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ヴォーカルのakkoさんは声に恵まれているんだよなぁ。ただいい声、キレイな声だっていうのではなく、独自のキャラクターを感じる声。誤解を恐れず言うとなんともいえないアマチュアっぽさがいいなと思う(akkoさんは国立音大のご出身であった)。当時、気づいたことがあった。CDのほうがライヴよりも半音高く、クリアで心地いいってこと。レコーディングの意図的なギミックが、彼女を見事に伝説の存在へと押し上げているんだ。Bメロで確信犯的にワントーン下がり、ふつふつと込み上げたものが、サビの伸びやかさとつながり泣けてくる。体が自然と横に揺れ、グッと胸にくる…。
J-POPならではの込み上げ系は、またまた小林武史さんの仕事だ。ミスチルもそうだけど、完璧にコントロールする力を持っている。J-POP=小林武史の世界観って言っても過言じゃない。ただ爽やかではなくて、僕みたいなブラックミュージック好きにも、何か引っかかる仕掛けを準備しているような感じがした。UK ROCK好きの女子大生が、留学先のニューヨークでバンドを組み、あえて日本語で歌ってる感じかなぁ(笑)。コテコテのUKではなくて、USAも混ざり合い深みを感じる。さえ渡る小林さんのディレクションと、カレッジ感があるakkoさんのキャラクターを前面に押し出せば、わざとらしい歌唱力も歌のうまささえも必要としない。いいレパートリーとパートナーがあればいいのだ。
ATSUSHI MOMIYAMA
ヘアメイクアップアーティスト、代官山の理髪店『BARBER BOYS』主宰。1990年代を彩ったJ-POPを丹念に再評価していくシリーズ。メンズノンノウェブではプレイリストも公開中!
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