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今回は、スティーブ・ミラーについて。
ブルースギタリストとして60年代後期から70年代にかけて活躍しました。あまり有名ではありませんが、グレイトフル・デッドやジミ・ヘンドリクスらとツアーやレコーディングを繰り返していて、当時は人気があったそうです。
紹介したいのは『Fly Like an Eagle』というアルバム。聴いて、驚きました。それまではブルースを土台にした渋い曲を作っていたスティーブ・ミラーが、急にエレクトリックな要素の強い曲を作り始めたからです。1曲目の“Space Intro”というタイトルからして、絶対にブルースではないとわかりますね(笑)。浮遊感のある連続した電子音は、まさしく“宇宙”。2曲目の“Fly Like an Eagle”のギターリフへと繋がる流れは、痺れるくらいかっこいい! アメリカの男臭〜いロックミュージシャンが生み出すスペーシーな音はとても新鮮で、このアルバムは400万枚を超える大ヒットを記録しています。以降、彼は“Space Cowboy”の愛称で呼ばれることに。
この作品のヒットには、その完成度のほかにも実は理由があります。それは、1969年のアポロ13号の月面着陸。人々が宇宙の存在を意識し始めた影響は大きく、音楽や映画、ファッションにも新しい流れが続々と誕生しました。映画ではスタンリー・キューブリックの映像美が有名な『2001年宇宙の旅』、ファッションではピエール・カルダンやクレージュなどの“コスモルック”。音楽にも、未来的で宇宙的な要素がどんどん加えられていきます。
Archives of Pierre Cardin
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60年代から70年代の初頭、様々なジャンルで面白いものが増えているんですよ。今から50年近くも昔、科学技術もそこまで発達していない時代なのに、古臭さを感じさせないことにロマンを感じます。スティーブ・ミラーの実験的な音楽が、世間に受け入れられたことも理解できますね。
前回のブログで紹介した“アンビエント”もそうですが、僕はスペーシーな要素を感じる音楽にとても魅力を感じます。時代背景への興味もありますが、心地良さと格好よさのバランスが気に入っているからです。当時の音楽には「古い」だけには収まらない独特の雰囲気があるので、ぜひ聴いてみてください。
80sの「Cartier」のメガネは、どことなくスペーシーかな?笑
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