学 LIMBO(リンボー)の
おすすめアイテム5選
レギュラー、ヴィンテージがランダムに並び、ときに新古品も散見する幅広いセレクト。アメリカ古着の王道だけでなく、安部さんの視点が活きるユニークなものも多い。そんなリンボーらしさが伝わるおすすめ5選はこちら。
1_リーバイスのポケT

デニムのような色合いが目を引くTシャツ。リーバイスと聞けば「なるほど」と納得。「Tシャツなのにデニムっぽい風合いが面白くてピックアップしました。しかもリーバイスのビッグEという、ありそうでないポケTです」(安部)

1971年にLEVI’SからLevi’sへと社名表記が変わって、やがてタブの表記もスモールeで統一されるように。このTシャツはステッチにジーンズのようなオレンジイエローを取り入れている点も出色だ。
2_フットボールTシャツ

シカゴのライフガードのユニフォームとしてつくられたフットボールTシャツ。「70年代に流行したフットボールTですが、カレッジっぽいプリントや白ボディをあまり見ないので、これは希少だなと。ネックのダメージ具合も絶妙です。太めのショーツとコーディネートしてほしい」(安部)
3_エディ・バウアーの
パジャマパンツ

チェック柄にビッグフットのようなモチーフがプリントされたパジャマパンツ。「面白いカジュアルアイテムをいつも探しています。パジャマパンツはそんな中のひとつ。エディ・バウアーのヴィンテージダウンよりも、あまり価値はないけれどユニークなものを見つけるとテンションが高くなります」(安部)。
4_ハードロックカフェの
スウェットパンツ

世界中にチェーン展開されているハードロックカフェのマーチャンダイズ。「ポリ混のスウェットに目がないんです。コットン100%だとここまでやせたスウェット生地は見つかりません。レッグサイドのDENVERのアップリケも余計ですが(笑)、かわいい。モテなさそうなところがいいんです」(安部)。
5_ファティーグ風
フーデッドジャケット

メンズ、レディースにもこだわらず、いいと思ったものは買い付けるリンボー。「ファティーグジャケットをサンプリングしていながら、ちょっとドルマンスリーブ風とレディースならではのデザイン。ミリタリーサンプリングものは好きで、よく買い付けています」(安部)。

フードも折り返してカフができるメンズにはない仕様。ブランドタグがミルスペック風になっているのも安部さんのツボに入ったそうだ。
次回はスタイリスト八木さんが
気になったアイテムやコーディネートを紹介!
SHOP DATA
住所:東京都世田谷区下馬6-18-8-105
営業時間:平日15:00~22:00・土日祝日14:00~21:00
不定休(インスタグラムを要チェック)
Instagram:https://www.instagram.com/limbo_tokyo/
HP:https://limbo.katalok.ooo/ja

Photos:Kaho Yanagi
Composition & Text : Hisami Kotakemori
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