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あの夢のような3日間からもう1ヵ月。月日が経つのは早いもんです。
4月23日発売の「SPUR」(シュプール/集英社・刊)最新6月号を拝見しましたら、3月末に来日された「CHANEL」(シャネル)デザイナーのカール・ラガーフェルド(Karl Lagerfeld/1933年9月10日生)氏のインタビューが掲載されており、興味深く拝読した次第。
そういえば、僕も、I佐編集長についてって、カール・ラガーフェルド氏の来日記者会見とパーティにお邪魔させていただいたのでした。
今回のラガーフェルド氏の来日は、主な日程では2012年3月21日から23日までの3日間。
初日(3/21火)は、彼が共同制作者であるカリーヌ・ロワトフェルド(仏「VOGUE」前編集長)女史と手掛けた写真展「リトル・ブラック・ジャケット」(既に終了)のローンチパーティ。
2日目(3/22水)は、新宿御苑に豪華特設会場を設置してお披露目された、東京初開催となる、「シャネル」2012年春夏オートクチュールコレクションのランウェイショー。
ショーはI佐が拝見したそうですが、ヴァネッサ・パラディやサラ・ジェシカ・パーカーらのセレブリティのほか、各国のトップジャーナリストや編集長クラスなど、新宿御苑が花の都パリに瞬間心重なってしもうたわしるぶぷれ状態だったそうです。
で、3日目(3/23木)は、パークハイアット東京で行なわれた今回の来日に関しての記者会見、その後は期間限定ポップアップブティックのオープニング、そして夜は東京湾岸の倉庫屋上にこれまた豪華に特設設置された巨大会場でのクロージングパーティとイベント目白押し。
この記者会見にはI佐と出席し、夜のパーティにはメンズノンノ・モデルズのみんなとI佐と編集Mと出席させていただきましたので、こちらをご報告させていただこうかと。
といいますか、報告うんぬんもそうですが、世界のファッション業界人の中の、そのまた中の、回転軸となる中心にいる人、日本語で言うところの江戸城本丸の御大、カール・ラガーフェルド氏について、メンズノンノ読者にも是非、知っていただきたいのであります。
レディスがメインの御大ですけど。メンズ以外も知っておくと、より楽しくなるのでオススメ。
でも、知っていただきたいのは、情報というよりは、広い意味での安心材料、かな?
漫画「テニスの王子様」で言うところの、千歳千里の名言「リミッターば外して本気でこんね!」、そのリミッターを外しても全部受け止めてくれる懐の深さについて。
いきなりですけど、たとえば、ファッションに関して声高々に好きだと言ってしまうのは、やっぱりちょっと恥ずかしかったり、斜に構えてしまったり、嫌いキライも好きのうちとか、距離をとってしまうほうがラクチンだったりしますよね。
高尚なものだと誤解して難しく考え過ぎてしまったり、高価なラグジュアリーは自分とは無縁の存在だと自嘲気味に捉えてしまったり、いろいろあると思います。
僕も昔はありました。今も振り子のように、たまに思ったり思わなかったり。
でも、ファッションの世界の、本物の、ファッションの人に出会うと軽く吹っ切れちゃうものなんです。
本物の人、ってやっぱりいますから。
べつにこれは、ラガーフェルド氏へのオベッカだったり、持ち上げているわけでもなく。それこそ、自分自身が勝手にATフィールドで傷つかないように不必要なガードをしているなら、本当に損なことですよね。
ファッションを楽しむためにはノーガードでいいし、迷う必要は無いんだな、と。
記者会見でしみじみ。
以下、記者会見でのラガーフェルド氏の発言内容(翻訳・意訳)をちょっとだけ。
「なぜ『リトル・ブラック・ジャケット』の作品制作をカリーヌ・ロワトフェルドと組んだのかって?楽しいからだよ。そしてもう1つ、面白いからだよ。それ以外は特に無い。」
「確かにワーカホリックかもしれない。疲労感は確かにある。でも、時差だけだよ。」
「ファッションと政治の関係性について?重要かもしれないが、私自身が左右されることは無い。選挙にも行ったことが無い。その時間が無い、と言ったほうが正確かな。」
「安らぎは必要かって?人によっては必要だろう。だが、私は創り続けなければならない。そして、立ち止まることは心身ともにヘルシー(健康的)ではないことだと思っている。」
THE ガチ。
イメージと寸分違わぬ硬骨漢。
45分遅れで登場したラガーフェルド氏の、いきなり本題からトークスタートというオキテ破りも、もはやその場の取材陣みんなにとって想定内過ぎて、なぜか会見後は満足感と安心感でいっぱいでした。
本物って凄い。
楽しんだもの勝ちでいいじゃん!って、どんよりと小雨の降る寒空をタクシーの窓から眺めつつI佐さんと一緒に帰社しました。
「シャネル」のデニムバッグに「シャネル」のブーツのいでたちだった隣のI佐さんは、どう思っていたんだろう。
聞かなかったけど。
たぶん、世界のファッションを創っている方たち、数十年にわたってパイオニアであり先駆者であり続ける一部の頂点に位置する重鎮たちには、一点の迷いも無いのでしょう。そんな杞憂、そんなヒマ、無駄無駄無駄。
世界を創り続けねばならないなんて、カッコイイ。
まあ、簡単に言うと、“夢の世界”ですよね。
ファッションの世界の夢は、古今東西の先人たちが世界と対峙して闘い、切り拓き、楽しみをもたらし、時代を形作る種として産み落としてくれたその夢は、そんじょそこらのヤッカミやツマラナイ既成概念には負けないほどに、アゲアゲの本気の魂でしっかりと構築されているんだな、と。そのド真ん中は、がっかりするようなものでは決して無いんだな、と。
その安心感をいただけた、その有り難味を再確認した次第。
たぶん僕が受けた衝撃も、彼らにとっては、いつも通りの、いたって普通のことなんだと思いますが。
アラフォーの大人も、嬉々として我を忘れてしまうほどに舞い上がる境地、それがあった。
そして、果てしなく遠いのですよ、これがまた(笑)。
そういえば、来日したラガーフェルド氏にお会いするのは、個人的には今回で2回目でした。
2004年の秋だったかな?前職記者時代、代官山のクラブで開催されたギャルソン主催のパーティで、カール御大の来場を噂をキャッチして、急遽「写るんです」(知ってます?)を購入して深夜まで粘って、無事、御大を激写したのでした。
そして今回も、そのときと同じく、ピントブレブレ(笑)。
そして今回も、そのときと同じく、前々職の退職金で購入した、J12のピンクサファイヤ(メンズ/38mm)をつけて。
僕ももうちょっと、ファッションについて自分を追い込んでみてもいいかもね。
世界は広いよ。
カール・ラガーフェルドさま、シャネルさま、ありがとうございましたー。そろそろ僕のJ12も、僕自身も、もう一度オーバーホールする時期かと。
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